OpenAI社が2025年に「6兆円規模に上る膨大な損失」を出していたことが流出した決算書類で判明
AI産業への幻想は崩壊に向かいつつある
OpenAI社の2025年の「損失」は前年の8倍の約6兆円規模に
AI 大手の OpenAI 社の財務諸表(経営成績や財政状態を報告するために作成する決算書類)が「流出」し、その結果が話題となっています。
独立系ジャーナリストのエド・ジトロン氏という方が入手し、フィナンシャル・タイムズ紙がその内容を検証したものですが、一言でいえば、
「OpenAI 社は、考えられない規模の損失を出し続けている」
ことがわかったのです。
簡単に書きますと、OpenAI の損失は 2024年から 2025年にかけて、以下のように「8倍近い損失」となっていることがわかりました。損失額も以下のようにかなり膨大です。
・2024年の損失 日本円で約 8200億円
・2025年の損失 日本円で約 6兆2000億円
成長しているどころか、時間が経つにつれて、損失が拡大しているのです。
今回は、その内容を詳細に書いていたエド・ジトロン氏自身の記事をご紹介したいと思いますが、フィナンシャル・タイムズ紙は以下のように報じています。
2026年6月16日のFTの記事より
…OpenAI は昨年、約 130億ドル (約 2兆1000億円)の収益を計上した。2025年末までに月間収益が 20億ドル (約 3200億円)に達し、2024年末の四半期 10億ドルから増加し、史上最も急速に成長している企業の 1つとなった。
しかし、多額の支出が OpenAI に起因する純損失の約 8倍の増加につながり、2024年の 50億ドル (約 8200億円)から 2025年には約 390億ドル (約 6兆2000億円)に急増した。
…同社のこれまでの支出は、AI 業界の将来の勝者への投資を熱望する投資家によって支えられてきた。
今年初め、OpenAI は新規投資を除いても 7300億ドル (約 11兆8000億円)の評価額で 1220億ドル (約 20兆円)の資金を調達しており、1兆ドル (約 160兆円)を超える企業価値となる可能性のある株式公開の準備を進めている。
ここに、
> AI 業界の将来の勝者への投資を熱望する投資家によって支えられてきた。
とありますけれど、損失を倍増させながら、ついに 6兆円を超える損失を出している企業へ投資家たちは何を望めばいいのかという。
しかも、今年 2026年はさらに収益が悪化する可能性もあります (AI 各社の値下げ競争が始まってもいます)。
AI産業への幻想が少しずつ崩壊に向かっているかもしれない
昨年の暮れに、「 AI 産業は何の利益も生み出していない」ことについて、以下の記事を書いたことがあります。
・60兆円かあるいは777兆円かの規模かはともかく、そのAIジャンク産業の崩壊はすでに始まっている
In Deep 2025年12月4日
この時期は投資の何もかもが AI に向かっていた頃で、そして、実際に、
「 2025年のアメリカの経済成長のすべてが AI 投資によるもの」
だったという事実があり、つまり、
「 AI 幻想が崩壊すると、景気そのものが崩壊する可能性が高い」
のです。
米アトランティック誌の報道「多次元経済災害へようこそ」より
世界経済は AI 産業に依存するようになっている。数兆ドルもの資金が AI 技術とその基盤となるインフラに投資されており、2025年の最後の数ヶ月間、事実上、米国の経済成長のすべてが AI 投資によるものだった。これは理想的な状況下でもリスクを伴う。そして、現状は理想的な状況からは程遠い。
この AI 産業の崩壊と、全体の景気の崩壊の関連については、以下の記事で書いています。
・イラン戦争による不況がAI産業に大きな打撃を与え、世界的に壊滅的な複合危機を引き起こす可能性。2026年は「地獄の夏」となるのか?
