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「93万枚」が廃止されていたマイナンバーカード このままでは“第2の住基カード”に? 

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マイナンバー保険証読み取り機 マイナンバーカード

「93万枚」が廃止されていたマイナンバーカード このままでは“第2の住基カード”に? 

多くの人が“便利さ”を感じていない

 共同通信が5月15日に配信した「『本人希望』理由で廃止93万枚 マイナ消費効果は2兆4千億円」という記事が話題になっている。調べたのは内閣から完全に独立した唯一の行政機関である会計検査院だ。《廃止93万枚》という数字は2025年7月末までの累計だが、記事によればマイナンバーカードを巡るトラブルが原因で不安を感じ、自主返納する人が増加した可能性があるという。ネット上ではマイナンバーカードに対する不満が噴出している。

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 19年にはマイナポイント事業がスタートし、電子決済サービスへの入金額や購入金額の25%、最大5000円分のポイントを還元。22年には第2弾として、新規でマイナンバーカードを取得すると最大2万円分のポイントがもらえるサービスまで実施した。もはや、公正取引委員会が目をつけるのでは、と思われるほどの大宣伝であり大サービスだった。

 さらに、健康保険証と連動させたマイナ保険証がスタートし、24年12月には健康保険証の新規発行が停止、マイナ保険証への1本化が行われた。事実上、マイナンバーカードの発行が義務づけられたのだ。だが、ネットにはこんな声が……。

《医療従事者ですがマイナンバーカード作ってません。/いまだに受付では、毎日、高齢の患者さんがマイナンバーを使いこなせず、スタッフが読み取りのために1人付きっきりになってます。/保険証は月1確認でしたが、マイナンバーは毎回確認が必要なのですが、それを知らずに忘れてくる方や、教えても保険証のクセが抜けずに忘れてくる方の多いこと。/その度に取りに帰ったり予約変更したり、一旦10割支払い、後日、返還手続きしたりと、保険証の時よりも受付の仕事が増えてしまってます。/正直、資格確認証持ってきてもらったほうが有難いです》

身分証明もできない

 健康保険証や運転免許証との一体化にも疑問の声が……。

《マイナンバー制度が始まった当初、それは「色んな物に紐付く究極の個人情報」と言われていて、絶対に外部に流出させないために通知カードを携帯することなく家で保管しておくように、とされていた。/それがマイナンバーカードを作り始めて、それポイントにしたり免許証や保険証の機能をつけ始めて、日常で使えるようにしましょう、と言うのは話が違う。面倒な更新手続きが1つ増えただけ。しかもそれを利用しようとする割に、年末調整や確定申告のような手続きは未だに煩雑なものを自分でやらないといけない。色々な物に紐付けているなら、そんな申請しなくても自動で機械的に作業が出来るはず。迷走していてわけがわからない制度としか思えない》

 あれだけ“便利”と言っていたマイナンバーカードだが、身分証明書としての役割すら不十分であることは少なくない。本人確認にマイナンバーカードと運転免許証の2つを求められることもあるからだ。

《笑ったのがマイナンバーカード再発行で身分証明書求められたこと/「これ免許証と合わせてたらどうやって本人確認するんですかね?」と聞いたら返答なかったよ》

 また“コンビニでも戸籍証明書が取れる”との売り文句だったが、実際には、まず本籍地の市区町村に利用登録を申請しなければならず、それが完了するのに数日かかり、土日だと受け取れないことも……。デジタルを謳うマイナンバー制度とは何だったのか、根本的な疑問が生じる。

 かねてよりマイナンバーカード不要論を訴えていた経済評論家の荻原博子氏に聞いた。

本末転倒の普及策

「コンビニで戸籍証明書が受け取れただけでもラッキーですよ。自治体によってはシステムが未対応で利用できないケースもありますから」(荻原氏)

 なぜいまだに、そんな状態なのだろう。

「マイナ保険証で言えば、そもそもカードの普及を目的として健康保険証を廃止するという手法が本末転倒で、結局、マイナ保険証への一本化はできず、従来の健康保険証とそっくりの資格確認書が発行されるようになりました。保険証廃止の延期が繰り返され、東京の世田谷区や渋谷区では、マイナ保険証を持っていようといまいと住民に資格確認書を発送するようになっています」(荻原氏)

 便利が売りだったのに?

