問題は原油ではなくナフサの在庫の問題。2か月後には国民にもその内容が認知され大騒ぎになる。しかし、すでに時遅し!今から準備が必要。
ナフサクラッカーの基本を説明すると、
ナフサを約800℃でスチームクラッキングすると、
C2エチレン系(約25-30%)、C3プロピレン系(12-16%)、C4留分(約8-10%)、BTX(10-13%)が同時に生成される。
問題は在庫水準が品目ごとに全く違う。
PE/PPは大量生産品でサイロに数万トン単位の備蓄がある。「2ヶ月」はおそらくこれ。
しかし:
・ブタジエン → 揮発性が高く大量貯蔵困難
・IPA(消毒剤・半導体洗浄溶剤) → 引火性液体、消防法規制下の貯蔵
・特定の可塑剤・有機溶剤 → 需要家がJITで回している
・フェノール・BPA等の中間体 → 専用プラントが限られバッファが薄い
これらの在庫日数を、政府は一度も示していない。
PE/PPに比べ大幅に短いことは、貯蔵特性と流通構造から明らかだが、「川中製品2ヶ月」という一括りで覆い隠されている。
つまり最も脆弱なのは:
①医療:透析回路(PVC+可塑剤)、ゴム栓(ブチルゴム)、消毒用IPA
②半導体:ウェハ洗浄用IPA、フォトレジスト溶剤
③自動車・物流:合成ゴム(SBR/BR)、塗料溶剤(トルエン/キシレン)、Oリング・パッキン → 1部品欠けてもラインが止まる
④食品:PETボトル(パラキシレン→PTA)、缶詰内面塗装(エポキシ/BPA)、農薬原体(ベンゼン由来)
⑤インフラ:電線被覆PVC+可塑剤 → 信越化学がすでに供給制限を発表済
しかし政府は「川中製品2ヶ月」と一括りにし、最も余裕のある品目で全体の安全を語っている。
サプライチェーンは最も弱い環で切れる。
「現状は販売停止になっていない」←その通りです。
「だから不安を煽るな」←ここが論理の飛躍です。
透析患者さんは全国に約34.5万人、年間約5,300万回の透析があります。
1回でも回路が届かなければ、その患者さんは死にます。
代替手段はありません。
「販売停止になってから言う」では遅いんです。
届かなくなった時点で人が死ぬ領域だからこそ、届いている今のうちに上流リスクを可視化しているんです。
火災報知器は火が出る前に鳴るから意味がある。
「まだ燃えてないのに鳴らすな」とは言わないですよね。
不安を煽っているのではなく、備える時間があるうちに警報を鳴らしています。
医療機器営業の最前線にいらっしゃる方にこそ、この時間軸の感覚を共有したいと思っています。
で、まさにその「火が出る前の警報」を川上企業がやってくれたのがこれ。
出光興産「ホルムズ封鎖長期化ならエチレン生産停止も」取引先に通知(日経)
nikkei.com/article/DGXZQO…
3月6日時点で、徳山・千葉の2拠点(国内エチレン生産能力の約16%)について「止まるかもしれない」と川下に通知してる。
この出光の対応に僕は震えました。 これ、まさに「まだ燃えてないけど報知器を鳴らしている」
原油備蓄はあっても、ナフサや化学原料は別枠。
届かなくなった時にはもう遅い。
出光は川下に時間をくれた。
「準備しろ」と。
で、僕がやってるのも同じこと。
その川下のさらに先、医療現場・患者さんに向けて、同じ警報を鳴らしてるだけ。
「不安を煽るな」じゃないんですよ。
出光がやってることと、僕がやってることは同じ構造なんです。
今の政府は、患者が意識を失ってから鑑別を挙げている研修医と同じ。
頭はいい。
でも経験がないから、予測できるリスクに対応せずにリスクが現実化してから、あたふたする。
「SpO₂は下がってますけど、まだ心拍は保ってるので大丈夫です!」
いや、そこはもう挿管の準備をしろ。と。
このままだと、
産業の心停止は2ヶ月後です。



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