製造業の3割に影響か「確保する策はない」原油高に“ナフサ不安” 老舗弁当店も危機 北海道
原油輸入減少に伴うナフサ製品の供給源があらゆる産業を襲う
原油高に“ナフサ不安”。
中東情勢の悪化は、生活に身近なところまで広がっています。
在庫不足に悩む北海道内の弁当店や自動車工場では、先の見えない厳しい経営を迫られています。
弁当容器にゴム手袋「確保する策はない」ナフサの調達不安定
キツネ色に揚がった海老の天ぷらに、焼きたての卵焼きを入れると、仕出し用の弁当が完成です。
一番人気の仕出し弁当は、多い時で1日千個の注文があるといいます。
手作りが売りの人気店ですが、いま“ある危機”に見舞われています。
(はちわか 八若晋二社長)「こちらの方になります。私がいま着けている手袋です。あと醤油やソースとかを入れる容器、お弁当」
倉庫にはプラスチック製の弁当の容器や調理で使うゴム手袋を保管していますが、入荷が遅れているのです。
(はちわか 八若晋二社長)「不安になります。これが入ってこなかったら大変なことになると思います。確保する策はないですね」
背景にあるのが「中東情勢の悪化」です。
プラスチックの原料となる石油由来の「ナフサ」の調達が不安定になっているといいます。
(はちわか 八若晋二社長)「うちは4社くらいからお弁当の容器を仕入れているのですが、各メーカーさんから、来月から10%から30%まで上がっていて」
容器の仕入れ先から値上げをすると言われていますが、すぐには価格に反映できないといいます。
(はちわか 八若晋二社長)「こまめに(値段を)上げちゃうとお客さんが敏感に反応するので、少し待ってギリギリまで待って、経営努力で赤字になろうが何しようが少し我慢しなければならないと思っています」
原油高騰がハウス栽培に影響 出荷をやめた花も…
中東情勢の影響は、一次産業にも広がっています。
胆振の安平町で、農業法人を経営する横澤健二さんです。
観賞用の花やホウレンソウなどの野菜を栽培していますが、原油の高騰が直撃しました。
(早来アグリファーム 横澤健二社長)「こちらがこのハウスを暖めている暖房機になります。いま(灯油が)130円、140円台になっていますから、年間通して考えるとかなり厳しいですね」
ハウスの中で育てているのは、寒さに弱いとされるマリーゴールド。
夜間には灯油燃料の暖房を使って、12℃を下回らないように栽培しています。
しかし、灯油価格はホルムズ海峡の封鎖をきっかけに153円まで急上昇。
現在も140円台後半と高止まりが続いています。
そのため、横澤さんはある決断を下しました。
(早来アグリファーム 横澤健二社長)「キンギョソウという花です。ちょっと考えられないですね。そういう単価になってくると、キンギョソウを栽培するメリットは全くない状態です。赤字までしてやる必要はないですね」
例年11月から3月に暖房を使って育てていたキンギョソウの出荷をやめることにしたのです。
さらに追い打ちをかけているのがー
(早来アグリファーム 横澤健二社長)「ことし張り替え用の大型ハウスのビニールです。ちょうど張り替えの時期でもありましたので、早めに買っておいたんですけど、いまとなればもうちょっと買っておけばよかったなと思います」
ハウス栽培に欠かせないビニールの値上がりです。
価格は2割から3割アップしたといいます。
(早来アグリファーム 横澤健二社長)「ちゃんとした形で原油が日本に入るようになってもらわないと、生活まで影響を及ぼす可能性もありますから、早めの収束を願っています」
製造業の3割に影響か 北海道知事らが国に要望
ナフサをめぐっては、大手菓子メーカーの「カルビー」が、インクなどの調達が不安定になっているとして、一部商品のパッケージを白黒の2色に変更すると発表しました。
帝国データバンクの調査では、道内の製造業およそ4500社のうち3割が、ナフサ関連製品の調達リスクに直面する可能性があるとしています。
こうした現状を受け、鈴木知事と秋元札幌市長は4月、赤沢経済産業相に対し、対策を講じるよう要望しました。
(鈴木知事)「大臣からは、原油価格高騰に関しては激変緩和措置を通じて影響を最小限に抑えるということ、一部流通の目詰まりや供給の偏りに対しても、関係省庁が連携してきめ細かに対応していくこと」
国は「ナフサ」について、必要な量は確保されているとする一方で、流通経路で供給の偏りや目詰まりが起きているとしています。
シンナーにエンジンオイルも 在庫不足で価格改定・出荷制限
札幌市清田区にある自動車整備工場です。
(広川自動車工業 広川太一社長)「こちらにあるのがシンナー類です。ここにあるのでストックがなくなる状態でございます」
塗装に使うシンナーが足りず、作業にも遅れが出始めているといいます。
(広川自動車工業 広川太一社長)「塗料販売店さんは、メーカーからおりてこない状況なので出荷できないと言っています。謝るしかないですね。お客さんに仕事ができませんって言うのかな」
仕入れ先からは毎月のように価格改定や出荷制限の通知が届いていました。
(広川自動車工業 広川太一社長)「7社、8社くらいから値上げの通知がきています。これも3月末、それから4月にもきましたし、おそらく5月にもくるんじゃないかなと思っています」
仕事中に一時、帰宅した社長の広川さん。
業界が直面する課題を国に伝える会合がオンラインで開かれました。
(自動車業界の関係者)「メーカーさんとも直接話をしましたが、我々が目詰まりを起こしているようなことを言われていますが、我々も被害者ですということです」
(自動車業界の関係者)「実際現場では正直なところ、事業が継続できるかどうか心配だなという感触があります」
全国の同業者が苦境を訴える中、広川さんも北海道を代表して発言します。
(広川自動車工業 広川太一社長)「既存のお客さんにしか売らないよという流れになっていて、新規でどうしても困っていてほしい方に行き渡っていないというのも現状です」
足りないのはシンナーだけではありません。
エンジンオイルも在庫が厳しいといいます。
(広川自動車工業 広川太一社長)「やっぱり国に言わないとそこの流れでは解消されないので、本当は現場を知ってもらうというのが一番大切なんですけど」
先行きが見通せない「令和のオイルショック」。
事業者側の打つ手が限られるだけに、国によるさらなる対応が求められます。



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