これからもモンスターエルニーニョはさらに発達し続ける。その先の地球は? そして日本は?
すでにエルニーニョは史上最強に発達
9月25日に、エルニーニョ監視海域の水温が 29.822°Cに達して、記録が残るすべてのエルニーニョ現象のときの海水温を上回りました。
エルニーニョ監視海域の絶対海面水温の推移
nofia.net
これは平均値を 3℃上回る数値だそうで、過去約 80年の観測史上で初めての記録となるようで、前例のないものです。
気象分析メディアのシビア・ウェザー・ヨーロッパは以下のように書いています。
12月の海洋予報を見ると、世界中の海洋で顕著なスーパーエルニーニョ現象が発生していることがわかる。東部海域では最大で平年より 7℃以上高い水温異常が観測されており、まさに歴史的な出来事が目の前で繰り広げられている。severe-weather.eu
というように、「歴史的な出来事」の渦中にいるのですよね。
何より、通常、エルニーニョ現象は、年末にかけてがピークとなるので、これからまだ海域の水温は上昇する可能性が高いです。
欧州中期予報センター(ECMWF)の予測では、今回のエルニーニョは、11月から 12月がピークになることを示していて、以下のようになっていました。赤いラインが今年で、他のライン(点線)は過去の主要なエルニーニョの際の海水温です。
欧州中期予報センターの予測モデル
severe-weather.eu
おそらく 20世紀、21世紀を通じて最強のエルニーニョになる可能性が高く(実はすでにそうなっているのですが)、今後、世界の気温や気象がどうなっていくのかが不透明になっています。
あるいは、150年前の「スーパーエルニーニョ」を超える可能性もあります。
現在、確かに、世界の気候は不安定で、特に目立つのは豪雨や洪水ですが、タイやインド、ネパールでは大規模な洪水が発生しています。
・インドの一部地域で平年の200倍もの降雨量を記録し、壊滅的な洪水が発生
そして、日本では東京で「 34日間連続の降水記録」という、過去最長を更新する連続降雨記録が発表されています。これは、「全然晴れる日がない 9月」だったともいえます。本当にずっと雨か曇りばかりでしたからね。
しかし、一方で、「激しい干ばつ」に見舞われている国や地域も数多くあるようで、世界では中米などがその影響を受けているようです。
以下は、9月28日のスペイン語版 BBC の報道からの抜粋です。
「牛が喉の渇きと飢えで死んでいる」:エルニーニョ現象の壊滅的な影響が、すでに中央アメリカの乾燥地帯で感じられている
農家のフアン・エスタニスラオ・ムニョスさんは、激しい干ばつには慣れている。しかし、今回の干ばつは前例のないものだと彼は言う。
「私は 61歳ですが、こんな干ばつは人生で一度も見たことがありません。収穫は無理でしょうし、何もかもダメになるでしょう」と彼は言う。
彼の家は中央アメリカ乾燥地帯に位置しており、そこはグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカの一部を横断する細長い地域だ。
国連によると、その地域には 1000万人以上が居住しており、農村部の人口の 70%以上が貧困状態にあり、100万人以上の子どもが栄養失調による発育阻害に苦しんでいる。
もともと脆弱なこの地域では、気候変動によって悪化したエルニーニョ現象が水不足をさらに深刻化させ、何千もの家族を緊急事態と絶望に追い込んでいる。
…そしてその影響は既に中央アメリカの乾燥地帯で甚大な被害をもたらしており、そこでは何百万もの農村世帯がトウモロコシや豆の自給自足農業に依存している。
「最初の収穫では何も収穫できませんでした。今は植え付けのために雑草を取り除いたところですが、雨が降らなければトウモロコシは育たないでしょう」とムニョスさんは語る。
「私は牛を飼っているのですが、今は草を食べず、土や葉っぱを食べています…。ここの牛たちは喉の渇きと飢えで死んでいます」
ここまでです。
