「火葬場不足」に直面する日本…遺体の保管は個人で行う未来も…「超多死社会」で起きる「ヤバすぎる現実」

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「火葬場不足」に直面する日本…遺体の保管は個人で行う未来も…「超多死社会」で起きる「ヤバすぎる現実」

多死社会の日本で起きているワクチン接種後の死亡急増!

超多死社会を迎えた日本では、想像もしてこなかった問題が次々と生じている。遺体安置所不足はその最たるものだ。亡くなってなお安らかな瞬間を迎えられない。それがこの国の悲しい現実だ。

死者数年間168万人

〈世の中は 食うて屎して寝て起きて さてその後は 死ぬるばかりぞ〉

室町時代を生きた臨済宗大徳寺派の僧・一休宗純は、人生の摂理を31文字で言い表した。人生、食べて用を足して寝て起きれば後は死ぬだけ。儚くもあるが「死んでしまえば何も思い悩むことはないのだから、それまでを懸命に生きればよいのだ」と諭し、心を楽にしてくれる歌でもある。

しかし、現代日本においては「死ねばそれですべて終わり」とはいかなくなってきた。亡くなってからお墓に入るまでの間に、もうひとつの問題が現れたからだ。それは「自分の亡骸がいつ焼かれるのかわからない」という問題だ。

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年間156万人が死亡する超多死社会日本。いま、亡くなる人の数が増えすぎて、都市部を中心に「火葬場不足」に直面していることをご存じだろうか。一体の遺体を焼くのに1時間強を要する。一日に火葬できる数に限界がある中で死亡者が年々増えているために、火葬場の処理能力が追いつかなくなっているのだ。

たとえば東京。現在、東京都では年間約13万人が亡くなるのに対して、火葬場の数は26ヵ所しかない。離島を除けば18ヵ所、23区内に限れば9ヵ所とさらに少なくなる。区内には980万人もの人が住んでいるというのに、だ。

人口380万人を擁し、年間約4万人が亡くなる横浜市の状況も同様だ。「ラステル新横浜」などの民営斎場を運営する、株式会社ニチリョク取締役の尾上正幸氏が明かす。

20年後には死者数がピークに

「横浜市には公営の火葬場が4つありますが、近年の横浜市の居住者増加と死者数の増加に伴い、火葬場が足りなくなっています。

どれだけ足りないかといえば、一般的に友引の日は火葬場は休業するのですが、横浜では友引でも火葬場のひとつを稼働させているほど。古くからの慣習をも変えなければならないぐらいなのです。実際、火葬場が空くまで1週間以上かかることも珍しくはなくなっています」

さらに恐ろしいことに、日本の年間死亡者数は年々増えており、ピークの2040年には年間168万人にも達してしまうのだ。

ならば急いで火葬場を増やせばよいかといえば、そう単純な話ではない。都市部では火葬場に必要な大きさの土地を確保するのが困難なうえ、住民の反対などに遭うため、新しい火葬場をつくるには15~20年はかかるといわれている。過去には「東京湾に火葬の機能を備えた船を浮かべて、火葬場不足を解消しよう」という計画が浮上し、具体的な研究も進められたが、結局行政が運用するにはコストがかかりすぎるとの結論に至り、立ち消えになったという。

いまから火葬場の建設準備を進めても、建設が終わった頃には年間死亡者数はピークアウトする。高いコストをかけた割には、無駄骨となってしまうのだ。

問題は「火葬場不足」にとどまらない。火葬を待つまでの間、どこかに遺体を安置しておく必要があるのだが、これまでは、火葬場か葬儀社などに設置されている安置所に預けられてきた。ところが、死亡者が増加し、「火葬待ち遺体」の数が増え続けた結果、それらの施設のキャパシティーを超えてしまい、安置を請け負えない地域が出てきているというのだ。

遺体安置所も不足

「遺体を安置する場所が不足すれば、今後、火葬までの期間、遺体を自宅に安置しなければならないケースが急増することになります」

こう警鐘を鳴らすのは、公益社団法人全日本墓園協会の横田睦理事だ。日本全国の墓地や納骨堂などについて調査・研究を行う横田氏は、近年「遺体を安置する場所が不足している」という声を葬儀事業者から聞くようになった。そこで、全国の葬儀事業者を対象にアンケート調査を実施、771の事業者から回答を集めたところ、「遺体安置所不足」の実態が浮き彫りになったという。

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横田氏が説明する。

「現状でも都市部では火葬場が不足しており、3日や4日、あるいは一週間以上の火葬待ちは当たり前になっている。今後、死亡者数は増えるので、さらに火葬までの待機時間は長くなります。

そんな超多死社会を迎えるにあたり、遺体安置施設の数は足りているのかを知るために一斉調査を行った結果、全国の27%の事業者が『不足している』と答えたのです。

少なく感じられるかもしれませんが、これはあくまで全国平均。東京や横浜、相模原、大阪や神戸といった都市部に顕著で、決して放置していい問題ではありません」

「火葬待ち」の遺体が増え続けることで、火葬場や葬儀業者の安置所がパンクすれば、遺体を自宅に安置しなければならなくなる。しかし、すべての家庭がそれを許容できるかといえば、疑問があると横田氏は言う。

自宅保管は困難

「昔は遺体を自宅に安置するのが当たり前でしたが、いまは住宅やご家庭事情も違います。1日や2日なら、ご遺族が交代で見ることはできるかもしれませんが、火葬場が空くまで1週間近くも自宅に安置しなければならないとなると、家族の負担は格段に重くなります」

どれだけ大切な人であれ、遺体を1週間近くも自宅に安置することができるだろうか。

管理の方法や器材については葬儀業者がフォローしてくれるが、手順ややり方を間違えれば、腐敗が始まり、臭いが立ちこめる。そもそも仕事などの用事がある中で、1週間もの期間、遺体に付き添うことは困難なはずだ。前出の尾上氏が説明する。

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「病院でご家族をみとられた方は、長く病床にいた故人を可能な限りご自宅でお寝かせしたいという心情があります。しかしながら、火葬場の空きを待つまでの日数を考えると、安全に安らかな状況を維持するのはとても大変です。

何しろ生身のお体ですので、その変化は想像を超える場合もありますし、ドライアイス等での低温処理に頼りますから、時間の経過でお体を凍らせたりして、健やかな状況でのお別れがかなわないこともあります」

ある葬儀業者は「自宅での遺体管理がうまくいかず、葬儀の時には遺体の顔色が土気色になって、耳は触ると落ちてしまいそうになるほど腐敗していたという事例もありました。特に夏場の管理は難しく、5日間以上安置する場合だと、ご遺体が悲惨な状態になることがほとんどです」と明かす。それほど、自宅安置は難しいことなのだ。

「週刊現代」2023年8月26日・9月2日合併号より

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