「増税メガネ」岸田首相の「失策」がここで連発…所得税減税でブレブレの自民党

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「増税メガネ」岸田首相の「失策」がここで連発…所得税減税でブレブレの自民党

減税実施が遅れるとしても、消費減税や給付金は、今国会で補正予算や税法改正を手当すれば、かなり迅速に処理できるだろう

解散チャンスを逃した男

最近、岸田政権の内閣支持率が下がっている。その結果は以下の通りだ。

毎日新聞(14、15日)25%  前回調査と同じ
https://mainichi.jp/articles/20231015/k00/00m/010/160000c
共同通信(14、15日)32.3% 7.5ポイント下落
https://nordot.app/1086208438105538999
読売新聞(13~15日)34% 1ポイント下落
https://www.yomiuri.co.jp/election/yoron-chosa/20231015-OYT1T50143/
朝日新聞(14、15日)29%  8ポイント下落
https://www.asahi.com/articles/ASRBH7KL5RBDUZPS001.html
産経新聞(14、15日)35.6%  3.3ポイント減
https://www.sankei.com/article/20231016-T466YLTNWVKGNAANSNMSMI6GCQ/
時事通信( 6~  9日)26.3% 1.7ポイント下落
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023101200778&g=pol
NHK    ( 7~  9日)36%  前回調査と同じ
https://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/

photo by gettyimages


そうした中、10月22日、衆参補選が行われた。参院補選の徳島高知選挙区では野党候補が勝利し、衆院補選の長崎4区では与党候補が勝利し、1勝1敗だった。

これで、今国会の解散はやや遠のいただろう。内閣支持率が芳しくない中、参院補選はボロ負け、衆院補選は辛勝だからだ。

客観的に見れば、6月のサミット後解散、20日の臨時国会冒頭での減税解散が、与党勝利のためには最善手だった。しかし、岸田政権は解散風は吹かすが、結果として決断できていない。おそらく麻生政権のように解散チャンスを逃して、来年以降の「追い込まれ」状況になるのだろう。

自民党はブレブレ

いずれにしても、今国会では、経済対策が焦点になるだろう。
22日のNHK日曜討論では、各党は、減税や給付経済対策について、
自民党:給付金と所得税減税
公明党:所得税定額減税
立憲民主党:所得税減税は悪手。6割の世帯に3万円給付
日本維新の会:社会保険料軽減
共産党:消費税5%へ減税と廃止
国民民主党:所得税減税
れいわ新選組:消費税廃止
と主張していた。

政府の経済対策について自民党の提言案では、低所得世帯向けの支援や、賃上げに取り組む企業への減税措置の強化などを盛り込んだ一方、党内外から求められていた所得税の減税への言及はなかった。しかし、結局、岸田首相は、所得税減税をいうようになった。

これは、森山裕総務会長の発言の変化を見ていると興味深い。

10月1日、森山総務会長、減税なら「国民の審判仰ぐ必要」と、減税解散を示唆した。世耕参院会長や自民党内の若手・中堅の積極財政を求めるグループの減税を求める声に呼応した形だ。

しかし、その後財務省からの巻き返し強くマスコミを通じた反論が多くなり解散風が止むとともに、公明党の山口那津男代表は12日、所得税減税について税制改正を伴うものは年末の税調の議論を経て法改正した上で実行するとした。

15日になると、森山総務会長は所得税減税について慎重対応とし、財政規律を重視する立場からけん制した。

しかし、22日の衆参補選を睨み、これでは分が悪いとみるや、19日、岸田首相が所得税減税自民・公明両党に検討指示した。

これだけみても、所得税減税で自民党がブレているのがよくわかる。

応援団」がマスコミに登場

この間、財務省は、自分のところの「応援団」をマスコミに登場させ、徹底的に所得税減税阻止に動いていた。一方、自民党内の積極財政を押す若手・中堅議員らは減税を目指して、水面下のバトルを展開していた。結局、かろうじて、後者がやや勝利した形だ。

ただし、筆者としては、この間の減税論争には不満がある。政策作りの常識として、まず今の財源精査がある。2021,22年度の補正後税収見通しと税収実績の差、23年度の税収見通しとそこからの上振れ見通しを全て合算すると15兆円程度。それに安倍・菅政権の経済対策の使い残し、外為特会などの円安による含み益などをすべて合算すると50兆円程度と筆者は見ている。

さらに、今のGDPギャップがどうなるか。政府や日銀はギャップがほとんどないという見方だが、両者は過去にも過小推計をしてきた「前科」があるので、筆者は3%程度と見ている。

となると、真水15~20兆円の経済対策が必要となる。各党の議論では、この規模感の議論が少ないように見受けられる。

規模が決まれば、その内訳は有効需要の原理からいえばどうでもいいので、実施のスピード感などから、政治的に決めればいいと筆者は思っている。

仮に実際に減税を行う場合、どのような法的な手続きが必要なのか。所得税については、低所得者に恩恵が少ない、消費税については社会保障目的税なので減税はできない、税率変更で社会が混乱するなどの指摘もあるが、実際はどうなのか。

 

減税を行うには、税率が税法に定められているので、その改正が必要だ。税法改正の実際の作業は財務省によって行われるが、税法を成立されるのは国会であり、税法の改正の方向性を決めるのは政治家である。

所得税については、低所得者ではそもそも納税額が少ないので、減税の恩恵が少ないとも言われる。しかし、低所得者には減税と給付金を併用すればいい。

消費税については社会保障目的税なので減税はできないとも言われるが、社会保障には一般財源の繰入もできるので、消費減税しても社会保障財源が困ることもない。消費税は先進国でどこでもあるが、社会保障目的税になっているのは日本だけだ。

先進国では消費税は国・地方の一般財源であることが多いので、もし社会保障目的税であることで減税できないというのであれば、他の先進国並に国・地方の一般財源として、他の先進国と同様に消費減税を経済状況に応じて行えばいい。

減税させないための方便

消費減税すると、商品の買い控えなどで社会が混乱するという話もあるが、他の先進国ではそうした話が深刻であるとは聞いたことがない。

いずれも、減税させないための方便にしか聞こえない。

さらに、広く国民が利益を享受できる方法として、社会保険料の減免をいうこともある。もちろん、社会財源がなくなるので、一般会計から社会保障特会へ一般財源の繰入が必要になってくる。

岸田首相のいう成長の果実を国民に還元するためには、社会保険料の減免はすべての国民に恵みの雨となる。しかも、とるべき社会保険料を取らないのであるから、実務も簡単である。ただし、手続き的には減税と同じで関係法令の改正が必要である。

 

税法改正案などが臨時国会にでてくるか、それとも12月の来年度税制改正大綱の中なのか。どうも後者のような気がするが、それだと税法改正が来年3月、実施は来年10月以降だろう。夏のボーナスにも間に合わないような気がする。

消費税対応でレジ電子化やマイナンバーで個人銀行口座とのリンクが容易になった以上、政策コストを考えても、減税実施が遅れるとしても、消費減税や給付金は、今国会で補正予算や税法改正を手当すれば、かなり迅速に処理できるだろう。

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