「ナフサ危機」でシンナー高額転売か 塗装業者困惑「在庫ない」
ナフサはまだ在庫があるのに、想像以上に早く物がなくなっている。どうやら買い占めが原因のよう。
原油由来の「ナフサ」からつくられる化学製品の供給不安が国内で広がる中、塗料用シンナーがフリマサイトやオークションサイトに高値で出品されている。
ナフサを原料とするシンナーは各メーカーが値上げや出荷制限の対象としており、利ざやを稼ぐ目的で高額転売されている可能性がある。
取引が成立したケースも複数あるが、シンナーは引火性の液体でヤマト運輸の宅急便などで送ることはできない。
塗装業者は「取り扱いに危険が伴う上、本当に必要な業者が困るので買い占めや転売はやめてほしい」と訴える。
2万円以上で出品、元は5000円?
大手フリマサイトやオークションサイトをのぞくと、1万円以上で出品された各社の塗料用シンナーなどの一斗缶がずらりと並ぶ。
いずれも3月下旬以降の出品だ。
あるフリマサイトでは4月1日、16リットル入りの一斗缶が2万円以上(送料込み)で出品され、半日ほどで購入が確定した。
「ナフサ危機」前は、5000円前後で売られていたとみられる。
この出品者の履歴を見ると、これまでは衣類や靴を売っていた。
品物は、ヤマト運輸の配送サービスを使って渡すことになっている。
だが、ヤマトはホームページで、送れない物の一つとして「花火、灯油、ガスボンベ、シンナーなどの発火性、引火性、揮発性のある物品または火薬類」と記している。
ヤマトは取材に、各種シンナーの一斗缶もこの規定に該当すると認め、「宅急便などの陸送、空輸いずれもNGです」と回答した。
そのため、購入が確定したケースの場合、中身を偽って配送するか、手渡しなど別ルートに切り替えるといった方法をとらなければ購入者には届けられない。
シンナー製品、値上げや欠品
米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦をきっかけに原油輸送の要衝・ホルムズ海峡が事実上封鎖され、日本でも原油から精製されるナフサの供給不安が広がった。
シンナーはナフサから作られる揮発性の溶剤で、塗料を塗りやすくするための希釈剤として使われる。
大手メーカーが建築塗料用シンナー製品全般を3月19日から75%値上げしたことが報道され、X(ツイッター)でもホームセンターのシンナーの一斗缶が在庫切れになる画像が出回った。
別の大手メーカーも3月23日付の顧客向けの通知で、シンナー製品全般を4月出荷分から30〜80%値上げすると発表した。
こうした中で、フリマサイトやオークションサイトでも一斗缶の出品が相次ぐようになったとみられる。
買い占め? 取引ない業者から大量発注
すでに、塗装業者の間では「値上がり」でなく、「在庫がない」ことが問題となっている。
東京都内の塗装会社で代表を務める男性は取材に「在庫が枯渇し、みんな困惑している。あるメーカーの担当者からは『普段は取引のない業者から50缶くらい一気に発注があった』とも聞いており、誰かが買い占めたのではないかと疑いたくなる。どうしてもシンナーが足りず、やむなくフリマサイトで買った人もいるようだ」と明かす。
男性の会社は今のところ在庫に余裕があり、「本当に困っている人が優先」と考えて新たな購入は控えている。
男性は「もし素人が大量保管していたら危険だし、本当にシンナーが必要な人たちが困っている。仮に供給不安が解消しても、買い占めや転売は再燃する恐れがあり、業界として考えた方がいい問題ではないか」と話している。【尾崎修二】



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