米イランの戦闘終結に向けた覚書の全文が明らかに 高濃縮ウランの現地希釈やホルムズ海峡の航行再開など14項目
アメリカ政府高官がイランとの戦闘終結に向けた覚書の全文を明らかにしました。イランの高濃縮ウランを現地で希釈して処分することや、ホルムズ海峡での商船の航行の再開などが盛り込まれています。
アメリカ政府高官は17日、イランとの戦闘終結に向けた全14項目からなる覚書の全文を明らかにしました。
レバノンを含む、全ての戦闘を終結するとし、最大60日間の交渉期限を設けて最終合意を目指すとしています。
焦点となっていたイランの核兵器開発問題について、イランが開発を放棄するとした上で、貯蔵されている高濃縮ウランについては、IAEA=国際原子力機関の監督下で現地で希釈して処分するとしています。
トランプ大統領が求めていたアメリカへの引き渡しは明記されませんでした。
また、ホルムズ海峡をめぐっては、イランが商船に対し、署名後、60日間、無償での安全な航行ができるよう努めるとしたほか、アメリカ軍が実施している封鎖措置については30日以内に終了するとしています。
こうした覚書の内容をイランが実行し、最終的な合意に至れば、アメリカによるイランの資産の凍結が解除されるとしています。
加えて、アメリカがイランの原油輸出に関連する制裁を解除することや、イランの復興のために中東地域のパートナー国とおよそ48兆円の資金を調達し、開発計画をまとめるなどとしています。
アメリカ政府高官は、今後の最終合意に向けた交渉でイラン側が引き延ばしを図った場合には「即座に交渉を打ち切り、圧力を強める」とし、「トランプ大統領は今後の対応に関する多くの選択肢を持っている」とイラン側を牽制しています。
イランとの覚書14項目全文
【第1項】米国とイラン、そして現在の戦争におけるその同盟国は、この覚書に署名することにより、レバノンを含むすべての戦線における軍事行動の即時かつ恒久的な終結を宣言する。今後は互いにいかなる戦争または軍事行動も開始せず、武力の威嚇または行使を控え、レバノンの主権および領土保全を保証することを約束する。最終的な合意は、レバノンおよびこの項の他の規定を含む全ての戦線における戦争の恒久的な終結を確認する。
【第2項】 米国とイランは互いの主権および領土保全を尊重し、互いの内政への干渉を控えることを約束する。
【第3項】米国とイランは60日以内に交渉を進めて最終合意を達成することに全力を尽くす。双方の合意で延長可能とする。
【第4項】この覚書の署名後、米国は直ちに海上封鎖やイランに対するあらゆる妨害、支障の解除を開始し、30日以内に海上封鎖を完全に終了させる。この期間中に、船舶の航行は戦闘開始前の数に比例する状態にイランが回復させる。米国はさらに最終合意から30日以内にイラン周辺の米軍を撤収させることを約束する。
【第5項】覚書署名後、イランはペルシャ湾とオマーン湾の間(ホルムズ海峡)に限り、60日間は無料で商船の安全な航行に最善の努力を尽くす。商船の航行は直ちに開始し、技術的および軍事的障害の除去や、イランによる機雷の除去の必要性を考慮し、30日以内に(戦前の水準に)回復させる。イランは適用される国際法およびホルムズ海峡沿岸国の主権的権利に沿って、他のペルシャ湾岸諸国と協議しつつ、同海峡における将来の管理や海上サービスを定めるためにオマーンとの対話を実施する。
【第6項】米国は地域のパートナーと協力し、イランの復興および経済開発に向けて少なくとも3000億ドル規模の確実で相互に合意された計画を策定することに取り組む。計画の実施の仕組みは、60日以内に最終合意の一部として確定する。関連する金融取引に必要なあらゆるライセンスや適用除外措置、許可は米国が付与する。
【第7項】米国は最終合意の一部として合意される日程に従い、国連安全保障理事会決議、国際原子力機関(IAEA)理事会決議、および米国による一次・二次制裁を含むあらゆる種類の対イラン制裁を解除することを約束する。イランと米国は上述の制裁解除問題が極めて重要であることを認識し、この問題について相互の合意を達成するため、交渉において直ちに取り組む意向を表明する。
【第8項】イランは核兵器を調達または開発しないことを再確認する。米国とイランは第7項に記載された日程に従い、相互に合意する仕組みに基づいて、備蓄された濃縮物質の処分について解決することで合意した。IAEAの監視下で現地で希釈することを最低限の手順とする。双方はまた、最終合意で定める枠組みに基づき、濃縮問題やイランの原子力上のニーズに関するその他の相互に合意した事項について協議することに合意した。最終合意は本項の規定を確認するものとなる。米国とイランは上記の核問題が極めて重要であることを認識し、それらに関する相互の合意に達するために、交渉で直ちにこれらの問題に取り組む意向を表明する。
【第9項】最終合意に至るまでの間、米国とイランは現状を維持することで合意する。イランは核計画の現状を維持し、米国は新たな制裁を科さず、また地域への米軍の追加派遣もしない。
【第10項】米国はこの覚書の署名直後から制裁が解除されるまで、イラン産原油、石油製品およびその派生品の輸出、銀行取引、保険、輸送等を含む全ての関連サービスについて、米財務省が適用除外措置を発出することを確約する。
【第11項】米国はこの覚書の履行に伴い、イランの凍結または制限されている資金や資産を完全に利用可能な状態にすることを約束する。米国とイランは交渉の過程で、これらの資金の凍結解除に関する手続きについて相互に合意する。当該資金は元の口座で維持されるか振り替えられるかに関わらず、イラン中央銀行が指定する最終的な受取人への支払いに完全に利用可能な状態にするものとする。米国はこれに必要なすべてのライセンスや認可を発行することを約束する。
【第12項】米国とイランはこの覚書の円滑な履行および将来の最終合意の順守状況を監視するための実施メカニズムを構築することに合意する。
【第13項】この覚書への署名後、かつこの覚書の第1、4、5、10、11項の実施が開始され、かつ継続的に実施されることを条件として、米国とイランはその他の項に限った最終的な合意に向けた交渉を開始する。
【第14項】最終合意は国連安保理の法的拘束力のある決議で承認する。


コメント