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世界で最初に飢える国「日本」のこれからの段階

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日本の暗黒の時代 食糧問題

世界で最初に飢える国「日本」のこれからの段階

海峡閉鎖で真っ先に想定された人生で一度レベルの食料危機

ホルムズ海峡が閉鎖されたという出来事が起きた際に、もちろんエネルギーや物資(医療、建築、自動車など)の不足が著しいことになるだろうという予測が出たことは当然なのですが、個人的に何より真っ先に思ったのは、

「大量飢餓の時代が来てしまうかもしれない」

ということでした。

それは、よく言われる貧困国と呼ばれるような国においてではなく、「まずは日本で」と感じました。

以下は、1カ月以上前の記事ですが、海峡閉鎖以来、何度か「飢餓」という言葉が含まれるタイトルの記事を書いています。

ホルムズ海峡封鎖から発展する文明崩壊と大量飢餓のカタストロフ
In Deep 2026年3月12日

しかし、この頃は、「さすがにホルムズ海峡の閉鎖があと 1カ月も 2カ月も続くわけはないだろう」とは思っていました。しかし、それから 1カ月以上経った今、ホルムズ海峡はまだ(正確に言うと再度)閉鎖されています。

先日の In Deep の記事「あと10日で世界は劇的に変化してしまう」でグラフを載せましたが、ホルムズ海峡の閉鎖の影響を最も受けるのはアジアです。

以下のように、ホルムズ海峡経由での原油等の 9割近くがアジア向けとなっていまして、ヨーロッパやアメリカは(世界的な価格高騰の影響は受けるとはいえ)アジアほど深刻ではありません。


bloomberg.com

アジア各国は、真剣に行動しなければ、「国家の崩壊」という事態にさえ向かいかねないほどの緊急事だとも思います。

韓国は大統領が陣頭指揮をとり、積極的に中東へ赴き、石油の獲得を着々と積み上げています。今日(4月20日)は、韓国向けのタンカーが、ホルムズ海峡を通過したことが確認されていますので、イラン政府とも何らかの交渉をしているのかもしれません。

日本の場合、各企業は物資獲得に奔走しているようですが、政府は積極的に中東やロシアに働きかけているという感じは受けません。現状では、ひたすら備蓄を放出し続けています。

しかし「この問題は放っておいて、どうにかなるものではない」です。

今回タイトルにした「世界で最初に飢える国は日本」というフレーズは、経済学者で、東京大学大学院 農学生命科学研究科特任教授の鈴木宣弘氏の著作『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』のタイトルからの引用で、この著作の内容はこれまでも少し取りあげたことがあります。

鈴木宣弘氏は、この著作で

「日本国民の 6割が餓死する」

という衝撃的な予測をしていますが、しかし、この本が出たのは 2022年のことで、今のような「過去にないような危機」はまだ来ていない頃のものです。つまり、

「この頃より、さらに大量飢餓の可能性は高まっている」

と言えます。

段階的に今後を考えてみます。

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まず「とてつもなく低い日本の自給率」から考えてみる

日本の食料自給率は、一般的には 30数%などの数字が示されることが多いですが、現在のような「世界的なサブライチェーンの混乱と物資不足」の中では、この数字はほとんど意味を持ちません。

たとえば、『世界で最初に飢えるのは日本』の中で鈴木氏は、以下のような「現実」を提示しています。要約です。

『世界で最初に飢えるのは日本』より

日本のカロリーベースの食料自給率は、2020年の時点で約37%という低水準だ。しかもこれは、あくまで楽観的な数字に過ぎない。

農産物の中には、種やヒナなど、ほぼ輸入に頼っているものもある。それらを計算に入れた「真の食料自給率」はもっと低くなる。

筆者の試算では、2035年の日本の「実質的な食料自給率」はコメ11%、野菜4%など、壊滅的な状況が見込まれる。

例えば、日本では野菜の種の9割を輸入に頼っている。野菜自体の自給率は80%あるが、種を計算に入れると真の自給率は8%しかない

他にも、日本の畜産はエサを海外に依存している。例えば、鶏の卵は97%を自給できているが、鶏のエサであるトウモロコシの自給率はほぼゼロだ。また、鶏のヒナはほぼ100%輸入に頼っている

エサやヒナの輸入が止まれば、鶏卵の生産量はおそらく1割程度まで落ち込むだろう。

世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか (講談社+α新書)
いまそこに迫る世界食糧危機、そして最初に飢えるのは日本、国民の6割が餓死するという衝撃の予測……アメリカも中国も助けてくれない。国産農業を再興し、安全な国民生活を維持するための具体的施策とは?「大惨事が迫っている」国際機関の警告/コロナで止...

このように計算していくと、

「日本の真の自給率は 9%程度」

ということになってしまうようです。

> 鶏のエサであるトウモロコシの自給率はほぼゼロだ

とありますが、輸入先はどこかというと、「ほぼアメリカ」です

総量は年間約1600万トンで、そのうち約1200万トンが家畜の飼料であり、残りの約400万トンが産業用途として使われています。日本の畜産業は輸入のトウモロコシがなければ成り立ちません。輸入量の8~9割が米国からです。 yumenavi.info

そのアメリカの「トウモロコシ農作の現状」はどうなっているかというと、たとえば、地球の記録の記事「アメリカのトウモロコシ農家の40%がいまだに肥料を確保できていない」では、このタイトル通り、アメリカのトウモロコシ農家の半分近くが、いまだに肥料を入手していないことなどを取りあげています。