世界食糧計画(WFP)によると、エルニーニョ現象の影響で、中米全域で 420万人が食糧不安に陥る可能性があると推定しているそうで、世界的に見ると、エルニーニョによって深刻な食糧不安に直面する人々の数は、2億2500万人から 2億7400万人へと増加する可能性があるとのことです。
しかし、干ばつと同様に、洪水、あるいは極端な日照不足(今の日本のいくつかの地域のように)も農作物に大きな影響を与えるはずで、大雨にしても干ばつにしても、極端な気候は、食料不安に大きく関係してくると思われます。
日本の秋冬は
これから気温や気象はどうなるのかということについては、過去のデータからだけでは何ともいえないのが事実ですが、日本に関していえば、
「奇妙な冬」
になる可能性が、先ほどの欧州中期予報センター(ECMWF)のモデルは示しています。
気温
まず「気温」ですが、これに関しては、あくまで予測モデルですけれど、
「平年より著しく高くなる」
予測が示されています。
以下は、12月・1月・2月の気温の平年との差異の予測です。
ECMWFの日本の12月・1月・2月の気温の平年との差異の予測
severe-weather.eu
赤が濃くなるほど、平年より気温が高いことを示していますが、東北から北海道の太平洋側などでは、平均との差異が +3℃に近いような気温が示されています。
というか、日本の全体が平年より高い気温の予測となっています。
雨量
これも、同じ予測モデルからです。
緑が濃くなるほど、平年より多いことが示されます。日本全体として、平年より多い雨量が予測されているようです。
日本の12月・1月・2月の降水量の平年との差異の予測
severe-weather.eu
降水量が多いなら「雪の量は?」となりますと、以下のようになっていました。茶色が濃いほど「平年より少ない」ということになります。
日本の12月から3月の降雪量の平年との差異の予測
severe-weather.eu
降水量は多いのに、雪の量は地域によって、日本海側の東北などで極端に少なくなる可能性が示されています。平年より多いのは、北海道だけですね。
この予測が必ずしも当たるということではないですが、現状での予測ではこのようになっていて、
・気温がかなり高い冬
・雪がかなり少ない冬
というようなことなっていく可能性があるようです。
北海道や東北など、通常は雪が多く降る地域では、その雪が翌年の豊富な水資源に結びつきますが、どうなんでしょうかね。
燃料危機と重なって訪れる気候の危機
エルニーニョと関係する話ではないですが、今はエネルギー・燃料危機、あるいは肥料危機の渦中でもあり、さまざまな国で、特にディーゼル燃料の不足や枯渇が起き始めています。
英国では、ディーゼルとガソリンを配給制にするという可能性が言われていますし、アメリカもディーゼルの輸出を一時停止するのではないかという話も多く出ています。
世界の石油などの輸送状況が現状のまま続くとした場合、日本でも早ければ、2027年の春頃までにはディーゼルの不足が起きる可能性があります。
ロイターなどによると、ディーゼルのアジアのハブであるシンガポールにおけるディーゼル在庫は、データ記録開始以来の最低水準で、また、冬になると、特に欧米などで軽油系の暖房用燃料の需要が増加することもあり、今の状況が続くのであれば、2027年は日本も厳しくなりそうです。
ディーゼルの不足は社会全体に影響を与えますが、最も重要なこととして、
「農業生産の根本はディーゼル燃料」
なのです。
稲作や大規模農業で欠かせないトラクター、コンバイン、田植え機から、作物を輸送する中長距離トラックも 100%ディーゼル駆動となっています。
ディーゼルがないと農業が成り立たなくなっちゃうんですよね。
そういうエネルギー危機と、気象の異常の農業への影響などを考えますと、日本を含む主要国でも食料への影響は大きくなりそうです。
そんなわけで、エルニーニョの実際の影響はその時期にならないとわからないでしょうけれど、2026年後半から 2027年の春頃までは、わりと激しい時期にはなりそうです。



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