「ガソリン価格200円超え」は目前に…政府が「トリガー条項」発動を決められないワケ

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「ガソリン価格200円超え」は目前に…政府が「トリガー条項」発動を決められないワケ

トリガー条項を発動した方が早い!

補助がなければ「210円」だった

ガソリンの小売価格が1リットルあたり180円を突破した。このままでは1リットルあたり200円に到達する可能性も十分にある。政府は1年半にわたってガソリン代の補助を行ってきたが、9月末で終了の予定だ。このままガソリン価格の高騰を放置するのか、補助を再開するのか、あるいはガソリン税のトリガー条項を発動するのか岸田政権は厳しい選択を迫られている。(なお8月22日、期限の延長について検討に入ったと報じられている)。

2023年8月14日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は1リットル181.9円と、前週から1.6円上がり、2週連続で180円を超えた。このところガソリン価格が急上昇しているのは、1年半にわたって続けられてきた政府の補助が6月以降、段階的に削減されているからである。

政府は全世界的な資源価格の高騰やロシアのウクライナ侵攻によって、ガソリン価格が急上昇したことを受けて、ガソリン代の一部を補助する政策を2022年1月からスタートさせた。

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おおよそ170円を目安に、この金額を超えた分について政府が石油元売り事業者に補助することでガソリン価格を抑制する。

国民にとっては、補助がなければガソリンがいくらだったのかが分かりにくいため、あまり効果を実感できていなかったかもしれない。

だが、ガソリン価格がピークを付けていた2022年の夏には、もし補助がなければ1リットルあたり210円を突破していたことを考えると、補助は結構な規模なものだったことが分かる。

実際、この施策には莫大な税金が注ぎ込まれており、2022年については約3兆円の予算が組まれた。政府としてはいつまでも補助は続けられないとして、2023年6月から段階的に補助を削減し、9月末に終了させることを決定している。

円安が最大の誤算に

ガソリン価格を決める大きな要因である原油価格は今年に入って落ち着いており、政府としては補助を終了してもガソリン価格は跳ね上がらないとの判断だったが、最大の誤算となったのが円安である。

年明けには120円台まで戻していたドル円相場で、再び円安が進行し、とうとう145円を突破する状況となった。いくら原油価格が落ち着いても、日本の場合、原油はほぼ全量輸入なので円安になれば価格が上昇してしまう。

円安によってガソリン価格が上昇してきたことに補助の終了が重なったことから、ガソリン価格が跳ね上がる可能性が高くなってきた。

しかも主要産油国であるサウジアラビアが減産の方針を示していることから、原油価格が再び上昇に転じると予想する専門家も増えてきた。円安と原油価格の上昇が重なった場合、1リットルあたり200円を突破する可能性も見えてきたといってよいだろう。

今年の春闘ではこれまでにない賃上げが行われたが、定期昇給分が大きくベースアップ(ベア)が不十分であることに加え、全体の7割を占める中小企業の賃上げは進んでいないのが現実だ。

一方で物価は着実に上昇しており、賃金が物価に追い付く兆しは見えていない。ここでガソリン代が上昇すると、他に交通手段の選択肢がない地方を中心に、国民の生活はさらに苦しくなる。

政府はこれまで補助打ち切りの方針を変えていなかったが、8月22日に岸田首相が延長の検討を指示したことで、何らかの形で制度が延長される可能性が高まってきた。一方、消費者からはガソリン税の減税(トリガー条項の発動)を求める声も上がっている。

トリガー条項を発動させるとどうなるか

ガソリン価格の約4割は税金となっており、とりわけ揮発油税(いわゆるガソリン税)の割合が高い。ガソリン価格が1リットルあたり170円だった場合、ガソリン税は約54円にもなる。

だがガソリン税の減税については、2010年に当時の民主党政権が、1リットルあたり160円を超えた場合、ガソリン税のうち約半分を免除するというトリガー条項を法制化した。

このトリガー条項については当時、野党だった自民党が猛反発したことや、2011年に起きた東日本大震災の復興財源を確保するため、運用が凍結されている。なお、この条項を復活させれば、約25円分だけガソリン価格が安くなるので、補助を延長したことに近い効果が得られる。

だが自民党は、民主党が作った政策であることや、当時、ガソリン税の減税に反対していたことなどから、トリガー条項の復活には消極的であり、今のところトリガー条項を復活させ、ガソリン税を減税しようという動きは見せていない。

