英国政府が国民に食料備蓄の徹底と「戦争の準備」を呼びかけ、欧州は戦争時代に向けて進み出す
マタイによる福音書 24章6-8節
戦争の騒ぎや戦争のうわさを聞くだろうが、慌てないように気をつけなさい。そういうことは起こるに決まっているが、まだ世の終わりではない。民は民に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に飢饉や地震が起こる。しかし、これらはすべて産みの苦しみの始まりである。
英国政府が戦争マニュアルを数十年ぶりに改訂
英国政府が最近、国民に「食料備蓄の徹底」を呼びかけるキャンペーンを開始したことが報じられています。
同時に、英国政府は、数十年間更新されていなかった、「戦争マニュアル」を改訂し、
「戦争への準備」
について国民に呼びかける準備を進めています。
ロシアとウクライナの戦争が始まって以来、「ヨーロッパを巻き込む戦争」の話は何度も出ていましたが、ここにきて、急速にいろいろなことが具体的に進んでいるようです。
ロシアはロシアで、プーチン大統領が新たな動員を検討しているようで、現在、ロシアの富裕層やエリート層が、親族を国外へ避難させているとブルームバーグは報じています。
ブルームバーグの情報が正しければ、ロシアの戦争の状況は以下のように、かなり厳しいものとなっており、大幅な兵力増強が必要な段階になってきているようです。
モスクワ・タイムズ紙の報道より
モスクワの情報筋がブルームバーグに語ったところによると、ロシアの最前線での死者数は現在、毎週 1000人に達している。軍はより多くの兵士を必要としているが、国防省と契約を結ぶ兵士の「質」は現在極めて低いという。
生物講座を受講プーチン大統領自身が 70万人と見積もったウクライナ戦線で安定した戦力を維持するためには、ロシアは毎年約 40万人の兵士を募集する必要がある。
「毎年 40万人の動員」というのは、人口約 1億4000万人のロシアにとっては絶望的な数字ですが(人口約 1億2000万人の日本の自衛隊の総人員は約 21万人)、こうしないと立ち行かなくなっているとも言えるのかもしれません。
昨日、英国の BBC が、「戦争が迫っているかもしれない。我々は精神的に準備ができているだろうか?」というタイトルの記事をリリースしていました。
かなり長い記事ですが、英国の状況と共に、ヨーロッパ各国の徴兵制などに対しての状況などが記されていて興味深いものでした。
たとえば、男性は全員が徴兵制となっているフィンランドでは、
「就職活動をする際に、履歴書に兵役経験があれば、最良の候補者と見なされる」
のだそうで、職務キャリアの中で最高位なのが、兵役なのだそうです。
仮にヨーロッパに戦争が近づいているとしても、それは現在のロシアとウクライナ、あるいはイランとアメリカのようなミサイル的な戦争ではないかもしれません。サイバー戦争や通信インフラを標的とした戦争になる可能性のほうが高そうですが、それでも、戦争が起きた場合、だだでさえ世界的なエネルギー不足が深刻化している中で、混乱は一般の人々の生活にも波及していくと見られます。
着実にヨーロッパ各国は非常に具体的な「準戦時」的な準備段階に進んでいます。
BBC が「戦争が迫っているかもしれない」というタイトルの記事を出したことも興味深いです(記事には、戦争に批判的なことはほぼ書かれていません)。
ともかく、その BBC の記事をご紹介します。
戦争が迫っているかもしれない。我々は精神的に準備ができているだろうか?
War may be coming. Are we psychologically ready?
BBC 2026/09/18
もしイギリスが突然戦争状態に陥ったら、あなたは何をすべきか分かっているだろうか? あなたには何が求められるか、理解していいるだろうか?
英国政府は、私たち全員に生活への深刻な混乱に備えるよう求めている。缶詰や飲料水の備蓄、市民の回復力の強化、そして戦争の可能性への備えを求めているのだ。
数十年間更新されていなかった、政府のいわゆる「戦争マニュアル」の改訂作業が始まった。
英国軍最高位の軍人が警鐘を鳴らした。国防参謀総長のリチャード・ナイトン卿は今週、ロシアからの脅威により、英国は自身の 35年にわたる軍歴の中で「最も危険な」時期を迎えていると述べた。
しかし、一体どんな脅威があるというのだろうか?
