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ホルムズ海峡の開放状況が元通りとはほど遠い現在

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ホルムズ海峡と中東諸国のが油田 ホルムズ海峡

ホルムズ海峡の開放状況が元通りとはほど遠い現在

結局、詰むまでの時間が延びただけのように見える石油やその他さまざまの最近の状況

世は、まるでイラン戦争が終わったかのような…あるいは、ホルムズ海峡が完全に開放されて元に戻ったような…あるいは、これでエネルギー関係やナフサや肥料を含む「枯渇や価格高騰」問題はすべて解決したかのような雰囲気さえ漂っている終末のひとときですが、明日から 7月ということで、涼しい夏の中、少し現状を整理してみます。

 

イランは米国とのいかなる会談も拒否

先週の金曜日(2月26日)、アメリカの株式市場が閉場した 30分後に米軍はイランを空爆しました。そして、月曜日のアメリカの株式先物市場開始の 1時間前に「イランとアメリカは停戦に合意した」と、アメリカの大本営であるアクシオス紙が報じました

これにより、トランプ政権は、「アメリカの株式市場や原油価格市場に、悪影響を与えることなく」イランを好き放題、攻撃したわけですが、この時には、「米・イランが攻撃停止で合意、ドーハで30日に協議へ」と報じられていました。トランプ氏は「イランから要請があった」と述べています。

それに対してのイランの最新の返答は以下のようになります。

イラン外務省、トランプ大統領の発言に反論:会談は行われない

月曜日 (6月29日)の早い時間帯にホワイトハウス当局者は、ウィトコフ氏 (※ トランプ政権の中東担当特使)とクシュナー氏 (※ トランプ大統領の娘婿)の代表団がイランとの協議のためカタールに向かっていると述べたが、イランは米国を冷遇する構えだ。

イラン国営通信タスニムは、イラン外務省報道官の発言を引用して次のように伝えている。

今後数日間、米国側とはいかなるレベルにおいても交渉会を開催しない

このように述べ、ワシントンから出ていた以前の報道と真っ向から矛盾する発言をした。

ブルームバーグもイラン側からの新たな声明を確認している。トランプ大統領自身は、月曜早朝、自らの SNS で 「イランが会談を要請した。明日ドーハで開催される」と述べた。

しかし、ファルス通信はここ数時間以内に次のように報じた。

これまで米国との核交渉は行われておらず、イランの条件が満たされるまで核問題に関する交渉は行われないだろう

ウィトコフ氏とクシュナー氏は、カタールとパキスタンの仲介者と会談するだけのようだ。イラン側がドーハに出席するかどうかは依然として不明だ。

イランは、イラン領土およびホルムズ海峡における米国の軍事行動がさらに進めば、イランは交渉プロセスから完全に離脱する可能性があると警告している。

zerohedge.com 2026/06/30

もう、3か月前からの同じ繰り返しが今に至るまで続いているということになりますが、アメリカ側の発表が曖昧なのはいつものこととして、イランもイランで最近はコロコロと態度を変えるので、イラン発表の内容も最近はあまり信用できませんが、少なくとも数日内に協議や会談は行われないようです。

いずれにしましても、こんなことの永遠の繰り返しでは、ホルムズ海峡が元の通りに戻るというのは、ほとんど幻想に近く、実際、ホルムズ海峡の船舶の通過数は、この 2、3日でまたガクッと減っています。

いっとき、1日 50隻くらいまで増えたこともありましたが、6月28日には、13隻にまで低下しています。平時の通過数の 10%未満です

ホルムズ海峡の船舶航行量が戦争中のレベルまで再び低下
NOFIA 2026年6月30日

2026年6月28日のホルムズ海峡の通過船舶(13隻)

Michael McDonough

中東からの石油の流れは、パイプラインでの輸送など代替も進んでいるとはいえ、基本的には停滞したままとなっています。

 

そして、アメリカの石油備蓄は刻々と減り続ける

以前、アメリカの原油指標となる「クッシング在庫」が「タンクの底」(事実上の枯渇)に近づいていることを取りあげたことがあります。

その後、6月中旬過ぎの時点で、最低ラインとなる 2000万バレルを割ったようで (今は 1900万バレル程度)、つまり「タンクの底」に達しつつあるといえる状況です。

2008年から2026年のクッシング在庫の推移

zerohedge

さらにアメリカの「戦略石油備蓄 (SPR)」も、タンクの底はまだ先ですが、かなりの勢いで減少していまして、43年ぶりの最低水準となっています。

過去1年間のアメリカの戦略石油備蓄の在庫の推移

denomeme

以下はロイターの報道です。

米国の戦略石油備蓄の石油在庫は550万バレル減少し、1983年以来の最低水準となった

エネルギー省のデータによると、米国の戦略石油備蓄の原油在庫は550万バレル減少し、3億2570万バレルとなり、1983年5月以来の最低水準となった。

今回の備蓄削減は、イラン戦争後の世界的な在庫不足を補い、燃料価格の引き下げを支援するため、米国が同施設から1億7200万バレルを放出するという合意の一環である。

アラブ諸国、中東諸国の人

米国の原油在庫は、米国産原油に対する輸出および精製需要の強さにより、ここ数週間で急速に減少した。

ロイター 2026/006/30

戦略石油備蓄の「タンクの底」がどのくらいの数値なのかは明らかではないですが、一説には「3億バレル」という話もあり、仮にその数値ですと、今のペースなら 7月末くらいまでに到達しそうです。

