にわかに浮上した「走行距離税(道路使用税)」案、自動車にかかる税金の望ましい姿とは

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走行距離メーター 税金

にわかに浮上した「走行距離税(道路使用税)」案、自動車にかかる税金の望ましい姿とは

「走行距離税」で国民の大批判を受け、「道路利用税」に名称変更して批判をかわそうとする姑息な税制調査会

 自動車ユーザーにとって負担が大きいと言われる自動車にかかる税金について、国が抜本的な税制改正に向けた動きを本格化させようとしている。

アウディ試乗会の様子。アウディが2026年以降発売する新モデルは全てEVになる

 そうした中、SNSなどで大きな話題になっているのが、走行した通行に応じた課税、いわゆる「走行距離税」導入案がにわかに浮上したことだ。

 2022年10月20日、鈴木俊一財務大臣が参議院予算委員会で、EV(電気自動車)について、走行距離に応じた課税も「考え方のひとつ」という答弁をした。

 その理由として、EVは充電して走るためガソリン車やハイブリッド車のように燃料関連税の対象になっていないこと、また、EVは重量が重いので道路補修のための負担が増えること、といった要因を挙げた。さらに鈴木大臣は、与党による本格的な税制改正に向けた協議の必要性についても触れた。 次いで10月26日に開催された第20回政府税制調査会・総会では、財務省が提出した資料の中で、自動車の税制改正の必要性に触れ、会合の中では走行距離に応じた課税についての審議も行われたという。

■ 走行距離税に一般ユーザーから疑問の声

 こうした中、走行距離税に対する一般ユーザーからの疑問の声がSNSに中心に高まり、メディアもそうした声を取り上げるようになった。

 例えば、「毎日の移動にクルマが欠かせない地方部での負担が増える」「タクシー・バスの運賃や、荷物の配送料も上がるのか?」、または技術面では「EVは技術進化でこれから軽量になっていくはずなのに」といった声が報じられている。

 確かに、鈴木大臣発言や第20回政府税制調査会・総会での委員等のやり取りだけでは、自動車にかかる抜本的な税制改正の全体像がはっきりと見えてこない。そのため、自動車ユーザーが走行距離税など自動車の新しい税体系に対して様々な疑問を抱くのは当然のように思える。

■ 仕組みが複雑で欧米よりも大きな負担

 では、自動車にかかる税制の現状はどうなっているのか。そして国は今後どのような税制改正を行う可能性があるのだろうか? 

 自動車にかかる税制については、日本の自動車メーカーや二輪車メーカーでつくる業界団体の日本自動車工業会、また日本自動車連盟(JAF)が、これまで「税制を是正するべき」という立場で国に対して様々な提言を行っている。

 直近では、日本自動車連盟が2022年10月に公開した「2023年度税制改正に関する要望書」がある。日本自動車連盟が毎年実施している自動車ユーザーの自動車関連諸税に対するアンケート調査をもとにしたもので、今年は13万5282名が回答した。アンケートによると、自動車にかかる税金が負担だと感じている人は全体98.5%に及び、また全体の94.1%が負担軽減を求めている。

 その上で日本自動車連盟は、環境性能割や自動車重量税、「当分の間税率」の廃止などを求めている。

 環境性能割とは、自動車の取得者に自動車の環境性能に応じて課税する税金である(自動車の取得時に課税する)。これは消費税が10%に引き上げられた際、自動車取得税の事実上の代替として登場した課税の仕組みだ。

 「当分の間税率」は本来の税率に上乗せされた税率である。もともとは道路整備のための道路特定財源が不足していたため自動車重量税等に上乗せされた税率を指す。2009年度に一般財源化されて「当分の間税率」という名称になった。

 また、自動車を所有していると、自動車税(または軽自動車税)が毎年1回、また自動車重量税が車両の登録時と車検のたびに課税される。さらに、使用する段階ではガソリン税(揮発油税や地方揮発税など)がかかる。そのほか、車両購入費とガソリンに対して消費税もかかってくる(つまり、ガソリンにかかる税金は「Tax on Tax」の状態である)。

 車両によって差があるが、例えば排気量1.8リッターで車用重量が1.5トン以下、年間ガソリン使用量が1000リッター(燃料タンク容量40リッターとして25回給油分:毎月2回程度)の場合、年間に支払う税金は12万円程度となる(日本自動車連盟の試算)。

 電動車や低燃費車の場合は、自動車税・軽自動車税にグリーン化特例が、また自動車重量税にエコカー減税が期限付きで設定されている。なお、EV(電気自動車)は現在、環境性能割が非課税となっている。

 このように日本の自動車にかかる税の種類はきわめて多く、仕組みが複雑だ。さらに欧米に比べて支払う金額も大きい。そのことに対して多くの自動車ユーザーが不満を持っていると日本自動車連盟は主張している。

 そうした中で今回の走行距離税の話が出てきたため、自動車ユーザーのみならず乗用車を所有しない人からも、公共交通料金や荷物の配送料の値上げなど普段の生活にはね返ってくることを懸念する声が噴出しているのだろう。

■ 大きな方向性はどうあるべきか? 

