ホルムズ海峡「封鎖」で待ったなし 日常生活に大打撃!「ナフサ危機」からは誰も逃げられない
シャンプー、トイレットペーパー、コンタクトレンズなどの日用品から衣服、医療品も供給不足に――
混迷は深まるばかり――。
アメリカとイランが停戦に電撃合意したかと思いきや、和平協議は破談。イランがホルムズ海峡の事実上の封鎖を続けるなか、今度はアメリカが「逆封鎖」に踏み切るなど両国間の緊張が再び高まっている。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が、アメリカの狙いを分析する。
「ホルムズ海峡の主導権を握ることで、イランの交渉カードを減らしたいのでしょう。しかし、狙いはそれだけではない。トランプ米大統領(79)はイランの石油に依存する中国を牽制したいのではないか。
5月14〜15日に米中首脳会談が予定されています。トランプ大統領はイラン情勢を利用して中国から大規模なアメリカ産農作物の輸入再開やレアアースの輸出規制緩和などの貿易上の成果を上げたいと考えている。その交渉のカードとして、イラン情勢を使う可能性があります」
世界最大の原油輸送の要衝・ホルムズ海峡の封鎖は全世界に影響を与えており、原油の9割以上を中東地域に頼る日本は、その影響をモロに受けている。ガソリン価格などエネルギーに目がいきがちだが、ホルムズ海峡の封鎖により、日常生活に直結する″ある物質″の供給が危機的状況に陥りつつあるという。原油から精製される液体「ナフサ」だ。
記事下の表を見てほしい。ナフサはプラスチック原料から衣服などの合成繊維、タイヤなどの合成ゴム、洗剤や消毒液といった化学薬品など多種多様な製品の原材料として使われており、その重要性の高さから「現代文明の血液」と呼ばれている。
日本はナフサの約4割を中東から輸入しており、約4割を国内で精製しているが、その原料も中東に輸入を依存する原油だ。高市早苗首相(65)は4月5日、ナフサの在庫量について自身のSNSに、
《「日本は6月には供給が確保できなくなる」という指摘は事実誤認であり、そのようなことはありません》
と投稿。翌日には木原稔官房長官(56)が定例会見の場で、国内需要の半年分の在庫を確保できる見通しが立ったと答え、国民の不安解消へ先手を打った。
しかし、政府見解はあくまでも総量換算に基づいた見通しであることを忘れてはならない。ナフサだけでなく、加工品(川中製品)も含んだ在庫量であり、たとえばエチレンは3ヵ月分持つがプロピレンは1ヵ月分しか残っていない、など製品によって余裕のあるものと足りなくなるものが出てくる可能性がある。
注射器、塗料、エアコン
4月13日、旭化成がナフサの供給不安を原因に、サランラップの値上げを発表した。三菱ケミカルグループは紙おむつ向けの原料を、クラレはランドセル用の皮素材の値上げに踏み切るなど、早くも私たちの生活に影を落としつつある。
″ナフサ危機″の影響は日常生活だけに留まらない。病院で使う注射器の多くはナフサを原料としている。ほかにも輸液バッグやカテーテルなどに使われており、供給が滞ることは命に直結する。
建築現場でも建築資材や塗料用シンナーなどがナフサ由来なので、自宅の建築や修繕ができなくなる。今夏も酷暑が予想されるが、エアコンにはナフサを原料としたプラスチックが大量に使われている。壊れたら最後、暑い夏を耐え抜くしかなくなるだろう。
迫るナフサ危機にどう備えればいいのか。備え・防災アドバイザーの高荷智也氏は「優先順位の重要性」を語る。
「ナフサを原料とする商品は多種多様であり、『何の在庫不足が、いつから深刻化するのか』を正確に予測できないことが、この問題の恐ろしいところです。そのため、準備において大切なことは自身や家族にとっての優先順位を明確化することです。
メガネやコンタクト、補聴器など『体の一部』となるものはもちろんですが、赤ちゃんや要介護者、ペットがいる家庭なら、おむつやトイレマットなどの優先順位が高くなるでしょう。多くの製品に影響を与えるからこそ、必要なものを見極めることが重要なんです。
ただ、どんな商品も流通在庫があるので数ヵ月間は顕著な影響は現れないはずです。焦って買い占めに走ると無用な混乱を生むので、必要なものだけを、着実に備蓄していくようにしましょう」
アンコントローラブルで見通しの立たないナフサ危機から逃れる術はない。冷静に粛々と備えるしかないのだ。






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