「日本の特に政府が行うITの導入は、逆に不便になることが多い。一度はマイナンバーカードを作ってはみたものの便利さを感じず、更新時期がきてもそのままという人が少なくないのだと思います」(荻原氏)

 そのむかし“インパク”こと「インターネット博覧会」という、実際の博覧会を模したインターネット上のイベントがあったことをご存じだろうか。

「ITを“イット”を読んだといわれる森喜朗首相の置き土産として知られ、2000年の大晦日から1年間、インターネットの普及を狙って110億円もの予算を投じた“世界初”を謳った大イベントでした」(荻原氏)

 聞いたことがないという方もいるだろう。

Suicaに敗れる

「ご存じないのも無理はありません。当時の日本はまだブロードバンド環境が整っていなかったため、ほとんどの人が見ることができませんでした。政府が関わるとこんなことになります。一方、ちょうどこの頃からデンマークなどの北欧諸国はブロードバンド環境を整え、アプリの開発を支援、インターネットが使えない人には手厚いケアをしてきました。それを20年続け、北欧諸国はIT先進国と呼ばれるようになりました」(荻原氏)

 また、コロナ禍では台湾にIT力を見せつけられた。

「日本政府が最初に行ったのは“アベノマスク”の配布でしたが、台湾のデジタル担当相だったオードリー・タン氏は薬局や医療機関のマスクの在庫状況をリアルタイムで表示する“マスクマップ”というアプリを開発。台湾人はマスク不足に慌てることがなかったのです」(荻原氏)

 そして、マイナンバーカードの不便さは能登半島地震で立証されたという。

「震災時、河野太郎デジタル相(当時)は自身のXで《マイナンバーカードはタンスに入れておかないで財布に入れて一緒に避難して》と呼びかけました。マイナ保険証と連動しているので薬の情報が避難所などで共有できるとか、避難所の入退状況を把握するために役立つとのことでした。しかし、マイナ保険証で見られるのは医療報酬の明細書であるレセプトにすぎず、それが登録されるまでには2カ月ほどの時間がかかる。数日前に抗生物質が出されたとか、リアルタイムの情報がないのです。そんな情報が共有されても役には立たないでしょう。また、避難者の状況確認には、結局、マイナンバーカードではなくSuicaが使われました」(荻原氏)

 言うまでもないが、JR東日本の交通系ICカードである。

第2の住基カードに

「避難所を訪れるごとにカードリーダーで読み取り、避難者数などを把握したそうです」(荻原氏)

 Suicaのほうが便利だったということか。

「マイナンバーカードの発行には時間がかかりますからね。それに、Suicaぐらい便利でなければ普及はしません」(荻原氏)

 マイナンバーカードは今後どうなるのだろう。

「日本は形だけの“なんちゃってIT”ばかりのように思います。コロナ禍ではコロナ関連であれば予算が付きましたし、今はIT関連であれば予算が付いている。予算を取るためのITでは、マイナンバーカードも便利になることはないでしょう。カードの期限は発行から10回目の誕生日までですから、当初に取得した人はちょうど今、更新時期です。自分では更新作業がままならない病院に頻繁に通うようなお年寄りは、資格確認書があれば十分ですから更新もしないでしょう。マイナンバーカードに便利さを感じなかった若者も更新しない。さらに10年経ったときには、第2の住基カードになっているかもしれません」(荻原氏)

 そんな中、マイナンバーカード取得の義務化を検討するよう、自民党が政府に提言する予定であることが、5月19日付の朝日新聞で報じられた。記事によると《デジタルの恩恵をすべての国民が感じられる社会を目指す》ためには《国民全員がマイナカードを取得している前提が必要》なんだとか。

 まずは国民の声に耳を傾けたほうがいいのでは?

 

デイリー新潮編集部

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