1940年当時、ドイツによるイギリス侵攻の危険性は非常に現実的なものだった。しかし、(現状では)ロシアの戦車がホワイトホール(※ロンドンの中心部のエリア)に押し寄せる可能性は、まずあり得ないだろう。
「心配すべきは戦車ではありません」と、『戦争:紛争はいかに私たちを形作ったか』の著者である歴史家のマーガレット・マクミラン氏は述べている。
「それは海底ケーブルの切断であり、多くのものが依存しているシステムへのハッキングです。非対称戦争、サイバー戦争の可能性は飛躍的に高まっています」
しかし、私たちは本当に準備ができているのだろうか? 80年間、自国領土で戦争がなかった今、社会として、私たちは戦争に心理的に備えているのだろうか? 国防費の大幅な増額、そしてそれが国家生活の他の分野にもたらすであろう犠牲を受け入れる覚悟はできているのだろうか? それとも、戦争の脅威はあまりにも非現実的で、現実味がないと感じているのだろうか?
第一次世界大戦の遺産
「私たちは、平和が当たり前の状態であり、それが永続するものだという考えに慣れてしまっていると思う」とマクミラン氏は述べている。
「ですので、私たちは心理的に準備ができているとは思いません…しかし、戦争は私たちが考えているよりもずっと身近なものであるということを認識し始めているとは思います」
1913年にイギリス人が競馬を楽しんだり、クリケット観戦をしたりする様子を映したアーカイブ映像は、その後に続く第一次世界大戦の惨禍とは著しい対照をなしている。

第一次世界大戦前の夏は、戦争への準備不足を象徴する時期となった。
「ある意味、今は 1914年以前のエドワード朝時代の夏に少し似ています。当時は戦争の話はたくさん出ていましたが、実際に戦争に行くという考えはあまりにも突飛で信じがたいものでした。そして、私たちは今まさにそのような状況にあると思います」と、元欧州連合軍最高司令官代理の退役英国大将、リチャード・シャーフ卿は述べている。
ヨーロッパは常に戦争を嫌っていたわけではない。
1914年には、祖国のために尽くしたいと願う志願兵が徴兵所に殺到した。当時のイギリスでは、戦争は輝かしい騎兵突撃であり、迅速な勝利とクリスマスまでには皆が故郷に帰れるという、帝国建設の英雄譚が語り継がれていた。
しかし、後に第一次世界大戦として知られるようになった戦争の経験は、人々の意識に深く刻み込まれ、私たちの集合的な想像力の中に生き続けている。
英国で志願した兵士の 8人に 1人は、フランドル、フランス、メソポタミア、ガリポリの戦場にその遺骨を残した。生き残った兵士たちは、何千もの戦没者慰霊碑を建立することで、言葉に尽くせない悲しみを風景に刻み込んだ。その痛みは、国中のあらゆる地域社会に及んだ。
マーガレット・マクミラン氏によれば、第一次世界大戦はヨーロッパにおける戦争に対する考え方を根本的に変えたという。
「第一次世界大戦の経験は、近代戦争がいかに恐ろしいものであるかを如実に示しました。そして、戦争が華やかなものであるという考えは、その後二度と戻ってきませんでした」
不信の危機
ヨーロッパ人、特に西ヨーロッパの指導者層は、数十年にわたる「不信の危機」に陥っている、とフロリダ大学ハミルトン・スクールの戦略研究教授でポーランド生まれのアメリカ人学者アンドリュー・ミクタ氏は主張する。
彼は、英国は多くのヨーロッパ諸国と同様に心理的な備えが非常に低く、当局は迫り来る脅威について正直に語っていないと主張している。
「ドイツは過去 30年間で完全に武装解除しました。英国も大部分が武装解除されており、何よりも精神的に武装解除されています。政策エリートたちが国民に対し、事態の深刻さを正直に伝えるような形で語りかけていないため、現状への備えが全くできていないのです」とミヒタ氏は述べる。
1990年代初頭にソビエト連邦が崩壊すると、多くのヨーロッパ諸国は、ロシアからの脅威は消滅したという認識のもと、数十年にわたる軍事準備の縮小を開始し、国防費を大幅に削減した。
ミヒタ氏は、ドイツがノルド・ストリーム・ガスパイプライン(バルト海の下を通ってロシアからドイツへ大量のガスを輸送するパイプライン)を通じてロシアのエネルギーに大きく依存していることを特に問題視し、ベルリンが政治的・経済的な手段でモスクワとの関係を管理できるという誤った考えに基づいていると指摘している。
