「ゴム手袋節約」で歯科の助手は1人、塗装作業用シンナーは「入荷あればラッキー」…ナフサ製品の品薄深刻
塗装作業に欠かせないシンナーの売り場の棚には、「現在入荷の予定は未定となっております」と書かれた小さな看板が置かれていた。
中東情勢の影響で、福井県内でも、ナフサ(粗製ガソリン)から作られる一部の製品の入手が難しくなっている。ホームセンターではシンナーが品薄となり、歯科医院ではゴム手袋の使用量を抑えるなど、関係者は対応に追われている。(北條七彩)
今月15日、記者は坂井市内にあるホームセンターを訪れた。塗装作業に欠かせないシンナーの売り場の棚には、「現在入荷の予定は未定となっております」と書かれた小さな看板が置かれていた。塗装業者とみられる客は、店員に入荷予定を尋ねていた。
売り場担当者は「3月末頃から入荷が激減した。入荷があればラッキーと思うくらいだ」と明かす。主力の1・8リットル缶の入荷は以前の3分の1程度に減り、1人1個の購入制限を設けている。入荷は週1回に4~5缶が来る程度で、入荷したその日の午前中には売り切れる状況が続く。
政府は、国内でのナフサやシンナーの供給量自体は足りているものの、流通段階で「目詰まり」が生じていると説明する。売り場担当者は「入荷の予定を聞かれるがはっきり答えられない。お客様にご理解いただくしかない」と厳しい表情だ。23日時点でも状況は改善していないという。
影響は医療現場にも出始めた。「畑歯科医院」(坂井市)では、ゴム手袋の使用量を抑えるため、患者1人につく助手を2人から1人に減らした。
県歯科医師会理事も務める畑陽子院長(52)は、ゴム手袋を販売する大手メーカーからの出荷がほぼない状態だと説明する。「歯科医院は規模が小さく、備蓄量は多くない」と声を落とす。
感染防止のため、ゴム手袋は再利用できない。畑さんは「品薄だからといって、感染対策をおろそかにはできない。安全な医療を提供できるよう、工夫を凝らしたい」と話す。
政府は供給不足への不安解消のため、備蓄している医療用手袋5000万枚を5月から放出する方針だ。
福井財務事務所は今月中旬、県内の建設業や製造業、ホームセンターなどの販売業者約30社に、中東情勢の影響についての調査を実施した。「シンナーが値上がりし、見積額からの上乗せが生じることを顧客に説明している」(建設業者)、「新規の受注は断り、既存の受注にも制限をかけている」(プラスチック製造業者)などの回答があったという。
同事務所の担当者は「生産活動を制約するような状況には至っていない」としながらも、「原材料価格の高騰や数量確保を不安視する声は大きい。物価が上昇し、消費者にも影響が出る可能性はある」と分析する。
◆ナフサ =原油を精製して作られる液体の石油製品。エチレンやプロピレンなどの「石油化学基礎製品」の原料。基礎製品はさらにプラスチックや合成繊維などの中間製品になり、衣料や医薬品といった最終的な製品となる。



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