スコット・リッター:ペンタゴンによるウクライナの妄想は潰えた

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苦境に陥るバイデン大統領 戦争

スコット・リッター:ペンタゴンによるウクライナの妄想は潰えた

西側がウクライナを支援してロシアを打ち負かすことはほぼ不可能!武器の在庫が底をつき始めた。

スコット・リッターはロシア・ウクライナ戦争に関するトップ級の解説者のひとりである。代替メデイアにおいては、最近、毎日のように何らかの形で彼の見解が報じられている。これはウクライナ紛争の終焉が真近に迫っているということだ。

ここに、「スコット・リッター:ペンタゴンによるウクライナの妄想は潰えた」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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フランスのステファン・セジュルネ外相は、金曜日(3月8日)にリトアニアでバルト三国とウクライナの外相らと会談した。この訪問は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領がフランス軍をウクライナに投入する可能性を提起したことから欧州のより強力な同盟国のいくつかを怒らせてしまった数日後に行われた。

ウクライナにおける米国防総省の幻想は崩壊しつつあると、元国連兵器査察官であって、現在は軍事問題の解説者でもあるスコット・リッターは、月曜日(3月11日)、スプートニクの「断層線」に語った。

ペンタゴンからの戦術的助言にウクライナが耳を傾けなかったことから、キエフとワシントンの間では緊張が高まっているとの米メディアの報道について、リッターはその主張は現実に基づいてはおらず、米国から責任を転嫁するように仕組まれたものであると思うと述べている。

「ウクライナに対する巨大な幻想が崩壊しつつあるため、ペンタゴンは間違いなく自らの責任を政治的に隠蔽しようとしている」とリッターは断言し、ウクライナはアウデーエフカの背後に防衛線を構築できるように、できるだけ長く同拠点を保持する以外に選択肢はほとんどなかったと説明した。だが、ロシアの空軍力はその目標を達成することさえをも許さなかったと指摘。

「肘掛け椅子に座ったクォーターバックを演じて、そこに座り込んで、こき下ろすのは簡単なことだ。しかし、現実には、ウクライナ人には彼らが持っていた最後の防御可能な地位を何とか維持しようとする以外に、他にどのような選択肢があったのだろうか?」

キエフ政権は「いわゆる友人や同盟国が自分たちを見捨て、ウクライナを自らの運命に任せているという現実に目覚めつつあるところだ」と、リッターはフランス軍がウクライナに配備されるかも知れないというマクロンの最近のコメントを議論しながら、説明した。

「マクロン大統領がなぜこのようなことを言うのかを理解するには、現在のウクライナの状況がどれほど悲惨であるかを理解する必要がある。彼らは軍事的崩壊に直面しており、今まさにわれわれが話しているように、ウクライナ軍の最後の予備兵力がオルロフカ村の周辺で戦闘に投入されている」とリッターは説明した。「これは奇跡が起きる時間を稼ぐためであり、フランスの戦闘集団がやって来ることは奇跡だが、ウクライナはそれを望んでいる」と述べた。

しかしながら、この「奇跡」の可能性が戦場の見通しを変えることはないとリッターは主張し、マクロン大統領が求めているとされるバルト三国の同盟国からの兵力の派遣の有無にかかわらず、「ウクライナに軍事的に意味のある部隊を配備する能力は非常に低い」と述べた。

一方、選挙シーズンは米国に軍事紛争からの撤退を余儀なくさせるとリッターは主張する。「バイデンは大統領選挙のサイクルに入っており、11月の最終的な追い上げに近づいている。バイデンは政治的な露出を最小限に抑えるために必要なことは何でもするだろう」と述べた。

「ウクライナに関する政策の立案者であるビクトリア・ヌーランド(政治担当国務次官)を解雇し、一歩後退した。」

その結果、欧州は「ウクライナに居座っても、率直に言って、米国の資金なしでは何も成し得ないことに気付いた。これは飲み込むのが困難な薬であり、その間、戦場ではウクライナ軍は極めて絶望的な窮地に立たされる。

