10年後、税務署から届く“恐ろしい通知”に絶句【国税調査官は見た】
「毎年110万円以内なら贈与税はかからない。だから子どもに毎年コツコツ渡している」
相続対策として広く知られるこの方法。私が国税局で調査官として働いていた頃、この「暦年贈与」をめぐるトラブルを何度も目にしてきました。非課税のはずが、なぜ問題になるのか。その理由をお伝えします。
「定期贈与」と見なされると一括課税される
毎年110万円を10年間贈与すると、総額1,100万円を渡せます。
しかし税務署の目には、これが「最初から1,100万円を渡すことを約束した定期贈与」と映ることがあります。
定期贈与と判断されると、贈与が始まった初年度に1,100万円全額に対して贈与税が課せられます。せっかくの節税対策が、逆に多額の税金を招く結果になってしまうのです。
これを避けるためには、毎年贈与の金額や時期を意図的に変える、贈与契約書を毎年作成する、贈与を受けた側が実際に管理・使用できる口座に振り込む、といった対策が必要です。
「名義預金」は贈与とは認められない
「子どもの名義で口座を作り、そこに毎年お金を入れている」という方も多いのですが、実はこれが税務調査で最も問題になるケースの一つです。
通帳や印鑑を親が管理していた場合、税務署はその口座を「子どもの財産」ではなく「親の財産(名義預金)」と判断します。名義は子どもでも、実質的な所有者は親とみなされ、相続時に相続財産として計上されます。
贈与として認められるためには、子どもが自分で管理できる口座であること、贈与を受けたことを子ども本人が認識していること、この2点が最低限必要です。
相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象
もう一つ見落とされがちなのが、「相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算される」というルールです(2024年以降は段階的に7年に延長)。
高齢の親が亡くなる直前に急いで贈与を始めても、3〜7年以内の分は相続税の計算に含まれてしまいます。相続対策は早めに、長期間かけて行うことが重要です。
まとめ
暦年贈与は正しく使えば有効な相続対策です。しかし「毎年同額・同時期」「通帳を親が管理」「直前に慌てて実施」という3つのパターンは、税務調査で問題になりやすい典型例です。
贈与契約書の作成と、専門家への相談を組み合わせることで、確実な対策を取ることをおすすめします。
ライター:田中 仁
元銀行員・国税調査官の経験を活かし、金融・税金・手続きに関する情報を、専門知識がない方にもわかりやすくお届けします。「お金のリアル」を伝えることを心がけ、実務経験に基づいた正確な内容と、読者の共感を呼ぶストーリー性を両立した執筆を得意としています。納期厳守と丁寧なコミュニケーションを信条としております。



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