リチャード・シャーフ将軍は、2014年のロシアによるウクライナ侵攻こそが真の転換点であり、ロシアが西側諸国の安全保障に対する執拗な脅威であることを露呈した瞬間だったと主張している。
「現実には、ロシアは 2014年から NATO と戦争状態にあると考えている。それは通常戦争ではなく、標的となる国家や同盟の統合性を損なうことを目的とした戦争だ」
「私はロシアを決して軽視しない。例えば、スピッツベルゲン島(ノルウェー領スバールバル諸島)を占領しようとしたり、あるいは何らかの間接的な手段を用いて NATO を混乱させようと試みる可能性は十分にある」
「だからこそ、我々はそれに備えなければならない」
国防費増額を求める声が高まる背景には、戦争を防ぐ最善の方法は、心理的にも軍事的にも戦争に備えることだという考えがある。しかし、誰もがこの考えに賛同しているわけではない。
心理学者でバーミンガム大学臨床・地域心理学名誉教授のジム・オーフォード氏は、「我々が脅威にさらされているという認識が鍵となる」と述べている。「これは私が単純思考と呼ぶものだ。戦争の可能性を考えるためには、敵と英雄という観点から、単純な考え方をしなければならない。ロシアを敵とみなさなければならない。物語はすべて単純化されている」
「戦争への(心理的な)準備が第一段階だ。戦争を熟考することが第二段階であり、実際に戦争に突入することが第三段階だ。我々は今、まさに『戦争を熟考する』段階に入っていると思う」
市民参加
ミヒタ氏が言うところのこの「不信の危機」は、均等に広がっているわけではない。東へ行くほど、ロシア国境に近づくほど、国民は脅威に対してより警戒し、心理的に準備を整えている。
スウェーデンは 200年間戦争を経験しておらず、何世紀にもわたって中立政策を維持してきた。しかし、2022年のロシアによるウクライナへの本格的な侵攻後、スウェーデンはその政策を放棄し、ごく短期間のうちにヨーロッパで最も精神的に準備の整った国の一つとなった。
「ロシアは言うまでもなく危険だ」と、スウェーデンのウルフ・クリステルソン首相(当時)は先月、英誌エコノミストに語った。
「ウクライナ戦争がいつ終わるかは分からないが、どのように終結するかによって、少なくとも一世代にわたってこの地域の安全保障情勢が決まるだろう」
スウェーデンでは部分徴兵制が採用されており、すべての学校卒業生は兵役登録を義務付けられている。軍は優秀な候補者を選抜し、徴兵する。徴兵された兵士は最長 15ヶ月間の義務的な訓練を受けた後、就職または高等教育などの民間生活に戻る。同時に、彼らは国の大規模な予備役部隊の一員となる。
「市民の関心は非常に高い」と、ストックホルム東欧研究センターのアナリスト、ミンナ・アランダー氏は語る。「 2022年と 2023年には、誰もが召集されることを願っているというジョークがインターネット上で話題になったほどです。長い間召集されないと、人々は時に不満を感じます。召集されることは、期待されていることなのです」
「例えばスウェーデンは、電力供給などの関連スキルを持つ土木技術者を特定し、停電などの事態が発生した場合に活用できるようにしています。つまり、スウェーデンは、自分たちが何ができるのか、どのように動員できるのかを知っている土木技術者の人材プールを利用できるのです」
バルト三国(リトアニア、エストニア、ラトビア)は、ロシアのことをよく知っている。これらの国々がモスクワから独立を回復したのは 1990年代になってからのことだ。1940年代にドイツ軍がリトアニアに侵攻したが、現在は再びリトアニアの地に駐留している。
今回は招聘によるもので、東からの脅威に対する同国の防衛力強化のためだ。エストニアでは、同じ理由で 1000人のイギリス軍が多国籍軍を率いている。
しかし、現在ヨーロッパの多くの国々は、集団心理的備えと市民の回復力に関して、フィンランドから教訓を得ようとしている。
フィンランドの防衛・安全保障への取り組みは、歴史的経験にも根ざしている。第二次世界大戦で亡くなった北欧諸国の国民 10万人のうち、 90%はフィンランド人だった。彼らは 1939年から 1940年にかけての、いわゆる冬戦争でソ連と戦った。この小さな国は、巨大な隣国からの攻撃を撃退し、独立を守り抜いたのだ。
フィンランドは現在、ロシアと 1,287キロメートルの国境を接している。2022年のウクライナへの本格的な侵攻後、フィンランドは歴史的な中立を速やかに放棄し、隣国スウェーデンとともに NATO に加盟した。