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これで全文の仮訳が終了した。

ロシア経済を疲弊させ、ロシアが内部から崩壊し、プーチンを政権の座から引きずり下ろすという西側が2年前に公言した目論見は見事に失敗した。ロシア側は軍需生産を強化し、武器や弾薬、ミサイルの生産を大きく引き上げた。これは西側が武器や弾薬を思うようには増産できないでいるのとは好対照である。西側は武器や弾薬の在庫が自国の防衛をとってさえも危険なレベルに近づき、この状況を解決するにはある特定な部門では10年もかかると言われている。材料の手当だけでも7年はかかるのだそうだ。一夜にして回復することなんてできない話なのである。しかも、ロシア側の最新鋭・最強の武器は温存されている。最強の持ち札は核兵器であろう。ロシアの大統領選は3月15~17日に行われる。プーチン支持率は80%だと言われている。このような現状では、どう考えても、ウクライナにおける対ロ代理戦争は終わったと考えざるを得ない。ペンタゴンによるウクライナの妄想は潰えたのである。

フランスのマクロン大統領が最近提言した欧州の軍隊をウクライナへ送り込むことに関しては、NATO加盟国の間では意見が分裂している。ポーランドの外相はウクライナへ欧州の兵力を送り込むことはあり得ると言い、英国の外相はあり得ないと言った。この6月には欧州議会の選挙が控えており、この議論は熱を帯びて来るだろうと思う。過去の歴史を見ると、国内景気の悪化から国民の関心を逸らせるためには外部に敵を求めることがよく起こった。つまり、国内の政治的危機を逃れるために指導者らは外部との戦争に向かうことが多い。

現時点では、特に西欧では「ウクライナ疲れ」によって生活の質が低下する一方であることから既存の政治エリートたちは人気を失い、極右勢力が票を伸ばすだろうと言われている。生活の質を取り戻すにはウクライナ紛争を収束させるしかない。この単純明快な論理をどれだけ主張し、選挙民の関心をどれだけ集結させることができるのかが鍵だ。

ところで、プーチンはロシアの核兵器は何時でも使える状態にあると述べ、最近、西側に対して警告を出した。日頃の彼の発言はハッタリではなく、常に率直な発言であることを考えると、NATOがロシアに向かって同国の脅威となるような軍事行動を起こすならば、ロシア側は何時でも核兵器を使うと言っているのである。これは今に始まったことではない。これはロシアの軍事ドクトリンであるとして前々から公表されていることだ。核兵器の悲惨さを直接わきまえている人たちは、今や、欧州には殆ど居ないとは言え、NATO側は一部の交戦派が主張するように安易にロシアへ武力侵攻することなどはできない。ロシア側からは核兵器による反撃があり得るからだ。しかも、ロシア側は極超音速ミサイルを有しており、西側の対空防衛システムはこれに対応できない。ブリュッセルやパリ、ロンドン、ベルリンは一瞬にして蒸発する。自分たちが実行しようとしたことを2倍返し、3倍返しで報復されるのが落ちだ。そんなことは誰も望んではいない。

ただ、米国には先制核攻撃を信じる政治家がいることが最大の懸念材料だ。彼らは近視眼的であって、本質を理解しようとはせず、目先の利益、つまり、次回の選挙結果しか眼中になく、人気取りに走る。広大な国土を有するロシアを相手にして先制核攻撃を行い、報復攻撃を行うことができなくなるまでロシア全土を一方的に叩くことなんて不可能だと私は考える。移動型のミサイル発射装置をどうやって一気に壊滅させることができるのか。それだけではなく、核搭載の潜水艦が常に外洋をパトロールしており、第一波の攻撃によってこれらの潜水艦を壊滅することは技術的には不可能だ。こうして、ロシアの潜水艦や移動型ミサイル発射装置からの報復核攻撃は間違いなく行われる。報復核攻撃にはさらに報復が行われる。こうして、世界規模の核戦争になる。

一言で言えば、ロシアとウクライナが一日でも早く停戦合意に漕ぎ着け、和平協議を始めることを祈るばかりである。

 

参照:

1:Scott Ritter: Pentagon’s ‘Ukrainian Fantasy’ Is Falling Apart: By Ian DeMartino, Sputnik, Mar/12/2024

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