アメリカのがん患者の20人に1人は「CTスキャンによるもの」と結論づけた最新の論文。

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CTスキャン 医療

アメリカのがん患者の20人に1人は「CTスキャンによるもの」と結論づけた最新の論文。

すると、人口あたりのCT検査数世界一の日本は・・・

発生がんの20件にひとつが

アメリカで、「すべてのがんのうちの約 5%が CT スキャンが原因となって発生している」という研究が発表されました。つまり、がんになる人の 20人に 1人は CT スキャンが原因となる可能性があるという話となります。

論文は以下にあります。

現在のコンピュータ断層撮影画像から予測される生涯がんリスク
Projected Lifetime Cancer Risks From Current Computed Tomography Imaging

それを取り上げていたスタディファインド紙の記事をご紹介したいと思います。

要約には以下のようにあります。

2023年に実施されるCTスキャンにより、患者の生涯で約 103,000件の将来のがん症例が発生すると予測されており、現在の慣行が続けば、年間のがん診断全体の 5%を占める可能性がある。 studyfinds.org



しかし論文のほうを読みますと、アメリカでは、とにかく CT スキャンを受ける人の数が多い。

> 2023年に 6,200万人の患者に対して実施された 9,300万回の CT 検査により、将来的に約 10万3,000件のがんが発生すると予測された。

とあり、アメリカでは、1年間で 6200万人の人が 9300万回の CT スキャンを受けていることになります。検査数が検査した人の数をはるかに上回っているのは、複数回 CT スキャンを受けたか、1回の検査で複数の画像を撮影したか(マルチフェーズスキャン)、どちらかの人がかなり多かったと見られます。

「アメリカの医療ってのは…」とか思いつつ、ふと、日本の数字も確かめますと、なんと、

「日本は CT 検査機の数も検査数も人口あたりで世界で最高」

であることを知りました。

以下は医療サイトの記事からの抜粋です。

> CTの総台数でも1位は日本で12,943台、2位はアメリカで12,740台です。
> 人口100万人あたりの台数はでも1位は日本で107台です。
quon-healthcare.com


quon-healthcare.com

検査数にいたっては、以下のようになっていました。

> 年間のCT撮影回数は、のべ約 2400万回、MRI撮影回数は、のべ約 1400万回です。 日本の人口が約 1.2億人なので、1年間でCTは約 5人に1人、MRIは約 10人に1人が撮影する計算になります。 google.com

日本では、1年間で 5人に 1人が CT スキャンを行っているようです。

すごいデスねえ…。

「そんなに検査する機会ってあるもんなんだろうか」とは思いますが、数字がこうなっているということは、結構いろいろと機会はあるものなのでしょうね。

また、日本では「 CT スキャンの検査回数の上限はないそうです。医師の判断で何度でもできる。

それにしても、日本の 1年間のがんの発生数は 95万件ほど(2020年)ですので、1年間のがんの 5万件弱ほどは、CT スキャンが原因である可能性があるのかもしれません。

これと同じような話としては、乳ガンの早期発見のために人の乳房を X 線撮影するマンモグラフィについて、以下のような事実があります。

1980年代にマンモグラフィが初めて導入されたとき、米国では乳ガン患者が 50%増加した。数年後、今度は前立腺の同様のスクリーニング検査が導入された際には、前立腺ガンの発生率は 2倍になった。

sciencealert.com


これは以下の記事で翻訳しています。

「早期発見されるガンの多くは過剰診断で、治療不要」であることがオーストラリアの研究で見出される。マンモグラフィを含むガンのスクリーニングは利点より害悪のほうがはるかに大きいという真実が明らかに
In Deep 2020年1月28日

そして、がんになれば、今度は化学療法(抗がん剤)へと移行していくわけで、これも典型的な「医療という名の悪の輪廻」だと思います。抗がん剤の副作用の真実については、最近の記事でも書かせていただいたことがありますが、医療に寄り添って生きていると、なかなか命を保つのは難しいことなのかもしれません。

そういう人をたくさん見てきました。

ここから記事です。



CTスキャンが驚くべき数のがん発症を引き起こしている可能性

CT Scans Could Be Triggering An Alarming Number Of Cancer Cases
StudyFinds 2025/05/05