フィンランドでは男性は全員が徴兵制であり、一部の女性たちも志願して兵役に就く。兵役を終えた女性は予備役となる。これにより、職業軍人と一般市民との間の隔たりが縮まる効果がある。
「徴兵制が適切に実施されれば、すべての家族が国家安全保障の考え方に結びつく。祖父も曽祖父も息子も、皆同じ兵役に就くことになる」と、フィンランド国防省の元事務次官で退役した三つ星将軍のアルト・ラティ氏は語る。
「フィンランドでは、社会全体が軍隊を支援するよう義務付けられている。すべての病院に危機対応任務があり、すべての水道事業体にも同様の任務がある。そして興味深いことに、フィンランドで今日、国民から最も信頼されている組織は、軍隊、国防軍、そして警察だ。これはほとんどの国では当てはまらない」
フィンランド軍はまた、国会議員、政府閣僚、民間企業や公共事業の最高経営責任者、医療従事者、さらには NGO や教会関係者など、社会の指導者を対象とした一連の研修コースを毎年実施している。
「私たちは彼らに危機管理の訓練を行い、危機時に社会がどのように機能するかを理解させている。1960年から毎年実施している」
人口 550万人のフィンランドには、2万3000人の正規国防軍がある。これは、人口 6600万人のイギリスの 7万人と比較すると少ない。しかし、フィンランドには約 100万人の訓練された予備役部隊があり、短期間で 28万人の予備軍を動員できる能力も備えている。
2025年、フィンランドは GDP の 2.5%を防衛費に費やしたが、これは同年の英国の 2.3%とほぼ同水準となる。
ロシアとの通常戦争の可能性が極めて低いように見える今、他のヨーロッパ諸国はフィンランドの先例に倣うために、わざわざ費用を負担すべきだろうか?
「 7万人の軍隊では、我々が直面しなければならないような戦争には到底太刀打ちできないだろう」とリチャード・シャーフ将軍は述べている。「なので、(英国は)何らかの形で徴兵を行わなければ、必要な軍事力を確保できるとは思えない」
彼は、ノルウェーのモデルは、イギリス人の戦争に対する考え方を変えるのに役立つかもしれないと述べている。
「ノルウェーでは、学校を卒業した人は全員徴兵登録され、1年間の訓練を受けた後、大学に進学する。そして後々、就職活動をする際に、履歴書に兵役経験があれば、最良の候補者と見なされる。私たちは、そういった点に目を向けるべきだ」
彼はさらにこう付け加えた。「政治指導者たちは、国民の目をまっすぐ見て、『我々の安全を守るためには、これをしなければならない』と正直に訴えなければならない」
ここまでです。
なお、戦争といえば、
「アメリカ軍が AI の誤情報により中国と戦争の間際まで行っていた」
とする報道がなされていました。
以下は冒頭部分です。
「中国船が核兵器部品を輸送」 米軍、AI使用の誤った情報報告書で一触即発の状況に
イランとの戦争のさなかにあった今春、米軍内で回覧されたある情報報告書に、即座に緊張が走った。中東を航行する中国の船舶が、核兵器計画の部品を輸送しているという内容だった。
AIツールを試す事情に詳しい情報筋4人によると、米軍はこの船を阻止する計画を直ちに行動に移した。情報筋2人によれば、武装した米兵が船へ乗り込む準備を進め、そのうち1人と別の情報筋によると、軍用機が空中に展開した。
作戦直前の段階になって初めて、当局者は特殊作戦コマンドの分析官が作成した報告書を詳しく検証。
その結果、報告書が人工知能(AI)の助けを借りて作成されたこと、分析官の使用したチャットボットが船に積載された物資を誤認していたことが判明した。CNNは、誤認された積み荷の中身を突き止めることができなかった。
情報筋の1人によると、この報告書は「完全に誤り」で、「あと少しで戦争を引き起こすところだった」という。
CNN 2026/09/19
こういうタイプの「 AI の幻覚が引き起こす戦争」という懸念も今の時代はなくはないです。
新たな大戦争の時代が確実に近づいてきていると思われますが、それがどのように始まるのかはわかりません。
しかし、起きた場合、日本も物資的に非常に大きな影響を受けることになると思われます。







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