足りない原油 「節エネ」呼びかけは? ロシア産原油は購入すべき?
ホルムズ海峡ルート以外からの輸入「日本の需要にあった原油ではない可能性」 エネルギー有識者が深掘り解説
1日から始まった新年度ですが、イラン情勢が生活に様々な影響を及ぼしています。ガソリン価格の高騰はご承知の通りですが、プラスチック製品の原料となる石油製品「ナフサ」の調達が難しくなっていて、あらゆる産業への影響が懸念されます。
日本の石油備蓄は239日分、使い切る前に代替輸入先は見つかるか 識者「節電が必要になるタイミングが来る」
高市総理は中東情勢に関する関係閣僚会議で「代替製品を全世界から調達するなどの対応を急いで欲しい」と要請しましたが、輸入元を変えることは簡単なのでしょうか。また、今後どんなものが値上がりする可能性があるのでしょうか。 エネルギー経済社会研究所の松尾 豪代表に詳しく聞きました。
■ガソリン補助金で価格抑制も…“ホルムズ海峡封鎖”続くと生活に様々な影響が

レギュラーガソリンが1リットルあたり170.2円に
1日、レギュラーガソリンの全国平均価格の確定値が発表され、1リットルあたり170円程度になりました。前の週と比べると7.5円の値下がりです。また過去最高だった16日時点の190.8円と比較すると、20円あまり値下がりしました。 政府は高騰したガソリン価格を170円程度に抑えるため、19日から石油元売り各社に補助金を支給しています。

このままホルムズ海峡の事実上封鎖が続くと
ホルムズ海峡の事実上封鎖が続くと、電気料金にも影響する可能性があります。関西電力の森望社長は先月26日の会見で、今後も混乱が続いた場合、6月ぐらいから電気代に影響が出る可能性があるとの認識を示しました。 燃料価格の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整額」が、3カ月から5カ月前の燃料価格に適用されるため、時間差が生じるということです。

エネルギー経済社会研究所 松尾 豪代表
松尾代表 「間違いなく電気料金は上がると思います。原油もそうですし、LNGも石炭の価格も全て上がっていますので、これを反映させるものが燃料費調整額で、これも上がっていきます」 ーーQ.1バレル100ドル程度が続いた場合、一般的な家庭で電気料金はどれぐらい上がる? 松尾代表 「電力自由化で様々な電力会社を選べるので、会社ごとに調達している電源の構成が違います。ご契約されている電力会社によって変動があると思います。(Q.石油に頼っているようなところは?)影響が大きくなる傾向はあると思います。日本は火力発電に依存してますが、石油の他にLNGが燃料となっていて、今LNGのスポット価格は倍になってしまっています。(電気料金が)いきなり倍になるというわけではありませんが、それなりのインパクトになってくる可能性はあります」
また、先月24日には石油の元売り会社側が「7月にも石油製品の供給制限が発生する可能性がある」との見通しを示しています。政府・与党に対し、在宅勤務の推奨や自家用車の利用頻度抑制、高速道路の速度制限を10キロ引き下げるなどの対策を例示しました。 また、31日の中東情勢に関する関係閣僚会議では、人工透析の部品など石油製品からつくる医療品の安定供給確保が要請されました。高市総理は、経済産業大臣・厚生労働大臣に対し「代替製品を世界全体から調達するなどの対応を急いでください」と指示しています。
■足りない原油 どこから調達?

ホルムズ海峡を経由しないルートは…
日本は原油の9割以上を中東から輸入していますが、ホルムズ海峡は事実上封鎖されています。ホルムズ海峡を経由しない場合は、どのようなルートが考えられるのでしょうか。 中東からホルムズ海峡を通って日本に原油を輸送するには約20日かかります。北米からであれば約15日、中南米からであれば30日以上、ホルムズ海峡を経由しない中東の別ルートからは約31日、アフリカ南端の喜望峰を回る中央アジアからは60日以上かかるとされています。 これら4つから代替ルートの確保はできるのでしょうか。 松尾代表 「中東からの輸送には20日程度で、航海の日数という意味でも非常に経済性に富んでいましたが、他のルートだと日数が増えてしまいます。今船が取り合いの状態になっていて、スポットの運賃が上がっています。片道20日で済んだところが片道60日、往復すると倍になってしまうと、本当に船が足りるのかという問題になってくると思います」

石油の分類はどう違う?
さらに、松尾代表によると「日数・輸送費に加え、必ずしも日本の需要にあった原油ではない可能性があるため、中東産の原油を完全に代替できる原油は存在しない」ということです。日本の石油精製設備は、主に中東が産地の中質~重質油に合わせて設計されています。中東以外から輸入される原油は性質がかなり変わるといいます。 また「国内の消費量を賄おうとすると、4つのルートの国の生産量約4割を日本が獲得する必要がある」と指摘します。 松尾代表 「日本が購入している原油は、中質から重質と言われるものです。日本は軽油や灯油といった比較的重たい油を多く消費する傾向があり、それに合わせて設計してきました。ところが、これ以外の地域の石油は軽かったり重かったりとバラバラなので、どう使うかが今後鍵になってくると思います」
注目集まるロシア産原油 日本はどうする?

ロシア産原油 アジア諸国が購入へ
一方、ロシア産原油の獲得に動く国もあります。 ロシア産原油は、ウクライナ侵攻を受けてヨーロッパ諸国が購入を避けるようになりましたが、アメリカ財務省は先月12日、ロシアへの制裁緩和を発表しました。現在、海上で輸送中のロシア産原油に限り、各国が一時的に購入することを認めるとしています。 一部報道によると、フィリピンは5年ぶりに輸入を再開し約150万バレルを購入。スリランカやタイ、韓国も検討を進めているということです。

日本はどうする?
原油供給に懸念が続く中、日本は今後どうすればよいのでしょうか。 松尾代表は「国民生活を最優先する中で、ロシアからの原油調達を行う可能性もゼロではない。国民に対しては、節電・節ガスの呼びかけに向けた議論を今月下旬に行うべき」としています。 松尾代表 「次回の備蓄の放出は4月の下旬、または5月に差し掛かるかどうかのタイミングだと思います。初回はさておき、2回目も3回目も放出して良いんですかと。国民からこれだけ『節エネ』という言葉が聞こえてくる中で、何も議論しないというのは難しい。2回目のタイミングで開始するのは重要だと思います」 (「newsおかえり」2026年4月1日放送分より)



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