いつの間にか「15倍」になった「再エネ賦課金」の闇 日本人の電気代は中国の「上海電力」にも注ぎ込まれて

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光熱費 エネルギー

いつの間にか「15倍」になった「再エネ賦課金」の闇 日本人の電気代は中国の「上海電力」にも注ぎ込まれて

去年12000円だった電気料金が今年は18000円。上がった理由は?

続く電気代値上げの「真実」

総務省が4月22日発表した3月の消費者物価指数(家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる指数)は、7カ月連続の上昇で、値動きの大きい生鮮食品をのぞいた総合指数が100.9で、前年同月より0.8%上がった。上げ幅は2020年1月以来、2年2カ月ぶりの高水準だ。

とりわけエネルギー価格は、原油価格の高騰を背景に、ガソリンは19.4%、灯油は30.6%、電気代は21.6%、去年の同じ月と比べてそれぞれ上昇した。

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NHKニュースには、ある一般家計(小学一年生から中学一年生までの子ども3人、5人家族)に直撃した電気代支出について報じられている。

〈特に、支出の増加が目立つのが、電気・ガスの「光熱費」や自家用車の「ガソリン代」です。例えば、電気代は、去年の3月は1万2000円でした。それが、ことし3月には1万8000円を超え、1か月の負担が6000円以上も増えています〉(NHKニュース「値上げラッシュ! 消費者物価を読み解くと…」2022年4月22日)

およそ1.5倍に跳ね上がっている計算だ。なぜ、ここまで値上げが続くのか。

エネルギー価格値上げの原因は、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格の高騰と、再生可能エネルギーによる発電を支えようと毎月の電気料金に上乗せされる「再エネ賦課金」だ。

まず、ロシアのウクライナ侵攻だ。2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻で原油価格が高騰した。プーチン大統領の横暴に対して行った経済制裁が、そのまま跳ね返って日本を含む西側諸国に直撃したということだ。

次が、「再エネ賦課金」である。電力会社から送られてくる電気料金の請求書を見ると、請求される料金の総額の下に小さい字で「再エネ賦課金」と書いてある。この金額が毎月、電気の使用料と合算されて請求されている。

メガソーラーが家計にのしかかる

再生エネルギーは、地球に負荷がかからないエネルギーとされているが、発電をするためのLNGや原発などと比べてコストが高い。

つまり、再エネ賦課金とは、「再生エネルギーは、発電コストがすごく高いけど、日本に普及させなくてはいけないから、電気を使う人みんなで負担しなさい」と2012年に始まった制度だ。

2012年当時は、標準的な家庭で年間684円の負担だった。2022年4月以降は年間1万764円となっており、15倍に膨れ上がった。

再エネの発電事業者は、長期間にわたって、電力を定価で買ってくれることを約束されており、このせいで再生エネルギーは、飛躍的に普及してしまったのである。

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あまりに利用者負担が重いので、今年4月からFIP(フィールド・イン・プレミアム)制度が導入されることになった。簡単に言えば、政府として補助金は出すものの定価では買い取らないという制度だ。しかし、これは4月以降に新設されるメガソーラーのみに適応される。これまでにつくったメガソーラーや太陽光発電は、国民の家計に重くのしかかったままだ。

メガソーラーとは、1000キロワット以上の出力がある太陽光発電所のことだ。

自然環境に優しいから優遇される再生エネルギーだが、全国各地で建設されているメガソーラー、そして太陽光発電は、本当に環境に優しいのだろうか。

「太陽光パネルはそのほとんどが中国製、山林を伐採してメガソーラーを設置、地元にメリットはなく、どこにいるかわからない投資家の利殖の手段と化している、そんな評価が定着したように思います。しかも、耐用年数が経過した際にはその廃棄が適切に行われるのに担保がない」(務台俊介衆議院議員「衆議院予算委員会第七分科会」令和2年2月25日)

こう務台議員が指摘するように、環境に優しいかすら疑問なのだ。家計を直撃し、環境に優しいとは言えない太陽光発電やメガソーラーを考え直す時期に来ているのではないだろうか。

維新の「黒歴史」をどう考えるか

維新の松井一郎大阪市長は、〈松井氏は、ロシアとの資源取引を止めた場合に「日本のエネルギーが高コストになってしまう。電気料金の値上がりにつながると生活が成り立たない」と指摘。「短期的には今止まっている原発の再稼働はやむなしだ」と言及した。すでに維新の国会議員団に政策見直しを検討するよう指示したという〉と産経新聞(2月28日)で報じられている。

Photo by GettyImages松井一郎氏 Photo by GettyImages

筆者は、この松井市長の発言に大いに賛成しているが、維新はこれまで〈基本政策をまとめた「維新八策」には、原発について「市場原理の下でフェードアウトを目指し、国内発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を拡大させる」と明記〉(同紙)として、メガソーラーを推進してきた「黒歴史」がある。

私は、「中国の「上海電力」が岩国でメガソーラー事業! 地元民は激怒、負担は国民へ」(現代ビジネス)において、100%中国資本の上海電力が「山口県岩国市の元ゴルフ場開発用地をつかって、敷地面積214ヘクタールのうち110ヘクタールに太陽光パネル約30万枚を設置し、出力は75メガワット。全て中国電力に売電する予定で、売電収入は年約36億円を見込んでいる」と指摘、発電コストの問題と、経済安全保障上の懸念について述べた。

実は、上海電力がメガソーラーを運営するのは、岩国が初めてではない。

大阪市南港咲洲にもメガソーラー発電所を運営している。このメガソーラー事業は、橋下徹氏を中心とする維新が大阪での地方政権を樹立した以降に実施されている以上、責任の所在は全て維新にあると考えられる。

太陽光やメガソーラーへの補助金を減らすなど、一刻も早く黒歴史の反省に立った政策転換が求められている。

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