たった1か月で『老化』に変化?!食べるものが遺伝子の働きを変える
ヴィーガン食グループと肉を含む食事グループでいろいろな変化が・・・。
「人間の体は、食べたものでできている」
これはよく言われる言葉ですが、
今回ご紹介する研究を見ると、
食べるものは、体を作るだけではなく、遺伝子の“働き方”にまで影響している
ということが分かります。
医師サイトに、とても興味深いニュースが掲載されていました。
なんと、
わずか1か月ヴィーガン食を続けただけで、炎症や老化に関連する変化がみられた
という研究です。
「1か月で?!」
と驚きました。
遺伝子そのものは変わらなくても「スイッチ」は変わる
私たちは両親から遺伝子を受け継いで生まれてきます。
遺伝子そのものの配列は、基本的には簡単には変わりません。
でも、”その遺伝子をどれくらい働かせるか”という調節は変化します。
その代表的な仕組みの一つがDNAメチル化です。
難しい言葉ですが、
イメージとしては遺伝子についている「ON・OFFのスイッチ」や「音量調節つまみ」のようなもの。
食事や運動、睡眠、ストレス、環境などによって、このスイッチの入り方が変化することがあります。
これを「エピジェネティクス」と呼びます。
今回の研究では、
食事を変えてわずか4週間で、このDNAメチル化に変化が起きた
ことが確認されました。
ここが私は非常に面白いと思いました。
48人を2つの食事に分けて比較
研究に参加したのは健康な成人48人。
参加者を
・ヴィーガン食
・肉を多く含む食事
の2つのグループに分け、4週間続けてもらいました。
しかも、この研究では摂取カロリーをできるだけそろえています。
つまり、「ヴィーガン食の人が単に食べる量が少なくて痩せたから良くなった」という単純な話ではなく、食事の“中身”そのものが体にどう影響したのかを調べた研究なのです。
炎症が少ない方向へ
ヴィーガン食を食べたグループでは、免疫細胞にも変化がみられました。
特に、好中球が減り、CD4陽性T細胞が増える方向への変化が認められています。
研究者らはこれを抗炎症方向への変化と解釈しています。
慢性炎症は、
動脈硬化
糖尿病
認知症
がん
老化
など、さまざまな病気との関連が指摘されています。
最近では
「Inflammaging(炎症+老化)」
という言葉まであるくらい、「慢性的な炎症」と「老化」は深く関係していると考えられています。
ですから、
食事だけで炎症に関連する遺伝子の働きが変わるという結果は、とても興味深いです。
「生物学的年齢」も若い方向へ?
さらに研究者たちは、
DNAのメチル化パターンから「体の老化度」を推定するエピジェネティック・クロックという指標を調べました。
すると、
PhenoAge
GrimAge
という2種類の指標では、ヴィーガン食グループで生物学的老化が遅くなる方向への変化がみられました。
つまり、戸籍上の年齢はもちろん変わりませんが、細胞レベルで見た「体の年齢」に変化が起きていた可能性があるわけです。
しかも、たった4週間です。
私たちの体って、思っている以上に食事に素早く反応しているんですね。
がんに関係する経路にも変化
もう一つ興味深かったのが、
細胞の増殖に関係するmTORやHippoと呼ばれる経路です。
ヴィーガン食グループでは、がんや細胞増殖に関連する一部の遺伝子が抑えられる方向のDNAメチル化変化がみられました。
mTORは栄養状態を感知して細胞の成長を促す重要な経路です。
もちろん、この研究だけで「ヴィーガン食でがんを予防できる」とは言えません。
研究者自身も、今回確認されたのはあくまでがんに関係する分子経路の変化であって、実際にがんが減ったことを証明した研究ではないとしています。
ここは非常に大切なところです。
では「肉は食べないほうがいい」の?
こういう研究が出ると、
「じゃあ肉は悪いんですね」
「ヴィーガンになったほうがいいんですね」
と思われる人がおられるかもしれません。
私は、そこまで単純な話ではないと思っています。
今回の研究は48人・4週間という小規模で短期間の研究です。
また別の老化指標では逆方向の変化も出ています。
つまり、「ヴィーガン食=若返り」と結論づける段階ではありません。
そして長期間の完全菜食では、
タンパク質
ビタミンB12
鉄
亜鉛
カルシウム
オメガ3脂肪酸
などが不足する可能性もあります。
特に高齢者では、筋肉を維持するためのタンパク質不足には注意が必要です。
大切なのは「肉を食べる・食べない」ではなく、植物性食品を増やすことかもしれない
私は今回の研究を見て、「全員ヴィーガンになりましょう」という話ではなく、もっと現実的に
植物性食品をしっかり食べることの大切さ
を改めて感じました。
野菜
海藻
きのこ
豆類
ナッツ
種子類
果物
などには、
食物繊維やポリフェノールをはじめ、腸内細菌が喜ぶ成分がたくさん含まれています。
食物繊維を腸内細菌が発酵すると、短鎖脂肪酸などさまざまな代謝物が作られ、免疫や炎症にも影響します。
つまり、
「何を食べるか」は、腸内環境を介して全身に影響している
可能性があります。
たった4週間でも体は変わる
今回、私が一番印象に残ったのは、ヴィーガン食が良いか悪いかということ以上に、「たった1か月の食事で、遺伝子の働きにまで変化がみられた」ということです。
遺伝子を持って生まれてきた以上、
「体質だから仕方がない」
「家系だから仕方がない」
と思ってしまうこともあります。
でも今回の研究者が指摘しているように、
遺伝子は運命ではありません。
同じ遺伝子を持っていても、
食事
睡眠
運動
ストレス
生活環境
などによって、
遺伝子の働き方は変わり得るのです。
毎日何気なく口にしている食べ物が、数年後、数十年後の健康だけでなく、今日の細胞の働きにも影響しているのかもしれません。
そう考えると、毎日の食事って本当に大切ですね。
「完璧な食事」を目指す必要はないと思います。
まずは今日の一食から、
加工食品を少し減らす
野菜を一品増やす
豆や海藻を食べる
そんな小さな積み重ねでも、
私たちの体はちゃんと反応してくれているのかもしれません。



コメント