石破首相、持論貫徹不透明 コメ増産に農林族反発

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コメ増産の説明をする石破首相 食糧問題

石破首相、持論貫徹不透明 コメ増産に農林族反発

農林族の非公式幹部会合でも、首相の方針に反対意見が続出

 石破茂首相がコメの増産に踏み切る方針を表明した。「令和の米騒動」となった価格高騰を機に、長年の持論である増産に道筋を付けたい意向だ。ただ、農家への影響を懸念する自民党農林族は早々に反発しており、政権基盤が揺らぐ中で推し進められるか見通せない。

石破首相、コメ増産にかじ 輸出拡大、放棄地も活用―政策を抜本転換・関係閣僚会議

 首相は5日、コメの安定供給に関する関係閣僚会議に出席し、「生産量に不足があったことを真摯(しんし)に受け止め、今後の需給逼迫(ひっぱく)に柔軟かつ総合的に対応する」と強調。増産への転換を明言した。

 コメ増産は、首相が2008~09年に麻生内閣で農林水産相を務めた時からの自説。事実上の「減反政策」となる生産調整の見直しに取り組む。26年度予算の概算要求段階で、耕作放棄地の集約や輸出拡大支援などの関連予算を盛り込みたい考えだ。

 これに関し、立憲民主党の小川淳也幹事長は5日の記者会見で「増産は大事だ」と協力する姿勢を示した。国民民主党の玉木雄一郎代表も会見で「遅かったとはいえ正しい判断だ」と評価した。

 だが、自民の農林族は警戒感を隠さない。重鎮である森山裕幹事長は会見で「(コメは)安ければいいということではない」と増産方針にくぎを刺した。斎藤健元農水相も国会内で講演し、人口減少が進んでいるとして「相当注意が必要だ。同じ量を生産するだけで価格が暴落していく」と警鐘を鳴らした。

 5日に開かれた農林族の非公式幹部会合でも、首相の方針に反対意見が続出。その後の農林部会などの合同会議では、26年度予算概算要求が議題となる予定だったが、この日の議論は見送られた。非公式幹部会合に出席した一人は「絶対に認められない」と語気を強めた。

 農家は自民の有力な支持基盤の一つ。大敗した先の参院選では保守層の離反が目立ったため、これ以上の組織弱体化に危機感が強い。

 首相は続投の意向を重ねて示すが、コメ増産は「石破降ろし」の動きに拍車を掛けかねない。窮地の首相にとって森山氏は頼みの綱。どこまで突き進むか難しい判断を迫られそうだ。

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