また、今年のアメリカは干ばつの状況が非常に悪く、この先のことまではわからないにしても、仮にこのまま雨の少ない状況が続いた場合、夏の農作はかなり厳しくなることが予測されています。

以下の記事で書いています。

アメリカの干ばつが416年前の「飢餓の時代」と呼ばれたときと酷似
地球の記録 2026年4月19日

それに加えて、あらゆる輸送費の高騰が起きてもいます。

2006年〜2026年のイラン戦争までの船舶の輸送燃料価格の推移

indeep.jp

今年のアメリカのトウモロコシの収穫がどうなるかは、これからの天候次第ですので、その予測はできないですが、しかし「価格の上昇」は避けられないと見られます。

経費の高騰は、日本の農家の方々の負担増という形となると思われますし、最悪の場合、「日本へのトウモロコシの輸入量が大きく減る」という可能性もなくはないかもしれません。

鈴木氏の言う、

> エサやヒナの輸入が止まれば、鶏卵の生産量はおそらく1割程度まで落ち込むだろう。

という現実にやや近づいていく可能性もあります。生産量 1割は激しい推測値ですが、生産がかなり減る可能性はあり得ます。

飼料用のトウモロコシの輸入量が減少しただけでも日本の自給率は大幅に減少します。

日本の食の頼みは「コメ」ということになりますが、これも先行きはわかりません。

日本は昨年、備蓄米を放出してしまったために、現在の備蓄は 1〜 2カ月分あるかどうかというところだと思われますが、仮に今年、何らかの影響(エネルギー価格の上昇、重油不足、肥料不足、梱包材等の不足、天候の悪化等)による不作や、それに近い状態になった場合、今年はともかく、来年などの米価格は途方もない高騰を見せるかもしれません。

それに何より、すでに農家さんたちは疲弊している

2025年の日本の農家の「倒産件数」は過去最多を記録しています。

そもそも、食品のパッケージ(ほとんどが石油由来)が枯渇したり、輸送手段がなくなれば、食料がいくらあっても、私たちの手元には届かないということもあります。

輸送といえば、現在、アドブルーというクリーンディーゼル車に必須の物資が、枯渇しかかっています。アドブルーがないとエンジンの再始動ができなくなってしまうのだそう。トラックや救急車やゴミ収集車などすべてに必要です。これがなければ、輸送そのものが停止することになります。ゴミ収集車も動けません。

それはともかく、今回のホルムズ海峡閉鎖の影響は世界全体に広がっているものですので、食料争奪戦は世界規模のものとなっても不思議ではないです。

その中で日本が「無傷で生き残る」可能性はあるかどうかは、微妙な感じはします。

さらに、他の懸念があります。不況と失業の嵐がやって来る可能性です。

あらゆる業種の停滞と失業の増加は避けられない

失業の増加は、「食料購買の余力が減少する」人たちが増えるということでもあります。食料価格の高騰が避けられない中で、その影響はさらに大きくなり得ます。

現在、多くの業界において「モノの不足、高騰、枯渇」の問題が表面化していまして、建設業などでは、工事が停止するような事態となっている会社も出てきています。

そして、それが長引けば、大企業ではない会社は存続することが難しくなります。

これは仮に「明日ホルムズ海峡が開放されても」状況は変わりません

ホルムズ海峡が開放された後も、状況が少し元に戻るのは、短くて数ヶ月、長くて数年かかるとされています。そして、中東で破壊された施設が多すぎるため、「どうやっても、完全に元に戻ることはない」のも事実です。

X で海峡閉鎖の初期の頃から危機を発信していたお医者様である@DrKarte氏は、最近以下のような投稿をしていました。

@DrKarte氏の4月19日の投稿

ナフサ直撃産業:

【建設業】
就業者500万人
PVC配管・断熱材・塗料・接着剤が止まる
失業150〜250万人

【自動車産業】
関連550万人
樹脂部品・タイヤ・塗料
愛知・群馬・広島・福岡の地方都市が同時に沈む
失業200〜350万人

【石化・素材・電機】
就業者300万人
エチレン停止で下流全滅
失業120〜200万人

【飲食・小売・娯楽】
失業370〜580万人

合計1000万〜1500万人の失業可能性。

就業者の15〜22%
大恐慌(25%)水準に接近。

こういう状態に仮になったとすれば、食料を供給する方にも悪循環が発生するはずです(供給したものが売れなければ、農家も飲食店もやっていけない)。農家さんなど食料の供給側でも廃業や失業が増加する可能性があります。

その中で「大恐慌的な飢餓」が再現されてしまう可能性があります。

再現…というか、日本では戦後以来、「大量死を伴う飢餓を経験していない」こともあるので、再現とは言えないかもしれません。

2年前の今頃、「大量飢餓の時代」という記事を書いたことがありますが、景気循環サイクル(約 51年周期)的にも、過去の混乱の時期と合致しているあたりが不気味ともいえます。

いつかは事態はよくなっていくのでしょうけれど、ホルムズ海峡の閉鎖が、たとえば今日明日などに終われば、影響は数ヶ月から 1年程度で収束していく可能性も(少しは)あるのかもしれません。

しかし、今後も海峡閉鎖が続いた場合は、かなり絶望的な今年後半からの時代を考えなければいけないと思われます。

これはかなり現実的な予測というか懸念であり、すでに社会では業種によっては混乱が拡大しているのですが、それに対応する具体的な手段は政府等からは提示されていません。

この大量飢餓については、まだいろいろな現実がありますので、また書かせていただくと思いますが、ほとんどの人たちにとって、生きている間で最大の混乱となっていく可能性が高いです。

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