世界全体で驚くほど寿命が延び続けている。中国やブラジルなどは過去数十年で30歳以上も平均寿命が延びた
すべての所得層で驚くほど寿命が延びている
過去 1世紀などの期間、特に第二次大戦後は、世界的に多くの国で平均寿命が大幅に伸びましたが、世界銀行が分類する 4つの所得グループにおける出生時平均余命をビジュアル化したものを見ました。
これがなかなか驚くべきものでした。
4つの所得グループは、高所得国から低所得国までの以下の分類です。
・高所得国 (アメリカ、ドイツ、日本)
・中流上層 (中国、ブラジル、メキシコ)
・中流下流 (インド、エジプト、フィリピン)
・低所得国 (アフガニスタン、ニジェール、チャド)
以下がそれぞれの所得グループの平均寿命をビジュアル化したグラフです。
これを見ますと、確かに高所得国の寿命が最も高いのですが、問題は、
「上昇幅」
です。
1960年からの平均寿命の上昇率が最も高いのが、中流上層 (中国、ブラジル、メキシコ)で、1960年の 41.9歳から 2024年には、76.3歳に上昇しており、その上昇幅は、何と約 34歳。
つまり、これらの国では、1960年からの数十年で、寿命が 34歳も延びたことになります。
中流下流 (インド、エジプト、フィリピン)や低所得国 (アフガニスタン、ニジェール、チャド)も大きな延びとなっていて、つまり、
「世界中ほぼすべてのグループで平均寿命が延びた」
ことがわかるのです。
具体的には、以下のように伸びています。
グループ別の1960年の平均寿命と2024年の平均寿命
・高所得国の平均寿命 1960年は 68.3歳 2024年は 80.3歳 (12歳延びた)
・中流上層の平均寿命 1960年は 41.9歳 2024年は 76.3歳 (34.4歳延びた)
・中流下流の平均寿命 1960年は 45.8歳 2024年は 69.8歳 (24歳延びた)
・低所得国 の平均寿命 1960年は 41.6歳 2024年は 64.7歳 (23.1歳延びた)
中流上層の平均寿命の延びはものすごいものですが、世界全体が、このように寿命が延び続けている。
記事には、
> こうした改善の多くは、所得の増加、衛生状態の改善、予防接種プログラムの拡大、乳幼児死亡率の低下、そして医療へのアクセス向上と同時期に起こった。
とあり、確かにこれらの要因すべてが貢献しているとは思いますけれど(この中でひとつだけ貢献していないものがあるような気はしますが)、中でも、
・栄養状態の改善
・衛生環境の改善
このふたつが最大のポイントだと思われます。
特に「食料の重要性」については、それを物語るデータもあります。
合成肥料の大量生産が人々の長寿を後押しした
栄養状態が悪いと必然的に感染症などの病気にもかかりやすくなります。子どもや若い人の免疫を司る「胸腺」という器官がうまく成長できなくなり、つまり「若くして亡くなる事例が多くなる」のです。
2025年の In Deep に「過去100年で劇的に感染症による死亡率が減った真の理由は…」という記事がありますが、そこに以下のように書いています。
主要国で感染症が劇的に減少した理由
・清潔な飲料水
・適切な下水道の管理
・適切な衛生状態
・良好な栄養状態
これのどれかが崩壊しただけでも、死亡率は上昇し、それが長く続くと、今度は平均寿命が下がっていくことにもなり得ます。
それだけ「食料」と「清潔な飲料水」というのは重要なものであり、世界全体の寿命が延びたことには、
「合成肥料の大量生産による大規模な農作が可能になった」
部分は大きいと思われます。
これについては、ホルムズ海峡の封鎖後に書いた記事「100年かけて4倍に増加した地球の人口は、実は「肥料生産の拡大」と同じ曲線を描いている」にグラフを載せたことがあります。
人口の増加と肥料生産の拡大は「同じ曲線」を描いているのです。
1913年〜2024年の4つの力の推移
naturalnews.com
合成肥料は、20世紀初頭にドイツの科学者が、ハーバー・ボッシュ法という窒素と水素から触媒を用いてアンモニア(肥料)を工業的に大量生産する方法を発明したことにより登場しました。
現在、ホルムズ海峡の閉鎖で、肥料生産の問題も出ていますが、世の中が本当に混沌とした時には、さらに食料に関する混乱が拡大する可能性があります。
それが世界規模だった場合、つまり、広範囲な食料危機が起きた場合、全世界の平均寿命が下がることになり得ます。
しかし、先ほどのグラフを見ていますと、「これでは、どこの国も少子高齢化傾向となっていくのは避けられないのだなあ」とも実感します。何しろ、出生率のほうも全世界規模で下がっていますので。
最近、以下の記事を書きました。
・インドも「劇的な出生率の低下」に見舞われている。首都ニューデリーの合計特殊出生率は1.2と日本並みに
地球の記録 2026年6月9日
平均寿命は確かに延びているけれども、新しく生まれる子どもも極端に少なくなっているのが現状で、寿命が上がり続けて、子どもは減り続けるという「年老いた地球」傾向は、今後も続いていきそうです。
なかなかうまいバランスとはいかないですね。




コメント