このまま「マイナ保険証」が普及すると、日本社会が「壊滅」しかねない理由

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マイナ保険証 マイナンバーカード

このまま「マイナ保険証」が普及すると、日本社会が「壊滅」しかねない理由

悪用されたらただでは済まない危険なマイナ保険証

マイナンバーカードはその利便性の裏にさまざまな問題を抱えている。それは個人情報の漏洩や更新手続き忘れだけには止まらない。更なる問題点を、前編記事「「マイナ保険証」のせいで、医療費が「全額自腹」になりかねない怖すぎる理由」に引き続き紹介する。

医療情報が漏れていく

もうひとつの大きなリスクが「医療情報の漏洩」だ。マイナンバーカードと健康保険証が一体化すると、従来の保険証とは比較にならないほどの情報が、たった一枚のカードに紐づけられる。医療機関を受診した際の情報漏洩リスクが格段にあがるというわけだ。

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いつき会ハートクリニック院長の佐藤一樹氏が説明する。

「政府は今後、マイナ保険証を利用すれば医療機関が電子カルテを見られるようにするほか、民間企業が活用できるようマイナンバーカードと様々な医療情報を紐づけていくつもりです。

一見すると便利ですが、しかし、患者さんの病歴や治療歴、感染症情報は、最も重要な個人情報です。それがカード一枚と暗証番号ひとつで見られるようになる。

来年秋からは診療を受けるためには毎回マイナンバーカードが必要になるので、常日頃からカードを持つ人が増えるでしょうが、それだけ紛失や盗難のリスクも上がり、絶対に漏洩してはいけない医療情報が第三者の目に触れてしまう可能性が非常に高まってしまうのです」

 

5月12日、厚生労働省がある衝撃の調査結果を発表した。マイナ保険証に別人の情報が紐づけられていたケースが、2021年10月から2022年11月までの間で、約7300件もあったというのだ。その中には、実際に他人の医療情報を閲覧してしまったケースもあったという。

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立命館大学情報理工学部の上原哲太郎教授はこう指摘する。

「マイナ保険証の申請を受けて、各健康保険組合がマイナンバーと被保険者の情報を紐づける入力作業を行うのですが、一部で人の取り違えや番号の入力ミス、書き損じなどのヒューマンエラーが起こったと考えられます。結局、このような入力システムを採用している時点で、どうしたってミスは起こってしまう」

政府がどれだけ安全をうたっても、必ずどこかに穴ができ、そこから大切な医療情報が漏れ出すリスクはどうやっても取り除けない。

「医療情報の安全が保障されていない」として、前出の佐藤院長ら全国の医師1075人は「マイナ保険証の義務化阻止」を掲げて国を提訴しているが、大きな懸念が生じているのは医療の現場だけではない。介護の現場も、マイナンバーカードと健康保険証の「対策不足のままの一体化」に悲鳴を上げている。

神奈川県を中心に特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人秀峰会のある施設長が実情を明かす。

「マイナンバーカードと保険証が一体化することで、介護施設の負担が激増するのは間違いありません。というのも、マイナ保険証を利用する際には、4桁の暗証番号が必要になる場合があるのですが、この暗証番号を忘れないよう、入居者の方は紙やノートに書き記しておくことになります。

多くの入居者はこれを施設に預けるでしょうが、施設側は暗証番号とカードを同時に管理しなければなりません。管理するものが多くなるほど、紛失や流出する可能性が格段に高くなる。

健康保険証と違い、マイナンバーカードには恐ろしいほど多くの個人情報が紐づけられています。もしもカードと暗証番号の両方を紛失してしまったり、何者かに盗まれたりすることがあったら、入居者の大切な個人情報が悪用されてしまう」

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保険証と一体化したマイナンバーカードと暗証番号の二つがあれば「マイナポータル」上で、その持ち主の個人情報を簡単に閲覧できる。これで、住所や生年月日、医療情報はもちろん、納税額をもとにおおよその資産状況や銀行口座の番号まで把握できてしまうのだ。

「介護業務に関わる人は多岐にわたるので、悪意を持ってマイナンバーカードと暗証番号を持ち出す人間がいるかもしれないし、介護施設に泥棒が入ってまとめて奪われてしまうかもしれない。

そこから闇サイトなどに、マイナンバーに紐づいた個人情報が流れてしまうのではないかという現実的な懸念があるのです」(同施設長)

そう聞いて思い出されるのが、昨年11月から今年の1月にかけて関東地方で多発した、高齢者を狙った連続強盗事件だ。犯人グループは住所や家族構成、資産状況などが記載された「闇名簿」を参照しながらターゲットを選んでいたというが、介護施設から流出した個人情報が「闇名簿」に載り、強盗の格好のターゲットとなるかもしれない。

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国民の命や安全を守るために

「特殊詐欺の世界にはすでに大量の名簿が出回っていますが、その名簿に『家族構成』や『資産状況』といった細かな情報がどれだけ書かれているかで、名簿の価値がまったく変わってきます。

もしもある一帯の地域のマイナンバーカードと暗証番号が手に入れば、それは特殊詐欺組織にとってまさに宝の山。莫大な情報が詰まった地域一帯の名簿を作ることができ、高い値で闇市場で取り引きされるでしょう」(犯罪ジャーナリスト)

情報自体が高い価値を持つとなれば、介護施設にあるマイナンバーカードを狙った強盗が現れる恐れもあるし、出入りしている業者がおカネ欲しさに盗み出してしまう可能性もある。住宅や宝石店に強盗に入る彼らからすれば、これぐらいは朝飯前だろう。一枚のカードを狙い、犯罪が急増する可能性があるのだ。

この半年間でマイナ保険証を申請した人は約3000万人に上った。’24年秋に実際に保険証が廃止されるなら、マイナ保険証の所有者数は何倍にも跳ね上がるだろう。

その更新期限は5年後の’29年に集中してやってくる。警察庁の発表によると、運転免許の場合、’18年だけで23万件の更新忘れがあったというが、マイナ保険証の場合は高齢者が数多く含まれているうえ、更新手続きは煩雑。100万人単位の更新忘れが起こってもおかしくない。

現在も無保険者は存在するが、今後短期間で数百万人も無保険者が増加し、犯罪者たちが常に高齢者のマイナンバーカードと資産を狙って町を徘徊しているような国と化したら、日本の治安は極限まで悪化しかねない。

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「このままではマイナ保険証の浸透によって国も医療も荒廃しきってしまうかもしれません。医療は命を支えるもの。それが荒廃することで、健康や財産を失って破滅せざるを得ない人が続出することを危惧しています」
(経済ジャーナリストの荻原博子氏)

現場の悲痛な叫びや看過できないリスクを無視して、政府のゴリ押しで進められるマイナンバー政策。国民の命や安全は、プラスチックでできたわずか5gのカードより軽いのだろうか。

さらに関連記事【2万円分の「マイナポイント」に釣られて「マイナ保険証」を作った人が抱えている「恐ろしいリスク」】では、それ以外のリスクについても解説していく。

「週刊現代」2023年5月27日号より

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