「人間の脳と AI」を融合したコンピュータチップ「ディッシュブレイン」を、オーストラリアの大学が開発し、これが国家防衛資金を獲得

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AIと脳の融合 AI

「人間の脳と AI」を融合したコンピュータチップ「ディッシュブレイン」を、オーストラリアの大学が開発し、これが国家防衛資金を獲得

AIが意識を持つ可能性が出て来た?

生体の脳を獲得した人口知能の誕生

オーストラリアのモナシュ大学が、「人間の脳を組み込んだコンピューターチップ」を開発し、この研究に対して、オーストラリアの国家情報安全保障研究助成プログラムからの資金を受けたということが、報じられていました。

「いよいよと人間の脳とコンピューターチップの融合か…」

と思いましたが、モナシュ大学のニュースリリースは以下にあります。

人間の脳細胞とAIを融合させる研究で国防資金を確保
Research to merge human brain cells with AI secures national defence funding

 

7月21日のニュースリリースです。

ニュースリリースは以下のように始まります。

機械学習を変革する新たな継続学習機能を備えたシリコンチップ上で人間の脳細胞を成長させるというモナシュ大学主導の研究が、名誉あるオーストラリア国家情報安全保障研究助成プログラムで約 60万オーストラリアドル (約 5700万円)を獲得した。

monash.edu


しかし、なぜ、機械のチップだけではダメなのか? と思いましたら、現在の AI は要するに、「物忘れがひどい」ようなのです(笑)。

以下も、ニュースリリースからの抜粋です。

…新世代の機械学習アプリケーションには、「継続的に学習できる新しいタイプの機械知能が必要になるのです」とラジ准教授は述べた。

この「継続的な生涯学習」とは、機械が古いスキルを損なうことなく新しいスキルを習得し、変化に適応し、以前に学習した知識を新しいタスクに適用できると同時に、コンピューティング能力、メモリ、エネルギーなどの限られたリソースを節約できることを意味します。現在のAIはこれを行うことができず、「壊滅的な忘却」に悩まされているという。

対照的に、脳は継続的な生涯学習に優れている。

monash.edu

 

AI が、「壊滅的な忘却」に悩まされていてどうするとは思いますが、そこで、人間の脳を使うことになったと…。

ちなみに、名称は、「ディッシュブレイン (DishBrain)」です。ディッシュは「皿」のことですので、「皿に載った脳」というようなことですかね。

ディッシュブレインは以下のようなもののようです。


asia.nikkei.com

 

いずれにしても、大変微妙な話だとは思いますが、まずは、このことを取り上げていた科学メディアの記事をご紹介します。

ここに出てくるコンピューターゲームの「ポン」というのは、1970年代に発売されたピンポンのビデオゲームです。以下のようなもので、似たものが誰かの家にあって、やったことがあります。


 


人間の脳組織を組み込んだコンピューターチップが、防衛資金を獲得

Computer chip with built-in human brain tissue gets military funding
NEW ATLAS 2023/07/21

昨年、モナシュ大学の科学者たちは、実験室で培養した約 80万個の人間とマウスの脳細胞を電極に組み込んだ半生物学的コンピューターチップ「ディッシュブレイン」を開発した。

ディッシュブレインは、知覚力のようなものを示し、5分以内にコンピューターゲーム「ポン」を覚えることができた。

ディッシュブレインの中心部にある微小電極アレイは、脳細胞の活動を読み取ることと、電気信号で脳細胞を刺激することの両方ができるため、研究チームは、ポンゲームのボールが「スクリーン」のどちら側にあるか、ボールがパドルからどのくらい離れているかを表すために、脳細胞に動く電気刺激を与えるバージョンのポンを設定した。彼らは脳細胞をパドルに作用させ、パドルを左右に動かした。

次に、脳細胞の小さなクラスターは環境における予測不可能性を最小限に抑えようとする傾向があるという事実を利用して、非常に基本的な報酬システムを設定した。

これは、パドルがボールに当たると、細胞は予測可能な素晴らしい刺激を受けることになるが、それが外れた場合 (ボールを受けられなかった場合)、細胞は 4秒間のまったく予測不可能な刺激を受けることになるというものだ。

