《コーマン事務総長も税率引き上げを主張》国民会議の「食料品消費税ゼロ」議論が遅れる
「消費税18%」を提言したOECD、財務省・国税庁からの出向組が多い現実
高市早苗・首相が悲願と称す「食品の消費税ゼロ」の実現に暗雲が垂れ込めている。抵抗勢力とされる財務省は海外の機関を使って外堀を埋め、消費減税どころか、むしろ増税に舵を切る方向に持っていこうとしているのではないか――その策略の裏面に迫る。【前後編の前編】
公然と上がり始めた減税への慎重論
「夏前にまとめるのは無理ではないか」(古川元久・国民民主党税調会長)
高市公約の「食品の消費税ゼロ」を議論する国民会議のメンバーからそんな声が飛び出した。
高市首相は「今年度内」の食品税率ゼロ実現を目指すとしていたが、目算が大きく狂っている。
内閣官房の国民会議事務局に聞くと、「政府は中間とりまとめを『夏前、6月中』と言っていますが、具体的なスケジュールは決まっていません」と認めた。実務者会議のメンバーでチームみらいの政調会長、古川あおい・衆院議員もこう話す。
「事務局から『中間とりまとめに向けた議論の整理』という資料が提出されましたが、とりまとめに向けた具体的な議論や合意にはまだ進んでいません」
結論が遅れて法案を秋の臨時国会に提出できなければ、来年の通常国会へ先送りだ。これで物価高騰対策と言えるのか。
しかも、議論が遅れる間に減税への慎重論が公然と上がり始めた。
日本商工会議所の小林健・会頭(元三菱商事会長)は5月13日の会見で、「減税を実施した場合、2年で税率を元に戻すことにエネルギーを使う価値があるのか」と疑問を呈し、来日中のOECD(経済協力開発機構)のコーマン事務総長は同日の講演で、「食品の消費税ゼロは大雑把でコストがかかる。高所得世帯に不均衡に大きな恩恵を与える」と反対論を展開した。
〈消費税率を毎年1%ずつ引き上げ、最大18%まで引き上げ〉
さらに見逃せないのは、OECDがこの日公表した「対日経済審査報告」での提案だ。
報告書では「日本の公的債務残高はOECD諸国で最高水準」「(消費税の)現在の税率10%はOECD諸国で最低水準」などと指摘し、国の借金(公的債務)を減らす推奨改革パッケージを提案。そこには〈定年年齢を平均寿命に連動させた年金制度改革〉などと並んで、〈消費税率を毎年1%ずつ引き上げ、最大18%まで引き上げ〉という増税案が例示されている。
コーマン事務総長も講演で、「消費税は最も経済効率的な歳入源の一つ。日本はこの手段を十分に活用できていない」と税率引き上げを主張した。
コーマン氏は前日に高市首相や片山さつき・財務相と面会しており、当然、“増税提案報告書”も承知しているはずだ。
なぜ、OECDがこんな増税提案をしたのか。
OECDは欧米諸国や日本、韓国など先進38か国が加盟し、経済、財政、環境、社会保障など幅広い分野の政策分析や調査、提言を行なっている。
日本は米国に次ぐ2位の出資国で、国の2024年度決算によると、財務省はOECDの税制、金融分野等の技術協力プロジェクトに年約13億円を拠出する大口スポンサーだ。
また、OECDには約90人の日本人職員がいるが、中央省庁からの出向組のなかでは財務省から5人、国税庁6人と財務・国税からの出向者が断トツに多い(2025年末、人事院調べ)。財務省有力OBの天下り先としても知られ、事務総長に次ぐナンバー2の事務次長を武内良樹・元財務官、玉木林太郎・元財務官など3代続けて財務省出身者が務めた。
元財務省審議官の本田悦朗氏はこう話す。
「OECDには各種委員会があって、財務省から派遣される人間は委員長を担うことも多い。租税委員会というのもあって国際二重課税問題などを扱うが、ここは日本が委員長を務めることが多いと記憶しています」
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【つづきを読む→】OECDが日本に「消費税18%」引き上げ提言、その背後にちらつく財務省の影 「財務省が国際機関を使った腹話術で日本に増税させようとしている」
※週刊ポスト2026年6月5・12日号



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