本田圭佑「代表監督待望論」W杯解説で高まる 視聴者の心つかむ高度な分析

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本田圭佑「代表監督待望論」W杯解説で高まる 視聴者の心つかむ高度な分析

本田氏が代表監督になれば大きく変わるだろう、しかし、S級ライセンス問題から微妙なところ。

 優勝候補のドイツ、スペインを大逆転で破り、評価が急上昇中の森保一監督。こうした中、ABEMAでのわかりやすい解説が視聴者の心をつかみ、将来の代表監督として待望論が高まっているのが本田圭佑だ。実現の可能性は果たして。

 カタールW杯が始まる前、この結果を予想した人はいただろうか。日本がグループリーグ初戦でドイツ、第3戦でスペインと優勝候補の強豪国を撃破し、2勝1敗の首位で決勝トーナメントに進出。日本国内のみならず、世界中のメディアでサムライブルーの勇敢な戦いぶりが取り上げられている。

 2日の午前4時(日本時間)に行われたスペイン戦。ドイツに逆転勝利で大金星を挙げたが、第2戦でコスタリカに0‐1と手痛い黒星を喫し、決勝トーナメント進出に懐疑的な見方が少なくなかった。同時刻に開催されるドイツ-コスタリカ戦でドイツが大量得点で勝利した場合は、日本がスペイン戦に引き分けても得失点差で敗退の可能性が出てくる。難敵のスペイン相手に勝たなければいけない。一つのミスも許されないゲームで、森保一監督の采配は神がかっていた。

 ボランチの遠藤航、守備の要である冨安健洋、右サイドバックの酒井宏樹が万全のコンディションでないためベンチスタートに。4バックでスタートしたドイツ戦、コスタリカ戦と打って変わり、吉田麻也、板倉滉、谷口彰悟の3バックを敷いた。スペインがボール支配で圧倒したため、右ウィングバックの伊東純也、左ウィングバックの長友佑都も最終ラインに吸収される形で5バックに。前半11分にアルバロ・モラタのヘディングシュートで先制を許したが、その後のスペインの波状攻撃を耐えて追加点を許さない。

 

 現地で取材するスポーツ紙記者は、森保采配を絶賛する。

「ドイツ戦も前半を0‐1で折り返し、後半に2得点を奪って逆転しました。森保監督と選手たちはこの試合も後半勝負でブレなかった。スペインのベンチワークを完全に上回り、勝つべくして勝ったと思います」

 後半開始から三笘薫、堂安律を同時投入。前半より高い位置でボールを奪うことで、スペインのリズムが微妙に狂っていく。後半3分に堂安が左足でキーパーの手をはじき飛ばす同点弾をたたき込み、試合の流れを変えた。さらに後半6分、三笘が左サイドのゴールライン際ギリギリで折り返すと、ペナルティーエリア内に駆け上がった田中碧が体ごと押し込む。ボールがゴールラインを割ったか確認のため、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)チェックが行われたが、ゴールが認められて2‐1と逆転に成功した。

 この時点で試合時間はアディショナルタイムを含めて、まだ40分以上残っていた。ここで森保監督が強気に動いた。後半24分に鎌田大地に代え、冨安を右のウィングバックに配置する。この采配はリスクがあった。

「前半だけで板倉、谷口、吉田のセンターバック3人がイエローカードを受けている。時間の経過と共にスペインの攻撃の強度が高まることを考えると、3人は退場のリスクを抱えていた。冨安はセンターバックと交代するのが定石ですが、森保監督はそれでは逃げ切れないと判断したのでしょう。スペインが切り札のアンス・ファティを途中交代でつぎ込むと、すぐに冨安を入れてファティを封じ込めた。守備でも大きく貢献した三笘、1トップの浅野拓磨、試合終盤の遠藤をボランチで途中交代のタイミングも完璧で、5枚の交代枠がすべてうまくハマった」(前出のスポーツ紙記者)

 ドイツに続き、スペインを撃破したことで、森保監督の評価が高まっている。スポーツ紙デスクは「W杯前は森保監督はこの大会限りで退任してほしいという声が圧倒的に多かったが、この3試合で評価がガラッと変わった。決勝トーナメント1回戦で、クロアチアに勝って史上初のベスト8進出を達成したら、続投も現実的な選択肢になると思います」と語る。

 そして、この男にも「代表監督待望論」が高まっている。元日本代表の本田圭佑だ。このW杯にABEMAで解説者デビューを果たすと、ヨーロッパのトップクラブでプレーしていた経験に基づく高度な分析を披露。サッカー初心者にもわかりやすい解説で、視聴者の心をつかんだ。日本代表を思う気持ちは強く、「ファールやん!」「(浅野)拓磨サイド行けっておまえ! サイド行けって!」と語気を強めることも。言葉選びで忖度しないため、感情移入できる。コスタリカ戦に敗れた際は重苦しい雰囲気が流れた中、「勝手にガッカリしてるだけなんで。わかってたよと。元々こうだったよねというラインに一回落ち着かせて」と冷静な口調で語り、前向きな姿勢を忘れなかった。

 本田の解説はSNS上で話題になり、「日本代表監督に就任してほしい」という声が多く聞かれるように。11月25日にテレビ朝日系「報道ステーション」に出演した際は、解説者として携わった今回のW杯について、「(2002年の)日韓(大会)の時は僕小さかったですし、(生で)見るのは初めてだったんで、日本が勝った時はうれしかったです。でも、出れてない自分にも悔しさもありました。指導者としてもワールドカップに関わりたい気持ちになった」と発言。「(日本代表)監督として姿を見ることができますか?」と聞かれると、「できますよ。いつか日本。できるでしょ、ワールドカップは」と即答。「結果は優勝でしょ」と不敵な笑みを浮かべた。

「日本代表で選手として出場した過去の3大会では、W杯優勝という目標をかなえられなかった。今回のW杯で森保監督の采配を興味深く感じており、代表監督として世界の頂点に立ちたいという気持ちが強くなったでしょう。ただ現実的な観点で言うと、日本代表の監督に必要なS級ライセンスを本田は保持していない。自身のツイッターで『日本サッカー協会はプロの指導者ライセンスを残しつつ、ライセンスがなくても誰でも監督になれるようにするべき』と持論を展開しているが、現行のルールでS級ライセンスを保持していない人間を日本サッカー協会は代表監督に選ばないでしょう。クラブチームや海外のナショナルチームで監督として結果を出して、実現の可能性が出てくる話だと思います」(サッカー雑誌の編集者)

 本田が日本代表の監督に就任する日が来れば、話題になることは間違いないだろう。実現する日が来るだろうか。(ライター・今川秀悟)

 

※週刊朝日  2022年12月16日号

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