イーロン・マスクの脳インプラント企業「Neuralink」は2023年前半に人間の脳にチップを埋め込むことを望んでいる

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イーロン・マスクの脳インプラント企業「Neuralink」は2023年前半に人間の脳にチップを埋め込むことを望んでいる

イーロンマスク氏の望んでいる世界?

イーロン・マスク氏らが創業した脳インプラント企業「Neuralink」は、脳に小型のブレイン・コンピューター・インターフェースを埋め込んでコンピューターと接続することを目指しています。新たにマスク氏が、2022年11月30日に開催されたNeuralinkのイベントで、「チップを人間の頭に埋め込む最初の臨床試験」を6カ月以内に実施する見通しだと主張しました。

Elon Musk’s Neuralink Hopes for Approval to Implant a Computer in a Human Brain – Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-12-01/musk-s-neuralink-hopes-for-human-trials-approval-within-six-months

Elon Musk claims Neuralink is about ‘six months’ away from first human trial – The Verge
https://www.theverge.com/2022/11/30/23487307/neuralink-elon-musk-show-and-tell-2022

Neuralinkは、極細の電極の束が付属した小型のチップを頭蓋骨に埋め込み、電極を脳に挿入してコンピューターと接続することを目指しています。2020年8月に開催されたオンラインイベントでは、チップを埋め込まれた豚の脳活動をリアルタイムでモニタリングしたり、ランニングマシンの上を歩く豚の神経と筋肉の反応が示されたりました。



Neuralinkのイーロン・マスクCEOが脳とAIをつなぐ埋め込みチップ「Link」&自動手術ロボ「V2」を発表 – GIGAZINE


また、2021年にはサルに埋め込まれたチップが脳の電気信号を読み取り、サルが「思考」だけでゲームをプレイする映像が公開されました。

脳にチップを埋め込んだサルが「思考」だけでゲームをする映像が公開される – GIGAZINE


そして2022年11月30日に開催されたイベントで、マスク氏はNeuralinkがチップの臨床試験についてアメリカ食品医薬品局(FDA)と継続的に議論していると報告しています。すでにヒト臨床試験に必要な書類のほとんどは提出済みであり、今後6カ月以内に最初のヒト臨床試験が行われるだろうという見通しを示しました。

Neuralink Show and Tell, Fall 2022 – YouTube


マスク氏はこの件を報じたBloombergの記者へのリプライで、「私たちは現在、Neuralinkデバイスが人間に使用できるようになっていると確信しているため、臨床試験のタイミングはFDAの承認プロセスを待ってとなります」とコメントしています。

 


Neuralinkが開発したチップを埋め込むには、頭蓋骨にドリルなどで穴を開け、電極を脳組織に挿入するというロボットによる手術が必要です。マスク氏はチップの埋め込みについて、「頭蓋骨の一部をスマートウォッチに置き換えるようなものです。良い例えがないのですが」と述べています。


また、Neuralinkは脊髄損傷で体にマヒがある人の運動能力を回復させる脊髄インプラントや、視力の改善または回復を目的とした眼科的インプラントに取り組んでいることも明らかになりました。マスク氏は、「これは奇跡的に聞こえるかもしれませんが、脊髄が切断された人の全身機能を回復させることが可能だと確信しています」「今まで視力を持ったことがない人でも、ものを見ることができると確信しています」と主張しました。

一部の批評家は、Neuralinkのチームによって実証されたことのいくつかは学術環境ですでに達成されており、マスク氏はNeuralinkの進歩を誇大宣伝していると指摘しています。Synchron Inc.という企業は、体が動かせない筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者に脳インプラントを埋め込み、コンピューターを介してコミュニケーションすることを可能にしました。また、オランダのOnward Inc.という企業は体がマヒした患者の脊髄にインプラントを埋め込むことで、再び歩けるようにする臨床試験に成功しています。

脊髄損傷で体がマヒした3人の男性が脊髄に埋め込まれた電極で再び歩けるように – GIGAZINE


これらの競合他社と比較して、Neuralinkが提案する「頭蓋骨に穴を開けてチップを埋め込み、脳に電極を挿入する」という手法は侵襲的と評価されています。この懸念を解消するため、Neuralinkは霊長類を使った数年にわたるテストを行っていますが、動物愛護団体からは「動物虐待である」という声も上がっています。なお、Bloombergの記者は過去2年間に何度かNeuralinkの霊長類飼育施設を訪れたそうですが、その際は動物たちがよく世話をされているように見え、インプラントによる悪影響は見られなかったとのことです。

イベントでは、サルがバナナのスムージーを飲みながらリラックスした状態で、脳に埋め込んだインプラントを充電する方法も紹介されました。


Bloombergは、Neuralinkはすでに当初の野心的なタイムラインから遅れており、マスク氏はエンジニアにより一層働くよう促していると報じています。最近の製品レビューで、マスク氏は「このままでは何か役に立つ前に私たちは皆死んでしまうでしょう」「私たちはステップアップする必要があります。有用な製品を出荷しなければなりません」と述べたそうです。

記事作成時点のNeuralinkはプロトタイプから製品への移行を目指し、さまざまな職種を募集しているとのこと。今回のイベントはNeuralinkにとって、新規人材へのアピールも兼ねていたと海外メディアのThe Vergeは報じました。

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