すべての要因が危機的になってきている。今年の年末以降に供給不足が表面化してくる。
少し前に「JPモルガンが次の世界的食糧危機が近づいている可能性を公式に警告している」という記事を書かせていただきました。
その後、時間の経過(ほんの短い時間)の中で、状況はさらに深刻化しているように見えるようになっています。
特に「小麦」が問題です。
小麦の大きな生産国はたくさんありますけれど、これまでは、仮にどこかの国で小麦生産が不調だったとしても、他の国が代替として機能し続けていたため、「破壊的な小麦不足」というようなことになることは、あまりありませんでした。
しかし、現在は、その多くの国が、それぞれ別の問題として、小麦生産や輸出の問題を抱えていまして、どうもこう通常とは異なる状況となっているようです。
世界の小麦生産量トップ10は以下の国です。
世界の小麦生産量トップ10国
・1位:中国
・2位:インド
・3位:ロシア
・4位:アメリカ合衆国
・5位:カナダ
・6位:オーストラリア
・7位:パキスタン
・8位:フランス
・9位:ウクライナ
・10位:トルコ
日本が小麦を輸入しているのは実質的に、この中のアメリカとカナダとオーストラリアがほぼ全部ですが、日本との絡みとは関係なく、上のそれぞれの国の状況を簡単に示します。
・1位:中国(生産は過去最高だが、人口が多いため、ほぼ自国で消費。足りない分は輸入しているほど) 関連記事
・2位:インド(中国と同じで、生産は過去最高だが、ほぼすべて自国で消費) 外部記事
・3位:ロシア(戦争で黒海などの物流と輸送、それと保険料の高騰で通常の輸出ができていない。しかも極端なディーゼル不足) 関連記事
・4位:アメリカ合衆国(今年の小麦の収穫面積が約 150年ぶりの超低水準となることが確定) 関連記事
・5位:カナダ (小麦の収穫量が減少すると予測されている)外部記事
・6位:オーストラリア(種まき期の乾燥によって作付面積が過去 7年で最低水準に) 外部記事
・7位:パキスタン(生産は順調でも、他国への輸出の余裕はない)
・8位:フランス(猛暑と干ばつで壊滅的な農業被害) 関連記事
・9位:ウクライナ(戦争により通常の輸出がほぼ停止状態) 関連記事
・10位:トルコ(生産は順調でも、他国への輸出の余裕はない)
農業関係メディアの MILLER 紙は「輸出国が最大の損失を被る」として以下のように記しています。小麦輸出国はほぼすべて生産量が減少すると予測されています。
主要な小麦輸出国は、2025/26年度に比べて約 5000万トン少ない生産量になると予想されている。Expana社は、ウクライナを除くすべての主要輸出国で、前年比で大幅な減少が見込まれると予測している。
欧州連合、ロシア、米国、オーストラリア、カナダ、アルゼンチンはいずれも、小麦の収穫量が減少すると予測されている。
「ウクライナを除く」とありますが、ウクライナはどれだけ小麦の生産が順調でも、黒海の港湾への攻撃などにより、輸出することがまったくできないままです。
こういう状況で、2026年から 2027年にかけて、小麦を含む穀物価格が上昇しない理由もあまりなく、実際、国際的な小麦価格は、2年ぶりの高値となっています(もっとも、2022年などの高騰に比べると、まだまだ低いですが)。
2027年8月24日までの1年間の小麦価格の推移
tradingeconomics.com
日本は、アメリカ、カナダ。オーストラリアからの小麦輸入がメインとなっていますが、この 3カ国とも生産量の減少が予測されていて、特にアメリカの小麦生産量は、
「 1970年代以来 55年ぶりの歴史的な低水準になる」
ことが確定的になっています。
以下は、アメリカの米国の小麦収穫面積ですが、これは 150年ぶりの低さです。
米国の小麦収穫面積(1866年~2026年、単位:百万エーカー)
nofia.net
しかも、日本の場合、歴史的な円安などの問題もあり、輸入コストは上昇し続けると見られます。
気候の問題
現在進行しているエルニーニョについては何度か記事にしました。以下などです。
大量飢餓の別の要因:エルニーニョが「スーパー」を超えて「メガ」になりつつある。同様の現象が起きた1877年には飢餓により全世界で5000万人以上が死亡
2026年5月13日
このエルニーニョが、スーパーエルニーニョに発達する可能性はさらに強まっていて、現時点で前回のスーパーエルニーニョ(2015- 2016年)の成長(観測海域の海水表面温度)を超えています。
観測海域の分析
severe-weather.eu
スーパーエルニーニョと定義されるされるしきい値(海水温の上昇幅)は +2.0 とされていますので、もう超え始めているとも言えます。
結局、今後 地球全体で「通常とは異なる気象パターン」が見られることが確定的となっています。
気象分析メディアのシビアウェザー・ヨーロッパは、最近の記事の冒頭で以下のように書いています。
最新の2026年秋の予報によると、スーパーエルニーニョ現象の勢力拡大に伴い、北半球全体で例年とは異なる気象パターンが展開される見込みだ。
主な兆候は、カナダ上空の強い高気圧異常、北太平洋上の低気圧、そして米国南部を横断する活発な暴風雨の進路であり、これらは通常、寒冷期後半に見られるパターンを形成している。
スーパーエルニーニョ現象による強制力は、大気中の季節的な変化と強く相互作用する。そのため、スーパーエルニーニョ発生時には秋から冬への移行期が特に敏感になり、強い熱帯性強制力が連鎖的に嵐の進路や気温異常の大幅な変化につながる可能性がある。
これは、どこが寒くなったり暑くなったりするとか、どこで気候が荒れやすいか、などを特定するものではないですが、アメリカとヨーロッパについて分析したページで、いずれにしても、秋以降、どの地域にしても、あまり穏やかな気象パターンとはなりにくいようです。
全体的に何か劇的な改善…たとえば、ホルムズ海峡の問題がある日突然解決するとか、突然アメリカの小麦生産量が大幅に増加するとか、エルニーニョが急速に収束するとか、ディーゼルがいくらでも夢のように調達できるようになるとか、円安が急速に収まっていくとか…。
こういうドリーミンな事態でもない限り、食糧問題は拡大すると見られます。
まずは、一部の国での飢餓や、世界の小麦価格の上昇などから始まると思われますが、事態がそこで終わるのかどうかはわかりません。
ちなみに、日本の小麦備蓄量は 2カ月と少し分です。




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