ヘビースモーカーなのに長生きする人がいるのはなぜなのか?肺がんに対する防御が備わっている

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ヘビースモーカー 健康問題

ヘビースモーカーなのに長生きする人がいるのはなぜなのか?肺がんに対する防御が備わっている

肺がんはDNAの損傷が引き起こす

 タバコは間違いなく体に悪いことは様々な研究結果から明らかとなっている。心臓病・糖尿病・脳卒中のリスクを高めるだけでなく、肺がんの圧倒的大多数が直接、喫煙に関連している。

 その一方で、喫煙者でありながら長生きしている人もいる。中には1日数箱という生活を何十年も続けながら、肺がんにならない人たちだ。

 性別・喫煙の状況・全般的な健康によって左右されるものではあるが、最新の研究によれば、それ以外は運かと言うと、そうではないようだ。

 『Nature Genetics』(2022年4月11日付)に掲載された研究によると、一部の喫煙者には肺がんを引き起こす遺伝子変異から彼らを防御するメカニズムを持っている可能性がるという。

肺細胞の突然変異により引き起こされる肺がん

 アルバート・アインシュタイン医科大学のグループは、一部の喫煙者には、肺の突然変異を抑制するメカニズムが備わっており、肺がんから守られていると述べている。

 今回の研究では、非喫煙者14人(11~86歳)と喫煙者19人(44~81歳)から「肺上皮細胞」を採取し、DNA増幅法で突然変異の数が正確に測定された。

 タバコを吸うと肺がんになるのは、肺細胞のDNAに突然変異が起こるからとされている。

 実際、今回の研究グループも、非喫煙者に比べて、喫煙者の肺細胞には突然変異が多いことを確認している。細胞の突然変異の量も、吸うタバコの本数と密接な関連がある。

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Photo by Mateo Avila Chinchilla on Unsplash

一部のヘビースモーカーに突然変異を止めるメカニズム

 ところが、それにも限度があるようなのだ。

 喫煙が23箱年(1箱年は、1日1箱を1年間続けた場合)を超えると、突然変異が頭打ちになるのだ。

 研究グループの推測によると、どうやらDNAのダメージを修復するか、あるいはタバコを「無害化」する何らかの機能が人体にはあり、突然変異を抑えているのだという。

 「一番タバコを吸うヘビースモーカーだからといって、突然変異もまた最大とは限りません」と、共著者のサイモン・スピバック教授は声明で語っている。

 ただし、はっきりとそう断言するには、もっと証拠が必要になる。すべてのヘビースモーカーが肺がんにならないわけではないからだ。
データからは、かなりの喫煙習慣がありながらも長生きする人たちは、突然変異の蓄積をどうにかして抑えているらしいことが示唆されています。

ある時点から突然変異が増えなくなるのです。DNAの損傷を修復したり、タバコを無害化したりする巧みな機能が備わっている可能性があります
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Photo by Jayden Yoon ZK on Unsplash

肺がんの早期発見へ向けて

 仮に今回の発見が正しいのだとすれば、肺がんの早期発見にも役立つかもしれない。研究グループは今後、DNAの修復・タバコの無害化機能を測定できないか検証を試みるそうだ。
DNA修復・無害化を測定する新しい分析法を考案できればと思います。それができれば、肺がんを早期に発見する新たな検査法にもなるでしょう

肺がん予防と早期発見へ向けた重要な一歩かもしれません。今の時点で、末期がんの患者は心身ともに大変な闘病を強いられますが、それを防ぐことにもつながるでしょう

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