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南極の氷面積は過去最少なのに、南極大陸の氷床質量は著しく増加している。その理由は?

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南極の氷 世界の出来事

南極の氷面積は過去最少なのに、南極大陸の氷床質量は著しく増加している。その理由は?

南極の氷床の体積は増加し続けている

南極の海氷や氷床の「面積」は、融解や流出により小さくなっていることは知られています。

最新のデータでも、これは海氷ですが、2026年5月の南極海の海氷面積は、1980年代に観測が始められて以来、最も少ない面積となっています。

南極海の海氷面積(百万平方キロメートル)

VISHOP

しかし、欧州宇宙機関(ESA)が資金提供をした研究では、

「南極氷床の質量は増加している」

のです。

その理由を ESA などが調査し、ネイチャー誌に論文を発表していますが、要するに、「南極の気温が上昇したために、雪が以前より降るようになった」というようなことらしいです。

気温が上昇すると、大気中の水分が増えますので、理屈としてはわからないでもないですが…。論文は以下にあります。

大気河川と冬の海氷が、南極の氷の質量減少の最近の逆転を引き起こしている
Atmospheric rivers and winter sea ice drive recent reversal in Antarctic ice mass loss

いずれにしても、「南極大陸の大きさは拡大し続けている」ことにはなりそうです。ESA のニュースリリースをご紹介します。



南極大陸の質量が増加している理由は?

Why is Antarctica’s mass increasing?
ESA 2026/04/23

南極氷床は 2020年以降拡大を続けており、科学者たちはその理由を解明した。欧州宇宙機関(ESA)の資金提供を受けた研究では、南極の繊細な環境ダイナミクスに影響を与える要因が調査された。氷河の融解による氷の減少が加速しているにもかかわらず、近年の異常な大雪が氷に覆われた大陸の質量を増加させている。

この研究は、欧州宇宙機関(ESA)の気候変動イニシアチブの資金提供を受けたプロジェクトの一環として実施された。

デンマーク気象研究所、オランダ気象研究所、ブリティッシュコロンビア大学、カンタベリー大学の研究チームは、2002年以降の南極大陸の氷の量を衛星データを用いて調査した。

当初、彼らは南極大陸から年間 90~ 142ギガトンの氷が純減していることを確認した。このうち大きい方の値は、タホ湖 (米カリフォルニア州とネバダ州の州境にある湖)の水量にほぼ匹敵する。

重力観測データによる質量バランス(青が増加、赤が減少)

このプロジェクトでは、NASA と DLR (ドイツ航空宇宙センター)の重力回復・気候実験(GRACE)ミッションによる観測データが使用された。

2016年までに、衛星データは氷の純減が鈍化していることを明らかにし始めた。

研究の筆頭著者であるマーレン・コルベ氏によると、この減速傾向は 2020年から 2024年の間に年間約 68ギガトンの純増に転じた。

2025年末時点では、純質量減少への回帰を示す明確な兆候はないものの、この傾向が継続するか横ばいになるかは依然として不明であり、動的な排出量の変化にも左右されるだろう。

驚くべきことに、氷床の氷の損失量は減っているのではなく、実際には増えているのです。氷山崩落による氷の流出量は、過去 20年間と比べて年間約 100ギガトン増加しています。降雪量の増加が、今のところその増加を上回っているのです」とマーレン氏は説明した。

 

南極で降雪量が増加した理由

南極大陸の降雪量増加に影響を与える要因の一つは、大気中の水分輸送、特に数千キロメートルにわたって膨大な量の水蒸気を運ぶ大気河川による輸送だ。

研究者らは南極大陸に到達する大気河川を分析し、パターン変化を発見した。2020年以降、「河川」はより頻繁に、より激しくなっている。強い西風に助けられ、より多くの水蒸気が大陸の特定の地域に運ばれた。衛星データによると、最も質量が増加したのは東南極(特にウィルクスランド)、クイーンモードランド、および南極半島であった。

デンマーク気象研究所の気候科学者で、今回の研究の共著者でもあるルース・モットラム氏は、「気温が上がると大気中の水分量も増えます。その物理的な原理はよく理解されています。気候科学で最も有名な方程式の一つであるクラウジウス・クラペイロンの法則は、気温が 1度上昇するごとに大気中の水分量が 7%増加するというものです」と述べています。

この研究では、海氷の減少(海氷が減ると海からの蒸発量が増加する)が降雪量の増加の一因となっているかどうかという仮説も検証した。

研究チームは、ESA 気候変動イニシアチブのデータを含む衛星海氷濃度記録を同化する ERA5 再解析データに基づく高解像度地域気候モデルを用いて実験を行った。実験結果によると、海氷の減少は冬の降雪量増加の約 11%、夏の降雪量増加の約 3%を説明できる可能性があるという。

ルース・モットラム氏は、「南極大陸は現在、非常に微妙なバランス状態にあります。確かに、降雪量の増加によって質量収支は増加に転じましたが、海への氷の流入も加速しています。大気河川の活動が数年減少すれば、状況は容易に逆転する可能性があります」と指摘した。

 

南極の繊細なバランスがなぜ重要なのか?

南極氷床は、もし完全に融解すれば、世界の海面を約 58メートル上昇させるほどの量の氷で構成されている。地球上で最大の淡水貯水池である南極氷床の質量バランスの変化は、将来の海面上昇や海岸線、海洋循環、そして地球規模の気候システム全体に、広範囲にわたる影響を及ぼす。

南極大陸は、グリーンランド氷床に比べて気候変動への反応が遅いと考えられていた。しかし、最近のデータによると、南半球の氷床は、これまで考えられていた以上にグリーンランドと多くの共通点を持っていることが示唆されており、気温の上昇、融解と氷山の崩落の増加、そして海氷の減少といった兆候が見られる。

 

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