 では今後、国はどのような形で自動車にかかる税制を改正していこうとしているのか?

 審議の模様が動画配信された第20回政府税制調査会・総会での委員らのやり取りを見る限り、大筋としては、国の環境政策「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に沿った税制を目指しているものと思われる。

 国は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で「2035年に新車100%電動化」という目標を掲げている。その目標に向けた自動車産業の変化と、自動車にかかる税制を、上手く連携させようとしているのではないかということだ。

 また、昨今は「100年に一度の自動車産業変革期」と言われている。政府税制調査会・総会では、「CASE」(コネクテッド・自動運転・シェアリングなどの新サービス・電動化)や「MaaS」(モビリティ・アズ・ア・サービス)と連携した税制改正を目指すべきとの声もあった。特に自動車の「所有から共有」への移行についても指摘するも複数あった。

 これまでCASEやMaaSについて取材を重ねてきた筆者としては、それらの領域は、「モノ中心」の技術革新が主役ではなく、「人中心」の社会構造変化を最優先に考えるべきだと思う。そこには当然、自動車の電動化に伴う、地域におけるエネルギー需給バランスや、市町村の財政改革のあり方など、「社会と自動車」とのより深い関わり方を議論する必要があるはずだ。

 自動車にかかる税制改正については、EVの走行距離税といった個別の課税を切り出して考えるのではなく、国民一人ひとりが日本のおける今後の社会構造変化を十分に理解した上で、公平性がある形として施行されることが望まれる。

マイコメント

この記事では「大きな方向性はどうあるべきか?」と問いかけながら、その具体的な方法を
提示しきれていないところが残念な点であるが中々妙案がないのだろう。

しかし、最近税制調査会は「走行距離税」が国民の大批判を受けて考えたのか「道路利用税」
と言う名称がニュースやネットで目立つようになった。

 政府は乗用車の新車販売について、2035年までにEVなどの環境対応車100%を目指す方針だ。だが、EVはガソリン車に比べて車体重量が2~3割ほど重く、道路への負担が大きい。そのため、出席した委員から、以下のような意見が出た。 「走行距離、重量×走行距離、CO2排出量など、走行・重量・環境といった視点から課税を検討すべき」 「EVは普及させるため多くのお金がかかっている。道路の消耗度が高く、エンジンがないからといって安い課税水準でいいのか」  さらに「道路利用税」という案も出た。 「道路を使うことに対する課税『道路利用税』みたいな考えがあってもいい。GPSを使うかカメラを使うか議論はあると思うが、時間によって価格を差別化する。一方で渋滞や経路の最適化といった情報提供を合わせれば、税というより料金という性格を持つと思う」  だが、この「道路利用税」という案が報じられると、SNSでは批判の声が巻き起こった。

→https://news.yahoo.co.jp/articles/d5055f9a26d22bdc37d461abcba96f4dec860861

この道路利用税は重量税の代わりに出してきたのかと思ったが、すでに重量税は取られているのでネットで指摘しているような重量税の代替え案ではなく、走行距離税の名称変更だろう。

もしかして、走行距離税と道路利用税の両方を取ろうというのだろうか?
それならば、もっとひどい話です。

どうして、自動車ユーザーだけ税金でこれだけいじめられないといけないのだろうか?
多重課税をそのままにして一切顧みない税制調査会こそ問題だろう。

一度取ってしまえば、永劫に取り続けるのが税金で廃止された税制などないのだろう。
あっても名称が変更されただけで中身は変わってないのです。

かっても問題を起こした公共団体を名称を変更して批判をかわした例が多数ある。
たとえば、日本住宅公団は1968年に分譲された鶴川団地にて、1972年6月にバルコニーが落下する
事故を起こし、その後の処理が問題となり、名称を住宅・都市整備公団の変えている。
また、年金も支払記録の入力不備から年金未支給者が大量発生するという問題を起こし、社会保険庁から日本年金機構に名称替えして国民の批判が収まった。

こういう例が多数あり、彼らは問題が起きると名称変更してその場をしのぐというやり方をする。今回もそうだろう。走行距離税を道路利用税として高速道路料金と同じような錯覚を与えている。

何とかして減ったガソリン税を増やそうと画策しているのだろうが、これは時代の流れであり省エネなんだから仕方がないことだと思う。

むしろそれが正常な進化であり、それを時計を巻き戻すようなやり方しか考えられないということがおかしなことだろう。本来ならガソリン税をゼロしてしかるべきものだろう。

そのうえで走行距離税を新設すべきである。今でもガソリンは走行距離に応じて消費されているので走行距離税と同じ意味合いを持つものです。そして、地方経済に影響を与えないように税率に重みをかけ、都市ほど重く、地方ほど税率を軽くすることで負担の均質化を図るべきです。

また、走行距離税にした場合走行距離をどのように把握するかが問題となります。これを調べる調査機関が必要となり、それも公共企業体化して天下りや補助金などで中抜きをしようと目論んでいる可能性があり、一石二鳥で税収が上がり上前も跳ね上がる計算をしているのだろう。

いずれにせよ、走行距離税を課すならガソリン税を廃止するのが筋だろう。

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