In Deep 2026年3月31日
今年は大型 IPO (新規の株式公開)がいくつかありますが、その中心と見られている OpenAI がこれですので、やや危うい状況かもしれません。
最近では、イーロン氏のスペースX が新規上場し、13兆7000億円を調達しまして、どれほど儲けている企業なのだろうと思われるかもしれないですが、スペースXの 2025年度の純利益は「赤字」です。
(2026年6月5日の米ロイターの報道より)
> 2025年、スペースXの売上高は前年の 140億2000万ドルから 186億7000万ドル (約 3兆円)に急増したが、純利益は 7億9100万ドルから 49億4000万ドル (約 8000億円)の赤字に転落した。reuters.com
投資家たちは「未来に賭けている」ということなんでしょうけれど、株式公開後の直後に、「スペースX株急落で時価総額 99兆円超の消失」 (フォーブス 2026/06/19)なんてことが起きてもいまして、今年上場する大型株式で、同じことが相次いだ場合、あるいは、OpenAI 社の途方もない損失額が明らかになった今、AI 幻想は静かに崩壊の序盤にあるのかもしれません。
ここから、流出文書を入手した独立系ジャーナリストのエド・ジトロン氏の記事です。
ジトロン氏は、記事を、以下の文言で締めています。
> 損失は年々劇的なペースで増加しているようで、この会社がどのようにして持続可能性や収益性を確保できるのか、私には見当もつかない。
確かに見当がつきません。
OpenAIの損失は2025年に約8倍に増加、支出は340億ドルに達する見込み
Exclusive: OpenAI Losses Increased Nearly 8X in 2025, With Spending Hitting $34 Billion
Ed Zitron 2026/06/15
本日、当紙が入手し、フィナンシャル・タイムズ紙が独自に検証した監査済みの財務書類に基づき、OpenAI が 2025年に約 385億ドル (約 6兆2000億円)の損失を計上したこと、および同社の財務状況に関するその他の重要な詳細を独占的に報告することができる。
この話の重大性は数字が雄弁に物語っているため、あまり論評をするつもりはない。
OpenAIは2024年に50億9000万ドルの損失を出した
2024年 – OpenAI の売上高は 37億ドル (約 6000億円)、費用および支出は 124億ドル (約 2兆円)、会社に帰属する純損失は 50億9000万ドル (約 8200億円)だった。
・売上高: 37億ドル
・売上原価: 26億5000万ドル
・研究開発費: 78億1000万ドル
・販売・マーケティング: 11億1000万ドル
・一般管理費: 9億700万ドル
・総費用および支出額: 124億8000万ドル
・営業損失: 87億8000万ドル
利息収入や利息費用などの追加要因により、純損失は 88億4000万ドルとなった。その後、37億4000万ドルの損失を「非支配株主資本に帰属する純損失」として計上し、会社に帰属する純損失は 50億9000万ドルとなった。
OpenAIは 2025年に 385億ドルの損失を出した
2025年 – OpenAI の収益は 130億7000万ドル (約 2兆円)、費用と支出は 340億ドル (約 5兆4000億円)、損失は 209億2000万ドル (約 3兆3000億円)で、会社に帰属する純損失は 385億3000万ドル (約 6兆2000億円)だった。
・売上高: 130億7000万ドル
・売上原価: 75億ドル
・研究開発費: 191億8000万ドル
・販売・マーケティング: 57億3000万ドル
・一般管理費: 15億7000万ドル
・総費用および支出額: 340億ドル
・営業損失: 209億2000万ドル
なお、2025年は OpenAI が非営利団体から営利団体に移行した年であり、転換社債およびワラント負債の公正価値の変動により 415億5000万ドル (約6兆7000億円)の損失が発生した。
利息収入や利息費用などのその他の小さな要因を考慮すると、OpenAI の純損失は 603億5000万ドル (約 9兆7000億円)となり、これを「非支配株主資本に起因する純損失」による 178億7000万ドルの費用と、「償還可能な非支配持分に起因する純損失」による 39億5000万ドルの費用を差し引くことで、385億3000万ドル (約 6兆2000億円)にまで削減した。
最終的に、2025年に OpenAI に起因する純損失は 385億ドルに達した。
2025年末時点で、OpenAI の資産は 500億ドル (約 8兆円)強で、そのほぼ半分が現金だった。
OpenAIは2025年にソフトバンクから8億6700万ドル、マイクロソフトから3億300万ドルを受け取った
2025年、ソフトバンクは OpenAI に 8億6700万ドル (約 140億円)を支払い、マイクロソフトは 3億300万ドル (約 490億円)を支払った。
文書から、OpenAI がマイクロソフトにサービス料として支払った金額が明らかになった。
2025年、OpenAI はマイクロソフトに「研究開発費」として 105億9000万ドル (約 1兆7000億円)を支払った。これはおそらく、OpenAI のモデルのトレーニング費用を指していると考えられる。
また、文書には「売上原価」に関連する 60億4700万ドルの費用、販売・マーケティング費用として 5億2700万ドル、そして「一般管理費」として 4200万ドルが記載されている。OpenAI がマイクロソフトに支払った費用は合計で 172億ドル (約 2兆7000億円)に上る。
資料によると、OpenAI は暦年末時点でマイクロソフトに対し 36億4000万ドル (約 5900億円)の負債を抱えており、さらに 2100万ドルの「未払費用およびその他の流動負債」があった。また、資料には 5800万ドルの非流動負債についても記載されている。
補足事項
来月には、この件に関する文書について、より詳細な報道を行う予定だ。文書の内容は詳細なため、完全に分析するには時間がかかる。
分析が完了次第、お知らせするが、OpenAI の財務状況は非常に憂慮すべきものだ。
385億3000万ドル(約 6兆2000億円)の損失は天文学的な額であり、多くの人が予想していたよりもはるかに高額だ。損失は年々劇的なペースで増加しているようで、この会社がどのようにして持続可能性や収益性を確保できるのか、私には見当もつかない。




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