デジタル強制収容所元年に生きる。そしてWEF支配下にある日本の未来
世界中で進む生体認証デジタルIDシステム
数日前、英国の首相が「全国民にデジタルIDカードを義務づける」計画を発表して、英国の世論が沸き立っています。
「デジタルIDを持っていない人は、英国で働くことはできなくなる」と首相は述べていて、計画が実施された場合、少なくとも成人年齢の人たちすべてが、このデジタルIDを取得しないと、生活が難しくなることを示されています。
これについて、アメリカの金融・地政学サイクルのアナリストであるマーティン・アームストロング氏は、以下のように述べてました。
英国で2029年までにデジタルIDが義務化
英国では 2029年までにデジタルIDの義務化が予定されている。キア・スターマー首相は、本人確認は不法移民を抑制するための保護策であると国民に信じ込ませたいと考えているようだが、しかし、デジタルIDはあくまでも統制のための戦術だ。
政府がすべての国民をデジタルプロフィールに紐付けることを許せば、次に来るのは明白で、そして最も懸念されるのは、そのIDをデジタル通貨やデジタル銀行に紐付けることだ。
あなたはもはや自由な国民ではなく、政府の保護下に置かれ、世界へのデジタルアクセスを利用してあなたを追跡・統制する権限を政府に奪われるのだ。
英国はとっくの昔に人々から言論の自由を剥奪している。憎悪的とみなされるコメントは投獄に繋がる。ソーシャルメディアで不適切な「いいね」を投稿をすれば、警察が駆けつけることになりかねない。
政府が「誤情報」や「憎悪的」なものを判断し、違反行為は処罰の対象となる。デジタルIDの導入により、その処罰は即座に適用されるだろう。ビッグブラザーの機嫌を損ねるような発言をすれば、社会へのアクセスは完全に遮断される。
ここに、
> 英国はとっくの昔に人々から言論の自由を剥奪している。
とありますけれど、たとえば、以下は、今年 5月のスウェーデンの報道で、「ソーシャルメディア上のコンテンツの投稿を理由に数万人の国民が逮捕されている」という内容です。
2025年5月4日のスウェーデンの報道より
英国における民主主義の衰退の兆候が増えている。国内では表現の自由が引き続き厳しく制限される一方で、ソーシャルメディア上での意見の侵害の疑いで数万人の国民が逮捕されている。
2025年3月のタブレット・マガジン誌の記事によると、英国では国民の不満を封じ込めるためにヘイトクライム法がますます利用されている。
表現の自由を擁護する団体「フリースピーチ連合」の最近の報告書に示されているように、警察はソーシャルメディア上の「不快」とみなされるコンテンツを理由に、年間約 1万2000件の逮捕を行っている。この数字は 2019年から 58パーセントの増加を示している。
しかし、今回のデジタルID の件にしても、このヘイトクライム法の話にしても、「英国という国だから大きな話題になっている」という部分はあります。
実際には、今はどこもかしこも「生体認証」と「デジタルID」の流れに完全に取り込まれていて、その国や地域は増え続けています。
以下は、翻訳記事のタイトルですが、最近だけでも、これだけの国が、生体認証やデジタルIDを義務づけています。これはあくまで一部です。
・メキシコ政府が2026年までに生体認証デジタルIDを全国民に義務化へ
BDW 2025年7月22日
・ネパール政府が「今後、出生した赤ちゃん全員に生体認証デジタルIDを導入する」と発表
BDW 2024年3月12日
・ベルギーでSNSを使用するための指紋つき電子身分証明書が義務化され、ネット上での匿名性が消えることに
BDW 2025年3月25日
東南アジアの中で最も生体認証によるデジタルIDを推進しているタイでは、先日、「詐欺取り締まりの名目で一夜にして 300万に及ぶ銀行口座を凍結」したという出来事がありました。
ベトナムでも、「生体認証されていない銀行口座」を含む 8600万の口座が銀行により閉鎖されるということがありました。
デジタルID を銀行口座や健康保険、公共の生活サービスなどに結びつけると、それが剥奪されると「何もできなくなる」という現実が進んでいる状況です。
ヨーロッパでは、10月12日から、
「ヨーロッパ 29カ国への入国には、全員が指紋採取と顔の生体認証データの提出が必要」
になっています。
EUでは、2025年10月12日から新しい出入国システム「EES」が導入され、シェンゲン協定加盟国 (ヨーロッパ 29カ国)に入国する非EU圏国籍の旅行者は、パスポートのスタンプに代わり指紋と顔の生体認証データの提供が義務付けられます。
