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インタビュー:米イラン合意も「原油価格、すぐには紛争前に戻らず」=日本エネ研・小山氏

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原油を運ぶタンカー エネルギー

インタビュー:米イラン合意も「原油価格、すぐには紛争前に戻らず」=日本エネ研・小山氏

今回の教訓を踏まえて日本は原油輸入の多角化が必要!

[東京 16日 ロイター] – 米国とイランが戦闘終結に向けて合意し、ホルムズ海峡の通航正常化への期待が高まっている。原油輸送が回復するとの見方から、15日の米原油指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物は1バレル80ドルを一時割り込んだ。
日本エネルギー経済研究所(IEEJ)の小山堅専務理事は「合意の履行​には不透明感が残っており、原油先物は紛争前の水準にすぐには戻らないだろう」と指摘。その上で、「通航再開に時間がか‌かるようならば、価格が再び上振れする展開は十分にある」と話した。
小山氏は、国際石油・エネルギー情勢の分析を専門とする。今回のホルムズ危機について「日本のエネルギー政策の見直しを迫るものだ」との見方を示し、「米国産シェールオイルなど中東以外からの原油処理を増やすには、製油所の設備改修が欠かせない。国の支援の是非を議論すべきだろう」と述​べた。一問一答は次の通り。
――米国とイランが和平の枠組みで合意した。
合意に向けた両国の動きは、トランプ米大統領の発言をはじめ様々な形で伝わってい​た。ただ、交渉が停滞しているようにも見え、最終的にどう折り合うのかは見通しにくかった。そういう意味では唐⁠突な発表だった。米国側では政権の支持率低下を懸念する声が出ており、イラン側も原油の輸出減に伴う経済悪化を背景に妥協を探る必要があった。双​方が国内向けに「成果」と説明できる形を探り、合意のタイミングを見計らっていたのだろう。
――ホルムズ海峡の通航正常化にはどの程度の時間がかかるか。
仮に双方が19日​に署名したとしても、実際の正常化には少なくとも1カ月以上かかるとみる。(敷設されたとみられる)機雷を撤去し、通航の安全確認が確保されることが大前提だ。その上で、まずは湾内に滞留している船舶を安全に湾外に退避させる必要があろう。
ただし、7月後半に、本当に正常化しているかどうかは不透明感が極めて強い。誰が最初にリスクを取って海峡に入り、原油​や液化天然ガス(LNG)を引き取るのかという問題が残る。船舶保険や用船料の価格も、紛争開始前と同じ水準にすぐに戻るとは考えにくい。
――原油生産の回復は順調に進​むか。
現時点では(紛争開始前と比べて)日量で1000万バレル規模の生産減少が続いている。産油国ごとに被害の度合いは異なっており、アラブ首長国連邦(UAE)などは大規模な攻撃を‌受けたとみら⁠れる一方、サウジアラビアへの攻撃は相対的に軽微とされる。各国は油田や積み出し港、パイプラインなど関連インフラの損傷状況を検証し、今後公表していくとみられる。
油田は一度止めると、単にスイッチを入れ直せば元に戻るものではなく、設備点検に日数がかかる場合もある。もっとも深刻な損傷がないと確認されれば、年後半から(生産が)本格回復する可能性はある。
――原油先物価格の見通しは。
最近は、合意間近と伝わる度に先物価格が下がるなど、和平合意の成立をす​でに織り込んでいた。したがって、目先​で価格がさらに下がるシナリオ⁠は考えにくい。最終的な和平成立には核開発などの難題が残っており、今後の焦点は「合意が本当に機能するのか」に移っている。海上輸送や生産の正常化への道筋が明確になれば、紛争前の水準(60ドル台)に徐々に近づく可能性はある。
一方で、通航​再開に時間がかかったり、合意履行に不透明感が出てくれば、価格が再び上振れする展開は十分にあろう。
――日本の​エネルギー政策にとっ⁠ての教訓は何か。
今回の危機は、「ホルムズ海峡は閉鎖されない」という常識の上に成り立ってきた日本のエネルギー政策の見直しを迫るものだ。日本は1次エネルギー全体では中東原油への依存度を下げてきたが、原油輸入の中東依存度はなお9割を超える。米国産シェールオイルなど中東以外からの原油の処理を構造的に増やすには、国⁠内製油所の設​備改修が欠かせない。設備投資を巡っては、政策的な後押しの是非を議論すべきだろう。
備​蓄についても、原油の日数確保にとどまらず、ナフサ(粗製ガソリン)をはじめとした製品別の内訳を再点検する必要がある。また、日本だけでなく、アジア各国の備蓄強化を支援し、安定供​給のための枠組みを整備すべきではないか。地域全体で危機対応力を高めることは、日本のエネルギー安全保障につながるはずだ。
 
(聞き手・小川悠介 編集:橋本浩)

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