「所得税が0」なのに住民税が課税されるのはなぜ?

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財務省 税金

「所得税が0」なのに住民税が課税されるのはなぜ?

住民税は所得控除の種類が少ないことが原因!所得税より税金を多く取るための仕組みで、これは健康保険税も同じやり方。

◆所得税と住民税には違いがある!

確定申告や年末調整など、所得税については気にしている人でも、住民税は気にしていないという人も多いようです。所得税はかからなかったけど、住民税の支払い通知が! その理由を見てみましょう。

所得税と住民税では異なる点があります。この違いが、「所得税がかからなかったけど、住民税が課税される」理由につながります。なお、今回は住民税の所得割について見てみます。均等割は割愛します。

▼主な理由1:所得控除の違い!

所得税と住民税の所得控除額には違いがあります。例えば、基礎控除の差額や配偶者控除の上限額の差額は5万円(所得税は48万円、住民税は43万円)ですし、扶養控除(特定)の場合、18万円(所得税63万円、住民税45万円)の差額となります。

その他、生命保険料控除(最高5万円)や地震保険料控除(最高2万5000円)にも差額があります。

例えば、配偶者控除(最高額)と扶養控除(一般)、扶養控除(特定)、基礎控除の適用を受けている人の場合、所得税と住民税で33万円の差があることになります。

したがって、所得税額が0円となっていても、所得控除額の違いにより、住民税は課税される場合もあることになります。

▼主な理由2:税額控除の違い!

税額控除の違いで影響が大きいのは、住宅借入金等特別控除です。この税額控除は、原則として、所得税のみの適用となります。

ただし、所得税で住宅借入金等特別控除の適用を受け、かつ、所得税では控除可能額が控除しきれなかった人については、住宅借入金等特別税額控除として、一定の金額を住民税からも控除できるしくみとなっています(最高でも所得税で控除しきれなかった金額までとなります)。

したがって、住宅借入金等特別控除の適用を受けた結果、所得税額が0円となっていても、所得税と住民税の税額控除額が異なるため、住民税は課税される場合もあることになります。

▼主な理由3:所得金額の違い!

サラリーマンなどの給与所得者で、給与所得以外の所得が20万円以下であるため、確定申告をしないことを選択した場合や、少額配当であるとして、申告しなかった場合などであっても、住民税に関しては申告しなければならないこととなっています。

したがって、所得税額が0円となっていても、所得金額の違いにより、住民税は課税される場合もあることになります。

◆事例1:パート年収が103万円の場合

まずは、パート年収が103万円の場合です。所得控除は基礎控除のみとします。

●所得税の計算
・103万円(パート年収)-55万円(給与所得控除)-48万円(基礎控除)=0円

→所得税額0円

●住民税(所得割)の計算(税率10%と仮定、調整控除は考慮外)
・103万円(パート年収)-55万円(給与所得控除)-43万円(基礎控除)=5万円

・5万円×10%(税率)=5000円

→住民税額(所得割)5000円

◆事例2:給与年収が400万円の場合

続いて、給与年収が400万円の場合です。所得控除は社会保険料控除60万円、配偶者控除(最高額)と基礎控除、税額控除は住宅ローン控除限度額6万5000円がある想定です。

●所得税の計算(復興特別所得税は考慮外)
・400万円(給与年収)-124万円(給与所得控除)-60万円(社会保険料控除)-38万円(配偶者控除)-48万円(基礎控除)=130万円

・130万円×5%(税率)=6万5000円

・6万5000円-6万5000円(住宅ローン控除)=0円

→所得税額0円

●住民税(所得割)の計算(税率10%と仮定、調整控除は考慮外)
・400万円(給与年収)-124万円(給与所得控除)-60万円(社会保険料控除)-33万円(配偶者控除)-43万円(基礎控除)=140万円

・140万円×10%(税率)=14万円

・14万円-0円(住宅ローン控除)=14万円

→住民税額(所得割)14万円

◆適用できる所得控除や税額控除は最大限に活用を

いかがでしたでしょうか。仮に、住宅ローン控除があって所得税額が0円となっている場合でも、住民税は課税されるケースも多いため、医療費控除や寄附金控除など、適用できる所得控除や税額控除は最大限に活用することをおすすめします。

文:坂口 猛(ファイナンシャルプランナー)

マイコメント

住民税は平成18年までは所得の多さに応じて5,10,13%の税率が適用されていましたが
それ以降は10%に統一されました。

そのため所得の低い人の方が負担感が高くなっています。
高額所得者から税率が高いと非難を受けたのかどうかは定かではありませんが、薄く広く
取ることで税収を上げるために行ったものと思われます。

平均年収が400万円と言われているので、400万円以下の人が全体の53%を占めているので
これを5%のままにしておくと将来税収が大幅に減ると予想し、一律10%にしたのでしょう。

従来なら200万円以下であれば5%の税率でした。しかも200万円以下のひとは全体の3割も
いるのですから結構多いです。その人たちは5%の税率で10万円ですむものが20万円になり
ますので、支払う抵抗感が強いでしょう。

その抵抗感を減らすのが所得控除です。
住民税の所得控除となる種類は以下のものになります。

    1.雑損控除

    2.医療費控除

    3.社会保険料控除

    4.小規模企業共済等掛金控除

    5.生命保険料控除

    6.地震保険料控除

    7.障害者控除

    8.寡婦(夫)控除・特定寡婦控除

    9.勤労学生控除

    10.配偶者控除

    11.配偶者特別控除

    12.扶養控除

    13.基礎控除

詳しくは住民税における控除の種類と金額まとめを参照してください。



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