維新の掲げる“医療費削減で社会保険料引き下げ” の背後に見える財務省の存在
「OTC類似薬の保険適用除外」や「後期高齢者の窓口負担3割」など国民の医療費負担増を画策か
高市政権が実現を目指す消費税減税議論が混迷を極め、来年4月実施に間に合わない可能性が出てきている。その代わりとばかりに出てきたのが「社会保険料引き下げ」の議論だ。国民負担が軽減されるものと思うかもしれないが、騙されてはならない。並行して財務省は水面下で、「医療費爆上げ」の画策を進めていたのだ――。
「社会保険料引き下げ」は維新との連立合意の柱
減税議論がうまくいかないのを誤魔化したい高市早苗・首相が代わりに力を入れているのが社会保険料の引き下げだ。
賃上げで国民の給料は上がっているのに生活が苦しくなる大きな原因は健康保険、介護、年金など社会保険料の負担が重いことにあるのは間違いない。年収350万円の単身者の場合、所得税・住民税は年間約21万円なのに対し、社会保険料は年間50万円を超える。
そこで高市首相は消費税減税をペンディングした骨太の方針原案(6月30日提出)に「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくとの方針を実現する」と社会保険料引き下げを盛り込んだ。
保険料引き下げは日本維新の会との連立合意の柱でもある。
維新は国民医療費を年間4兆円削減し、「現役世代の社会保険料を1人年間6万円(月5000円)引き下げる」という目標を掲げ、社会保障改革を「衆院定数削減」「副首都構想」とともに連立の絶対条件として高市自民党と連立を組んだからだ。
ところが、野党の審議拒否で国会が空転すると、連立合意の一角が崩れた。
7月7日、高市首相は維新の吉村洋文・代表と党首会談を行ない、野党が反発している衆院定数削減法案の今国会成立を断念することで合意し、参院での審議が再開された。国会の会期末(7月17日)が迫り、高市政権が最重要法案と位置づける皇室典範改正案を審議入りさせるために、定数削減を秋の臨時国会に先送りしたのだ。
「定数削減で譲ってもらった以上、総理は連立維持のために維新が重視する社会保険料引き下げを推し進めることが必要になった」(自民党議員)
維新と財務省財政規律路線の高い親和性
この社会保険料引き下げの背後にも財務省の動きが見え隠れする。高市首相が自民党総裁に就任し、維新との連立で合意した時、財務省内から「我々には望ましい」と歓迎の声が上がった。
維新の「身を切る改革」と財務省の財政規律路線とは政策的な親和性が高い。とくに維新が医療改革で提唱して一部実現させた市販薬と同様の成分であるOTC類似薬の保険適用除外や後期高齢者の窓口負担3割への引き上げなどは「医療費削減」を求める財務省の主張そのものだ。
ブレーンにも財務官僚OBがついている。
維新の社会保障調査会は5月21日、自民党との与党協議に先立って財務官僚出身で財政規律派の小黒一正・法政大学教授を講師に招いて勉強会を開いた。6月2日には消費税を担当する主税局第二課長などを務めた財務省OBで「食品税率ゼロ」反対論者の森信茂樹・東京財団シニア政策オフィサーが維新の税制調査会の勉強会で講演。森信氏は3月にも維新税調の勉強会講師を務めており、その後、同党の藤田文武・共同代表は食品の消費税率引き下げについて「ゼロと言ったからゼロじゃないとダメだとは思っていない」と発言するなど減税の主張をトーンダウンさせた。
維新と社会保障改革の協議に当たっている自民党厚労族議員が、「維新の医療改革のバックは財務省と考えざるを得ないほど、急進的な医療費削減策の主張だ」と警戒するほどなのだ。
サラリーマンには、「社会保険料引き下げ」で給料から天引きされる保険料が安くなり、手取りが増えるなら大歓迎に思えるが、そんなにうまい話は転がっていない。
政府が骨太の方針原案を提出した4日前(6月26日)、財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」が「人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営」と題する建議をまとめた。
そこには〈(社会保険料引き下げの)方針を実現するためにも、社会保障改革を着実に実行していくことが不可欠である〉として国民の医療費負担を大幅に増やす改悪メニューが盛り込まれている。その中身については、関連記事で詳報する。
▼▼▼関連記事▼▼▼
【詳しくは…】社会保険料引き下げの裏で財務省が企む“医療費爆上げ計画”の中身 ※週刊ポスト2026年7月24・31日号


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