研究室で培養された脳細胞がこのように使用されたのは初めてであり、世界を感知するだけでなく、世界に基づいて行動する方法も与えられ、その結果は印象的だった。


電極アレイ上で成長するディッシュブレインのニューロンの走査型電子顕微鏡画像。

 

メルボルンの新興企業コーティカル・ラボ社と提携して実施されたこの研究が、オーストラリアの国家情報・安全保障研究助成プログラムから 40万7,000米ドル (約 5700万円)の助成金を獲得したことは非常に印象深い。

生物学的コンピューティングと人工知能を融合したこれらのプログラム可能なチップは、「将来的に、最終的には既存の純粋なシリコンベースのハードウェアの性能を超える可能性がある」とプロジェクトリーダーのアディール・ラジ准教授は語る。

 

同氏は、「そのような研究の成果は、計画、ロボット工学、高度な自動化、ブレインマシン・インターフェース、創薬など、あるいは、これらに限定されない複数の分野にわたって重要な影響を及ぼし、オーストラリアに大きな戦略的優位性をもたらすだろう」と述べた。

つまり、ディッシュブレインの高度な学習機能は、特に自動運転車、ドローン、ロボットに組み込まれた場合、新世代の機械学習を支える可能性がある。これにより、「生涯を通じて学習できる新しいタイプの機械知能」が得られる可能性がある、とラジ氏は言う。

このテクノロジーは、コンピュータがコンピューティング能力、メモリ、エネルギーの使用を継続的に自己最適化しながら、古い能力を損なうことなく新しい能力を学習し続け、変化にうまく適応し、古い知識を新しい状況にマッピングできることを約束するという。

「私たちはこの助成金を利用して、これらの生物学的ニューラルネットワークの学習能力を再現する、より優れた AI マシンを開発します。これにより、ハードウェアとメソッドの能力を、シリコンコンピューティングの実行可能な代替品になるまでスケールアップすることができるでしょう」とラジ氏は述べた。

まさに驚くべきことだ。


 

ここまでです。

うーん…。

「脳」というものを実際に使っているわけですが、「何の由来の脳なんだ?」という疑問があったのですが、日経アジアによると、幹細胞を脳細胞に変換したもののようです。

(日経 ASIA より)

> …あらゆる種類の細胞に変換できる幹細胞を脳細胞に変換した。次に、最大 100万個のニューロンを、26,000個を超えるセンサーで構成される指先サイズの微小電極アレイに転写した。

asia.nikkei.com

 

いずれにしても、「脳は脳」だとすると、「機械だけでは出すことのできないものを出し始める」という可能性があるのだとも思います。

たとえば、

「脳波」

というのは、脳から出るものです。

脳波 – Wikipedia

> 脳波は、ヒト・動物の脳から生じる電気活動を、頭皮上、蝶形骨底、鼓膜、脳表、脳深部などに置いた電極で記録したものである。脳波

人間の脳波の周波数には以下のようなものがあると解明しています、

人間の脳波の周波数

・デルタ波 4 Hz 以下 深い睡眠、あるいは昏睡状態の時の脳の状態

・シータ波 4 〜 7 Hz 入眠時や無意識の時の脳の状態

・アルファ波 7 〜 14 Hz リラックスした状態の脳の状態

・ベータ波 14 〜 30 Hz 通常の覚醒状態。数値が高くなるほど興奮状態

 

「そのチップからも、そのうち、こんなのも出始める可能性がある? あるいは、もう出ているとか?」などと思いますけれど、そのあたりはわかりません。

ちなみに、私自身は、「意識」というものは、脳とは無関係だと思っていますが、では「意識」というものが、脳という物質と全然関係ないのかというと、最近の研究や主張では微妙なところもあります。

以下の記事では、ドイツのマックスプランク物理学研究所の研究者たちの研究をご紹介していますが、

「人間の細胞は魂として存在する量子情報を運ぶ」

という主張を導いています。

[記事] 物理学会から次々と示される「人間の意識は不滅」あるいは「意識は人間の脳細胞の中に量子情報として存在する」という概念。そして、宇宙という存在は、私たちの知覚に過ぎないこと
In Deep 2020年3月15日

 