研究者たちは、がん発生の割合はアルコール摂取量や体重超過に匹敵すると警告している。

毎年何百万人ものアメリカ人が、怪我、病気、あるいは健康状態のモニタリングのために CT スキャンを受けている。

これらのスキャンは不可欠な医療機器である一方で、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の科学者たちが主導した新たな研究によると、米国ではわずか 1年間のスキャンで、将来約 10万3000件のがん発症につながる可能性があるという憂慮すべき事態が明らかになった。

 

現在の慣行が続けば、CT 関連のがんは最終的にアメリカで毎年新たに診断されるがん全体の 5%を占めるようになり、CT スキャンはアルコール摂取 (5.4%)や体重過多 (7.6%)と同じリスクカテゴリに入ることになる。

 

医療放射線の隠れた危険性

研究者たちは JAMA 内科医学誌に掲載された研究でこう述べている。

CT は命を救うことが多いが、その潜在的な害は見過ごされることが多く、米国での CT の使用量が膨大であることを考えると、非常に小さながんリスクであっても将来のがん発生数の相当数につながるだろう。


研究チームは、2023年に 6,200万人の患者に対して実施された 9,300万件の CT 検査を調査した。複数の医療センターのデータを使用して、さまざまなスキャンの種類と患者グループの放射線量を計算した。

個々の患者にとって、1回のスキャンによるリスクはごくわずかだが、しかし、年間でこれほど多くのスキャンが行われると、こうした小さなリスクが積み重なって大きな公衆衛生問題となる。

成人は全 CT スキャンの 96.7% を受けており、予測されるがんの約 93,000件(91%)が発症するとされている。

子どもは成長期の組織が放射線によるダメージを受けやすいため、CT 検査 1回あたりのリスクが高くなる。この研究では、「 CT 検査 1回あたりの予測がんリスクは、1歳未満で CT 検査を受けた子どもで最も高く、被爆時の年齢が上がるにつれて低下すると推定された」ことが明らかになった。

 

がんの種類と高リスクスキャン

この調査では、予測されるがんの種類として、肺がん(22,400件)、大腸がん(8,700件)、白血病(7,900件)、膀胱がん(7,100件)が最も多く、女性では乳がんが 5,700件で 2番目に多いとされた。

腹部および骨盤部スキャンは、最も多くのがん発生と関連付けられており、CT 検査全体のわずか 32%であるにもかかわらず、全症例の約 40%を占めていた。

 

これらのスキャンは、放射線感受性の高い複数の臓器がかなりの線量に曝露される。胸部スキャンはこれに次ぎ、がん発生の予測症例の約 21%を占めている。

「マルチフェーズスキャン」と呼ばれる方法( 1回の CT 検査で複数の画像を撮影する)は、放射線被曝量を大幅に増加させる。

研究によると、これは検査の 28.5%で発生しており、「多くの場合、これらの検査ではシングルフェーズスキャンを使用することで、診断精度に影響を与えることなく被曝量を低減できる」という。

 

利益とリスクのバランス

研究著者たちは、決して CT スキャンという極めて重要な診断ツールを廃止することを提唱しているわけではない。

むしろ、CT スキャンの利点を維持しながら、不必要な放射線被曝を最小限に抑えるために、CT スキャンの活用方法を最適化する必要性を強調している。

この研究で予測されたがんの数は、これまでの推定をはるかに上回っている。

2009年の分析では、2007年の CT 被ばくによる将来のがん発生数は約 29,000件と予測されていた。この急増にはいくつかの要因がある。

2007年以降、CT の使用量は 30% 増加しており、研究者はスキャンの種類と放射線量に関するより正確なデータを入手している。また、今回の研究では、以前の推定では考慮されていなかった多相スキャンも含まれている。

 

自分を守る

医療団体はすでに、小児の画像診断のための「イメージ・ジェントリー (Image Gently)」キャンペーンや、過剰に使用されている検査を特定する「賢明な選択 (Choosing Wisely)」勧告など、不必要な放射線被曝を減らす取り組みを開始している。

専門家は、CT スキャンの前に次の質問をすることを推奨している。

・このスキャンは必要か?

・代わりに、放射線を使わない超音波検査や MRI 検査を受けることはできるか?

・最近、同様のスキャンが実行されたか?

・スキャンでは、合理的に最低限の放射線量が使用されるか?

医療界は現在、CT の利点を最大化しつつリスクを最小化するという課題に直面している。研究は、「 CT 検査の使用の正当性と線量の最適化、そして多相検査の必要性の考慮は、CT 画像診断の基本理念であり、潜在的な危害を軽減するためには、これらを妥協なく適用する必要がある」と結論づけた。

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