江本孟紀氏、荻原博子氏、森本英世氏 ワクチン4回目「打ちたくない」人の本音

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ワクチン接種 コロナワクチン

江本孟紀氏、荻原博子氏、森本英世氏 ワクチン4回目「打ちたくない」人の本音

政府のやり方に疑問が出てきている4回目接種

 2回のはずが3回になり、さらに4回目が取り沙汰されているのが新型コロナウイルスのワクチンだ。正直なところ、「もう打ちたくない」と考える人も出てきている。

 また打つのか──と戸惑った人も少なくはない。厚労省は4回目のワクチン接種準備を5月下旬までに終えるよう全国の自治体に通知した。

 昨年12月に開始した3回目の追加接種は、国内全体の接種率は46%で、65歳以上は85%にのぼる(4月12日時点)。

 そんななかで進められている「4回目接種」だが、専門家の意見も割れている。すでに開始しているイスラエルではオミクロン株に対しては感染防止効果は不十分とする研究報告も出ている。3月24日に開かれた厚労省の分科会でも「4回目が本当にすべての人に必要か議論すべきだ」といった慎重な意見も相次いだ。

 

 ナビタスクリニック理事長の久住英二医師が語る。

「2回接種後以上に抗体を高めることができるのが3回目接種でしたが、4回目接種は時間とともに下がってくる抗体価を再び上げて、より長く維持させるための接種となります。

 そのため60歳以上の高齢者、基礎疾患がある人など重症化リスクが高い人は、4回目も受けたほうがよいとされています。それ以外の人については、3回目接種でも重症化を防ぐとみられているため、どのような人を対象にするのが最もメリットがあるのか世界中で検証されているところです」

 これまで3回目の追加接種までは済ませた人でも、4回目となると躊躇してしまうところはあるだろう。

「打った」と言うために打つ

 野球評論家の江本孟紀氏(74)は「4回目を打てというなら打ちますけどね」と前置きしてこう明かす。

「取材現場ではワクチンを打っていないと入れないところがありますし、3回目接種をしても、東京ドームに取材に行くたびに、抗原検査をやらないといけない。そんなご時世ですからね。

 ワクチンは打っても打たなくても同じだとオレは思っている。ただ、ワクチンを打っておけば仕事に支障はなく、何回やってもタダ。ワクチンの副反応もなかったから、それなら5秒ぐらい我慢してもいいかなというだけです。まったく意味がないと思っていますがね」

 仕事や世間体から打てと言われれば打つものの、本音では違うということはある。飲食店に勤める男性(58)はこう語る。

「人と接する仕事をしていますし、妻も介護施設で働いています。そうなると口が裂けても『打ちたくない』とは言えません。飲食店ではワクチン接種は“印籠”のようなもので、店やお客さんとの会話でも『打った?』という話になってしまいますからね。ただ、4回目はもう勘弁してくれ、と思っています。

 今年2月に陽性になりましたが、基礎疾患もないので症状はほぼなかった。正直、コロナの症状よりも、ワクチンの副反応のほうがつらかったから打ちたいとは思えない。ただ、仕事先や周囲の人に『4回目も打った』と言うためだけに、不本意ながら打つことになるでしょう」

 もはや、何のためにワクチンを打つのかわからなくなってきたという。

「私自身、3回目接種はしましたが、4回目のことは頭にありません」

 そう語るのは経済ジャーナリストの荻原博子氏(67)だ。

「副反応などからワクチン接種自体を怖がっているわけではありません」という荻原氏は、4回目接種よりも他に講じるべき対策があると語る。

「伝えられるところでは、4回目ワクチンの効力は低いという報告もあるじゃないですか。今のオミクロン株は、油断してはならないけれど、感染しても軽症の場合が多いと言われます。そうしたなかで何も考えずにただワクチンを打てばよいという政府の発想は疑問です。

