大阪府吉村知事

大阪府の吉村洋文知事(44)は5日、緊急事態宣言が延長されたことを受け、外出自粛や休業要請の解除をするための独自基準「大阪モデル」を公表した。PCR検査で判明した陽性者の割合など3項目で目標値を設定、クリアすることが条件。国に先んじて、経済活動の再開を目指す「出口戦略」で、早ければ15日にも解除を判断し、16日から適用される。「大阪モデル」を歓迎する声もあるが、医療現場からは不安の声もある。

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なにが、どうなれば外出自粛や休業要請が解除されるのか? 吉村知事が国が示さなかった解除基準の数値を示し、大阪型の「出口戦略」を打ち出した。5日に開かれた府の新型コロナウイルス対策本部会議後、吉村知事は「トンネルの出口の指標をきっちり示すのが政治の役割。それを示さずに延長と言うのは無責任。本来ならば国に示してほしかった」と怒りをぶつけた。

5月末までは原則として府民に自粛、休業を要請するが、数値がクリアできれば自粛要請などを段階的に解除していく。PCR検査で判明した陽性者の割合など3項目で目標値を設定した。<1>新たに感染した人のうち感染経路不明者の人数が10人未満<2>PCR検査で陽性になった人の割合が7%未満<3>重症患者用の病床使用率が60%未満。<1>と<2>は1週間の平均で判断する。3項目の数値を1週間連続でクリアすることが解除の条件となる。

早ければ15日にも判断する予定だが、解除する業種の優先順位などは今後、決める。「大阪モデル」には賛否もある。大阪市内の居酒屋の男性店長(29)は「具体的な数値で基準を示してくれたのは分かりやすい。解除されるまでなんとか持ちこたえたい」と歓迎した。大阪府内の主婦(32)は「大阪だけ解除されても、大丈夫かな。気が緩んで感染が広がらないか心配」と話した。

吉村知事は「われわれにも初めての取り組みで、チャレンジ。修正するところがあれば修正していきたい」と柔軟に構える。「大阪モデル」が他府県の参考になることを願う一方で、「国にとってのきっかけとなればいい。大阪がやらなければずっとやらない」と皮肉った。府民にもわかりやすくするため、危険度に応じて大阪城などの「緑」「黄」「赤」とライトアップする計画もある。【松浦隆司】

出典元 日刊スポーツ