ガソリン代の補助であれ減税であれ、原資が税金という点では同じだが、経済ヘの影響という点では両者には違いが生じる。

トリガー条項の「副作用」

ガソリン代の補助は170円を目安に超過分を補助するという仕組みなので、170円以下になった場合には補助が行われない代わりに、170円を超えた分については、上限金額に達するまで170円近辺での価格が継続する。一方、トリガー条項は1リットルあたり160円が設定価格なので、ここを超えると機械的に25円安くなる。

消費者からすると価格抑制のパターンが変わることになるが、それほど大きな違いとはいえないだろう。

補助と減税の最大の違いは、地方経済への影響である。補助については全額政府予算から支出されるが、ガソリン税の一部は地方税収となっている。トリガー条項を発動して減税を行った場合、政府の税収だけでなく地方の税収も大幅に減る。

ガソリン代高騰の影響は地方経済に深刻な影響を及ぼしているが、トリガー条項を発動すると、ガソリン代は安くなるものの、今度は地方経済に深刻な影響を及ぼしかねない。トリガー条項を発動する場合には、地方の税収不足を補填する仕組みも必要となる。

 

いずれにせよ、最大で年間3兆円となる莫大な予算が必要であり、財源の議論は避けられない。政府は防衛費の増額を決めたばかりであり、子育て支援の予算も大幅に拡充する方針である。補助の延長や減税を行う場合、他の予算とのせめぎ合いになるのはほぼ確実だろう。

では補助や減税ではなく、ガソリン価格そのものを抑制する方策はないのだろうか。

ガソリン価格は基本的に原油価格に連動して決まる仕組みだが、原油価格は国際的な市場で決定されるため日本が影響力を行使することはほぼ不可能である。そうなると日本側で出来ることは為替のみということになる。

円高に転換できない事情

日銀は4月に総裁が交代したが、今のところ植田新総裁はアベノミクスの中核的な政策である大規模緩和策を継続する方針を崩していない。前回の金融政策決定会合では政策の微修正が行われたものの、市場はアベノミクス継続と認識しており円安が進んでいる。

アベノミクス(大規模緩和策)は、日銀が大量のマネーを市場に供給し、意図的にインフレ(物価上昇)を発生させる政策なので、この政策を実施している限り、円安と物価上昇が発生しやすい。

大規模緩和策を終了し、日銀が金融引き締めに転じれば円高となる可能性が高く、ガソリン価格を抑制できる。だが日銀にとっては簡単に政策を転換できない事情がある。

自民党内部では、アベノミクスの継続を強く主張するグループの影響力が依然として大きく、日銀が政策転換しないようプレッシャーをかけている。実際、前回の政策微修正についても、世耕弘成参院幹事長が「植田和男総裁に目を光らせておかないといけない」と、穏やかではない口調で警戒感を示した。

日銀は日銀法で独立が担保されているものの、かつて安倍元首相が「日銀は政府の子会社」と発言したこともあり、自民党内には、日銀の政策は政府がコントロールすべきという声が大きい。こうした状況下では、日銀は簡単に政策変更に踏み切れないだろう。

政治的な駆け引きに加え、現実問題として金利の引き上げが難しいという事情もある。日本経済は10年にわたる大規模緩和策にどっぷりと浸かった状態となっており、ここで金利を上げてしまうと、企業の倒産や住宅ローンの破産者が急増するリスクがある。

このため日銀は当分の間、大規模緩和策を継続せざるを得ず、そうなると円安が進行するのでガソリン価格は上がりやすくなる。

もっとも、大規模緩和策を継続したまま、ガソリン価格高騰に対処する方法はひとつだけ残されている。それは日本経済の仕組みを変革し、コストが増大しても総供給量を維持できる体制にシフトすることである。だが、この政策を実現するまでには相当な時間がかかることに加え、企業の経営改革が必須となるため、多くの抵抗が予想される。

 結局のところ、現時点においては、ガソリン価格高騰を放置するのか、他の政策を犠牲にして財源を確保し、補助や減税を実施するのかの二択に近い状況だ。

まいこめんと

私が住んでいる市の地方交付税は令和3年度が134億円、令和4年度が113億円と21億円も
地方交付税が減らされているが、それでも何とか予算を組んでいる。

そして、ガソリンの地方交付金は令和4年度は7千5百万でしかなく、はるかに地方交付
税の変動が大きい。

このことからして政府がトリガー条項を発動しないのはひとえに財務省の意向だろう。
地方経済に与える影響がと言うが、地方交付税を減らされるがはるかに影響が大きく
その言い訳は嘘だとわかります。

ガソリン補助金の方が政府や官僚に都合がいいものです。補助金を注入することで政府に
政治献金が増えるし、官僚には天下り先が増え、財務省には税金が増えるという一石三鳥
の効果があるからです。





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