 本来は3回目接種を徹底することと、オミクロン株のような感染力の強い状況に対応することが優先のはずです。入院や隔離の方法など、感染者やその家族などに的確にできるような体制を整えることのほうが必要でしょう。だからワクチン4回目は、今必要な対応ではないと思います」

3回接種後に感染

 重症化阻止という観点から「今後も4回でも5回でも6回でも打つ」と語る中高年がいる一方で、すでに4回目を「打たない」と決めた人もいる。流通会社役員(67)はこう語る。

「まだ現役で会社にも行かないといけないから義務だと思って3回目も打ちましたが、2回目と同じように激しい頭痛と発熱で2日ほど寝込みました。今も偏頭痛のようなものが残っていて頭の中がすっきりしない。頭痛外来にも行きましたが、ワクチンの副反応とは診断してもらえなかった。

 そんななかで4回目を打つとどうなるのか、恐怖でしかない。副反応がなければ何回でも打っていいと思いますが、次は命にも関わるのではないかと本当に考えてしまう。仕事のことで迷ってはいたが、4回目は打たない選択をするつもりです」

 進んでワクチン接種をしていたものの、コロナに感染したことによって考えが変わることもある。自営業の男性(70)はこう語る。

「親しい人に“反ワクチン”の人もいましたが、僕は積極的に打っていました。健康体とは言えないし、それが大人のたしなみだと思っていました。ところが、3回目を打った2週間後にオミクロン株に感染しちゃったんです。会食の約束をしていた人に連絡したら『3回目打ったばかりなのに感染しちゃったの? そんなもんなんだ』と驚かれて、僕のショックも相当大きかった。幸いにも症状は発熱ぐらいだったから自宅療養で済みましたが、それだったらいつまでもワクチン、ワクチンとしなくてもいいんじゃないかなという境地になりましたね。4回目もあるなら5回目もあるでしょうし、キリがない。“4回目はもうやらない”と会社の人間や家族には伝えました」

 ところが、「打たない」と決めていても、周囲への配慮が必要なことを痛感しているという。

「会社の人間からは、『打たないことを外では言わないでくれ』とそれとなく注意されました。妻のほうはもっとキツくて、『打たなくても結構ですけど、誰かに聞かれたら打ったと答えてくださいね』と。確かに、仕事関係者や会食相手の顔を浮かべると、4回目接種が始まってそういう話題になったら、僕も『打つ』と言うと思います」

歌に支障が出る

 そんななか、「タイガーマスク」の主題歌や、敏いとうとハッピー&ブルーのヴォーカルとして知られる歌手の森本英世氏(73)は「4回目は打たない」と公言する。

「もともとアレルギー体質で、ワクチンには副反応があると聞いたので不安がありました。が、亡くなる人や入院患者が増えていき、新型コロナに感染して肺炎の症状が出てしまうと歌手にとって致命的だと考えて、打つことを決意しました。

 2回目も『嫌だなぁ』と思いながら打ちましたが、3回目の時は接種率がすぐに伸びなかったこともあり、できれば回避したいと思っていました。ただ、感染者数がまた伸びて自治体やボランティアの方から誘われたこともあって打ちました。そしたら38度5分の高熱が出て食欲も落ち、数日間療養しなければならなくなった。そうなると今度はワクチンの副反応で歌えなくなったらどうしようと心配になったのです」

 コロナ禍のこの2年間、森本氏は発声練習などを一からやり直し、体力作りにも励んでいた。今年は、感染対策を万全にしながらコンサートの開催も計画しているという。

「そんななかで4回目接種の議論が出てきました。それで感染や重症化を防げるのかもしれないが、もっと強い副反応が出て歌に支障が出るかもしれない。そう考えると、打とうとは思えなくなっているんです。現時点では、私は歌のために4回目接種はやめようと考えています」

 この多様な考え方を見ても、ワクチン政策が岐路を迎えているのは間違いない。

※週刊ポスト2022年4月29日号

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