専門家が指摘する“出し控え”が起きるメカニズム
中東情勢の悪化により様々な品目の値上げニュースが相次ぐ中、ナフサ流通の「目詰まり」が問題となっている。
ニュース番組『わたしとニュース』では、このナフサの目詰まりの原因や背景について、経済愛好家の肉乃小路ニクヨ氏とともに深掘りした。
■ナフサ「目詰まり」めぐる萩生田氏の発言、なぜ起きる?解消はいつ?
YouTubeの番組で目詰まりの原因となっている業者が「わかった」と発言した自民党の萩生田光一幹事長代行。
5月末の自民党香川県連の定期大会で、ナフサについて取り組むべきは安易な増産ではなく、目詰まりの解消であると訴えた。
「本当は『ここにいっぱいあります』と声を出して言いたいんですけど、そういうとその会社がすごい評判悪くなっちゃって、そこに『もうちょっと早く出さないと評判悪くなりますよ』というようなことも、なんとなく伝えながらです。目詰まりしている人たちだって、何も意地悪で手元に置いているんじゃなくて、不安だから置いているわけです。備蓄があるんですから、国内でナフサを増産することが可能です。しかしここで安易に増産してしまうと、将来それがだぶついて、結果としてしわ寄せを受ける企業も出てくるわけですから」(萩生田氏)
■ナフサ「目詰まり」は値上げも原因?出し控えが起きるメカニズム
では、流通を阻害している目詰まりはなぜ、どこで起きるのだろうか。ナフサの調達に関わっていた石油化学コンサルタントの柳本浩希氏は次のように語る。
「上流の石油化学製品を作る会社、それを加工する会社、そしてそれを買って製品を作る会社、大きく分けてこの3つの当事者がある。上流の方から値上げが通知されて、かつ供給の不安が下流の方に伝播しているような状況で、いま真ん中の加工業者から最終製品であったり最終業者に対して6月とかからの値上げが伝えられている状況」
「そうすると中間にいる加工会社としては、もう原料は上がっているが、製品価格まだ値上げできていないので、値上げする前に大量に販売してしまうと、完全に赤字倒産になってしまうので、出し控えみたいな状況にもなりやすいというところ」
「かつ価格の値上げだけではなく、供給の不安感も上流から下流に流れていっているので、この中間に存在する加工業者であったり消費者だったり問屋といったところが、普段の2倍ぐらいの発注をしてしまったりするというケースもあった。そうなると在庫がどこかの業者に偏りが出てきてしまって、必要なところにしっかり届かないという事態になっていたのだと思う」
こうした目詰まりは、いつ頃解消していくのだろうか。
「生産量も増えていくし、メーカーや商社が代替で輸入をするといったところもかなり活発になってきているので、いま広範囲に広がっているものが末端に届かないといった事態は、まず7月ぐらいにはある程度改善していくと思う。価格も6月、7月にかけてサプライチェーン全体で上がっていくということになるので、そういった面からも目詰まりというフェーズは解消されていくのかなと思う」
この見解を受けて、ニクヨ氏は次のように語る。
「米の流通の時は、すぐに川下で値段が上がったの覚えている。米も玄米にしたりする加工はあるが、ナフサはもっと複雑な加工が入っているから、値下げの時間差ができてしまったのかなと見ていた」
■ナフサ由来製品の価格はどうなる?
今後のナフサ由来製品の価格はどうなっていくのか。柳本氏は次のように分析する。
「紛争前の供給量に戻るためには、中東紛争が収まることが必要。ナフサ由来の製品の価格も上昇しているが、通常の物価高騰とは異なる前代未聞の値上がり幅だったため、長い目で見ると下落していくはず」
一方で、ニクヨ氏は次のように述べる。
「一度上がったものはなかなか…『また安くするよ』となるのは考えにくいと思ってしまう。中東紛争が収まったとしても、今回のイラン攻撃で石油精製の設備などもダメージを受けているので、そういったところの回復までにある程度時間がかかる。そうすると値下げして、元に戻るというのはちょっと考えにくい。もう上がった価格でやっていくことを考えた方がいいのではないかとも思う」
流通の不足や目詰まりの問題と、価格が上がることについては別問題であり、価格の上昇についてはある程度許容していく必要もあるのだろうか。
「インフレということもあるが、特殊要因だったとはいえ、上がったものはなかなか下がらないことを前提にした方がうまくいくと思う」(ニクヨ氏)
7月に向けて流通の「目詰まり」解消が期待される一方で、高騰した製品価格の先行きについては不明瞭だ。引き続き、中東情勢の推移やサプライチェーン全体の市場動向に注目が集まる。
(『わたしとニュース』より)




コメント