これは、従来のパスポートへのスタンプの代わりに、入国審査時に指紋や顔写真をスキャンし、個人識別情報として登録するシステムです。Google AI
ここに至ると、もう「したい」とか「したくない」という話ではなく、指紋登録と顔認証の生体データを提出しないと「入国できない」のですから、するしかない。
生体データの提出は最初の 1度だけでいいそうですが、とにかく、それで国際的なデータシステムに生体認証が記録されることになるわけで、ここに生体認証デジタルIDカードなどが導入されると、そのうちパスポートも完全に不要になるかもしれません。
この流れは止まらないようで、スペインの首相もデジタルIDの国民全員への導入計画が発表されました。スペイン国内の話ではなく、「ヨーロッパ全体でデジタルID化を進める」という演説です。
しかも、世界経済フォーラムでの会議上で。
演説するスペインのサンチェス首相
Camus
広大な実験場となりつつあるヨーロッパ
サンチェス首相は以下のように述べていました。X への投稿を米ゼロヘッジが取り上げています。
デジタル強制収容所があなたの目の前で建設されつつある
The Digital Gulag Is Being Erected Before Your Very Eyes
zerohedge.com 2025/09/29
スペインのペドロ・サンチェス首相は、世界経済フォーラムの WEF 2025で、すべての自由国民に衝撃を与えるであろうデジタルの未来のビジョンを提示した。
彼の提案は、オンライン上の危害に対する解決策として組み立てられているが、実際には、世界経済フォーラムのグローバリストのアジェンダと完全に一致するデジタル制御のパノプティコン (全展望監視システムのこと)の青写真だ。
サンチェス氏が会場で述べた内容:
サンチェス氏はオンライン上の匿名性の終焉を求め、欧州のすべてのソーシャルメディア・プロフィールを政府が発行する「欧州デジタルアイデンティティ・ウォレット」にリンクすることを要求した。
同氏はインターネットを公道に例え、ナンバープレートなしで車を運転できないのと同様に、国が認証した身分証明書なしでオンラインに投稿すべきではないと主張した。
サンチェス氏が本当に言っていること:
彼は、デジタル公共広場、つまり自由で審査のない議論のための最後の真にグローバルな空間は、国家の直接的な監視下に置かれなければならないと宣言している。
彼のレトリックは誤解を招くための最高の例だ。
・彼の言う「偽情報との戦い」とは、異議を唱える市民の身元を検証可能な形で確立するためのコードだ。このシステムでは、当局にとって不都合とみなされた意見は、それを発言した市民に直接遡ることができる。
・彼の言う「サイバーハラスメントの終焉」は、デジタルプライバシーの終焉の口実となっている。国家の報復を恐れることなく発言できるという原則が「免責」として再分類されつつある。
・彼のいう「偽名」はトロイの木馬だ。ニックネームのような錯覚を与える一方で、政府のデータベースがあなたの本当の身元への鍵を握っていることを保証する。そして、「公的機関」があなたの発言を「犯罪」とみなすたびに、そのデータベースにアクセスできるのだ。これは偽名ではなく、言論のための国家義務的な身元登録である。
これこそが、WEF の「グレート・リセット」と「デジタルID」アジェンダの究極の目標だ。安全性のためではなく、コントロールのためだ。現代社会への参加は、政府が発行するデジタルの鎖を受け入れることに依存するシステムを構築する。定義されていない犯罪で「禁止または起訴」されるという脅威は、必然的に自己検閲につながり、正当な批判を封じ込め、反対意見を無力化する。
サンチェス氏の 2つ目の提案、「アルゴリズムのブラックボックスを強制的に開ける」という提案は、全体像を完成させるものだ。
これはユーザーにとっての透明性ではなく、国家による規制の掌握を狙っている。その目的は、政府がどのようなコンテンツを拡散し、どのようなコンテンツを抑制すべきかを指示し、「公共の対話」を管理するという名目で世論を形成することだ。
これはより安全なインターネットへの道ではない。
自由が偽りの安全の約束と引き換えに、不毛で国家管理されたインターネットへの道だ。WEF に集うグローバリストのエリートたちは、デジタル時代の問題を解決しているのではなく、むしろそれを悪用して支配の構造を構築している。
ここまでです。
結局、「インターネットから匿名性を完全に消滅させる」ということが目的のひとつのようで、大義名分は、上に書かれている通りの偽情報への対応だったり、ヘイト的投稿などのサイバーハラスメントをインターネット上から排除するということのようです。