このようなことも、ある意味では、一種の「唯物論」ではあるのかもしれないですが、興味深くはあります。

その記事に掲載した記事をやや短く編集して再度掲載させていただきたいと思います。

今回のオーストラリアの研究が、「このような作用を持つかもしれない脳(あるいは脳細胞)」を使っているということから、

「 AI が意識を持つ」

ということにつながる可能性を感じないでもありません。

少なくとも、自主的に波動や磁場を出し始めるという可能性についてはあり得そうです(脳からは磁場も出ています。こちらの記事にあります)。



量子から見た死 -「人間の細胞は魂として存在する量子情報を運ぶ」

Quantum Death –“Human Cells Carry Quantum Information That Exists as a Soul”
Daily Galaxy 2020/03/14/

私たちが生きているこの物理的な宇宙は、私たちの知覚に過ぎない。そして、私たちの肉体が死ぬと、その向こうには「無限」がある。

また、人間の死後、その意識が平行宇宙に移動すると確信している科学者たちもいる。

ミュンヘンにあるマックスプランク物理学研究所の研究者たちは、以下のように示唆している。

「死後に広がるその《向こう》は、はるかに巨大な無限の現実であり、その向こうの中には、この今の世界もルート上にあります。この現在の現実のような存在の平面での私たちの生活は、すでに来世に囲まれています。肉体は死にますが、精神的な量子場は続くのです。この考え方に基づけば、私たちは永遠です」

マックス・プランク研究所の物理学者たちは、英国の物理学者であるロジャー・ペンローズ氏の主張に同意している。

ペンローズ氏は、人が一時的に死亡した時に、微小管(細胞の中にある微細な管状の構造)から、この量子情報が宇宙に放出されると主張する。しかし、蘇生された場合、量子情報は微小管に戻される。それが臨死体験につながっているとしている。

ペンローズ氏は以下のように言う。

「もし彼らが復活せず、死亡したならば、この量子情報は魂のように、おそらくは無期限に体外に存在し続ける可能性があります」

この「量子脳理論」と呼ばれる理論は、理論物理学者のペンローズ氏とアメリカの麻酔科医スチュワート・ハメロフ氏のふたりにより提唱された。現状では、この理論をどうすればいいのかは誰にもわからず、また、この理論は間違っているとする科学者も多い。

しかし、ペンローズ氏の物理学に対する貢献を考えると、この理論を理解できないと放置することもまた難しい。

ペンローズ氏とハメロフ氏は、「意識」とは、量子レベルで保存された情報であると結論づけている。

そして、彼のチームは、「タンパク質ベースの微小管」に「量子情報」として、「原子以下のレベル」で保存された情報を運ぶことを発見した。

量子コヒーレンス(確率的に得られる二つの状態が決定されていない状態)は、微小管、脳のニューロン内のタンパク質構造で起こるというのがハメロフ氏の考えだった。

微小管とは、真核細胞(細胞骨格の一部)内部の管状構造であり、細胞の形状や細胞分裂を含む動き(有糸分裂中の染色体の分離)を決定する役割を果たす。

ハメロフ氏は、細胞の微小管がペンローズ氏の理論で探していた量子デバイスであることを示唆している。

ニューロン(脳を構成する神経細胞)では、微小管はシナプス接続の強度を制御するのに役立ち、そのチューブ状の形状は、より大きなニューロンの周囲のノイズからそれらを保護する可能性がある。

ペンローズ氏は、インタビューでポールソン氏に以下のように述べた。

「宇宙が存在する理由は、私たちに意識があるからなのです」

再生医療の専門家であるロバート・ランザ氏は、著作『生物中心主義を超えて』の中で、ランザ氏が提唱する新しい科学理論は、私たち人間は不滅であり、時間の外に存在すると言う。

ランザ氏は、死は時空を超えた世界では存在しないと言う。彼の新しい科学的理論は、死は私たちが考える最終的な出来事ではないことを示唆している。

ランザ氏はこのように言う。

「宇宙の数は無限であり、起こりうるすべてのことがすべての宇宙で発生します。これらのシナリオでは、本当の意味での死は存在しません。すべての可能な宇宙は、それらのいずれかで何が起こるかに関係なく、同時に存在します」

「科学の最も確かな公理の 1つに、エネルギーは決して死なないということがあります。作られることも消え去ることもあり得ません。しかし、このエネルギーが、ある世界から別の世界を超えられるのかもしれない可能性についてはわかっていないのです」

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