ちなみに、もともとデジタル管理が世界で最も進んでいた中国では、今年 7月15日にさらにデジタルIDシステムを導入して、「インターネットから匿名性が事実上消えた状態」にあります。
「中国の新しいデジタルIDシステムは、国民のオンライン上での政府の統制を強化する」より
中国はすでに世界有数の厳格なインターネット規制を実施しているが、当局はこれらの措置には依然として改善の余地があると考えている。7月15日に導入された新たなデジタルIDシステムにより、中国警察は国民のオンライン活動を追跡する能力を強化する。
中国国民は、ソーシャルメディアからオンラインショッピングに至るまで、多くのサイトにアクセスするためにすでに実在の身元情報を提供しなければならなかった。
しかし、これまで、こうした本人確認はプラットフォーム側が行っていた。プラットフォーム側は中国政府の指示に最大限従うよう行動し、政府は水面下で監視していた。
インターネットユーザーは身分証明書で自分の写真を撮るか、電話番号を入力する必要があり、SIMカードは店頭での本人登録と顔認証を経て初めて発行されていた。警察はすでに、誰が何を投稿しているかをほぼ把握し、制裁を科す能力を持っていたが…
こういうことになっています。
SIMカードは、スマートフォンなどがネットワークに接続するために必要な契約者情報などが記録されたICカードで、つまり、
「生体認証データを提出しないと、スマートフォンを購入できない」
ということになっています。
そして、日本もまた「タイ化」するのか?
これは(中国を除いて)アジアで最もデジタルIDを推し進めているタイでも同じです。タイでは、観光客を含む、すべての入国者に対して SIMカードの登録に生体認証データの提出を義務付けることが 8月から実施されています。
以下はタイの状況を報じた記事です。
タイは、生活のあらゆる側面における生体認証データの活用のテストケースとなっている。
5万バーツ(約 23万円)を超える1回の送金、20万バーツ (約 90万円)を超える1日の送金、そして個人口座からの国際送金には、顔認証データの提供が必須となっている。
…タイの国家放送電気通信委員会は、SIMカードの登録に生体認証データの提出を義務付けることを提案した。この規則は 8月に施行され、観光客を含むタイのすべての人に適用される。
タイデジタル到着カードは、2025年5月1日からすべての旅行者に義務付けられた。
タイ国民は厳密にはデジタルIDの取得は義務付けられていないが、デジタルウォレット、オンラインバンキング、政府給付金の申請など、様々な利用において利便性が向上する。
銀行からスマートフォンから、あるいは保険システムまで(タイの健康保険制度のことはよく知らないですが)生体認証データを登録したデジタルIDがないと、「とても生活しにくく」なってきているようです。
でも、スマートフォンとかを使わない、あるいは、使えない高齢者などの場合は大変だろうなあとは思いますが、それはどの国でも同じことなのでしょうね。
日本がこのようになっていった場合、スマートフォンさえ持たない私は、もう完全にアウトですが、しかし、生活するためには「スマートフォンを手にするしかない」ということになるのかもしれません。
まあしかし、単に生体認証するだけでいいのなら、パソコンでも代用できるようにも思いますので、つまり、「毎日、背中にパソコンを背負いながら外出する」という感じになるのですかね(どんな日々だよ)。
では、日本がそのような社会になっていく可能性はあるのか?
日本では総裁選というようなものがあるらしいですが、まあ、私は政治に疎いですし、国内政治の報道はほとんど読まないですが、先ほどスペインのサンチェス首相が、世界経済フォーラムにおいてデジタルIDの義務化について語っていたことを取り上げました。
このあたりと絡めて、改めて自民党のウェブサイトで、総裁選に立候補した人が 5人であることを知りました。
調べてみますと…まあ、差し障りがあるとよくないですので、モザイクとさせていただいていますが、この 5人の中で、世界経済フォーラムに所属している候補が「 3人」いることを見出しました。
場合によっては、第二のサンチェス氏の登場のようなことがあるのかもしれません。
もちろん、そうはならないかもしれません。
しかし、誰が政治を率いたところで、日本もまた、確実にタイのような生体認証社会へと近づいているようには思います。
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