その場合、以下のようなことになると述べる人たちもいます。

> 米国の原油輸出は停止せざるを得ないので、7月以降に米国の原油輸出が大幅に減少することを覚悟してほしい。 HFI Research

アメリカの石油備蓄が枯渇に近づく中で「石油の輸出停止」という可能性があるという話です。

さらに、アメリカの石油在庫量がタイトになると、日本などにも影響がある「ナフサ」の問題に行き着きます

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アメリカでナフサ生産が停滞する可能性は?

ホルムズ海峡の封鎖以来言われていた「日本のナフサ不足」は、現在アメリカなどからの輸入を増やすことによって、以前と同等レベルの輸入量を維持できているようです。

地図

以下の濃いブルーがアメリカからの輸入で、グレーが「その他の国」となっています。


化学工業日報

「その他」は、アルジェリア、アラブ首長国連邦、スペイン、オランダ、イタリアなどだそうですが、5月は特にアメリカ産のナフサの輸入量が増えています。

そして、アメリカ産が増加していることと、「先ほどのアメリカの石油備蓄の急速な減少」の関係は、以下のようになります。

そもそも、ナフサは「原油」由来ですが、アメリカでは近年の軽質原油の増産に伴い、石油精製の副産物としてナフサの生産量・輸出量が増加しているそうです (富士ゴム化成による)。

そして、現状のまま、アメリカの石油在庫が厳しくなっていった場合、以下のようなことになるのが必然です。

アメリカ国内の原油需給が秋にかけてさらに逼迫(タイト化)した場合、ナフサの生産量には間違いなくマイナスの影響が出ます。

現在のクッシングの商業在庫や戦略石油備蓄(SPR)の急減は、ホルムズ海峡の封鎖に伴う世界的な供給不足を埋めるための急激な輸出増と、旺盛な国内精製需要が原因です。このまま秋に向けて需給が限界に達した場合、ナフサ生産に直結する3つの深刻なボトルネックが発生します。

1. 「タンクの底(運用下限)」到達による物理的な製油所への供給停止

2. 輸出規制(ドメスティック・ファースト)への政治的シフト

3. 原油タイプのミスマッチによる精製効率の低下

Gemini

今のままの状態が続くと、アメリカのナフサ生産に大きな影響が出る可能性が高いようです。

さらに、Gemini に「日本への影響」を聞くと、以下のように述べていました。

日本への影響:秋以降の「二重苦」の懸念

アメリカからのナフサ供給がタイト化した場合、日本やアジアの化学メーカーは以下の二重苦に直面します。

1. 調達先の喪失:ホルムズ海峡が不透明な中でシフトを進めていた「代替としてのアメリカ産ナフサ」が手に入りにくくなります。

2. ナフサ価格の高騰:需給タイト化によりナフサのプレミアム(価格差)が跳ね上がり、プラスチックや合成繊維の基礎原料コストが急騰します。

アメリカ国内では「原油の生産自体(日量1300万バレル超)は続いているため完全に枯渇することはない」との見方が大勢ですが、「網の目のように張り巡らされた物流・在庫ハブ(クッシング)が機能不全を起こす」ことによる供給網の目詰まりは、秋にかけて現実的なリスクとして市場に警戒されています。

もちろん、これは「可能性」であって、必ずそうなるというものではないにしても、「代替としてのアメリカ産ナフサ」の入手が困難になるということと共に、ナフサ価格が急騰するという懸念はあると。

まあ、日本政府もそのことは念頭に置いているのだとは思いますが、石油に関係するさまざまを、あまりにアメリカに依存するのは、かなり危険な状況であるとも言えなくもないです。

 

そんなわけで、「ナフサ危機(あるいは危機の可能性)は、ずっと続いているまま」という考え方のほうが妥当で、少なくとも合理的にはそのように考えるほうがいいのかもしれません。

 

肥料はどうなっている?

肥料もホルムズ海峡を通過する物資として重要なもので、イラン戦争後に価格が急騰しました。その後、肥料のうちの「尿素」というものについては大幅に価格が下がりましたが、他は高止まりのままです。

アラブ諸国、中東諸国の人

以下は、農林水産省が 6月26日にリリースした肥料価格の最新の動向です。


農林水産省 – 肥料の価格情報

尿素価格が急激に下がったのは、ホルムズ海峡と関係したことというより、中国が輸出制限を緩和したからという理由が大きいようです。

> 中国は尿素肥料の輸出割当枠を発行した。この件を​直接知る複数の関係筋が明らか‌にした。イラン戦争に伴う供給の混乱を受けて高騰している国際価格を軟化​させる可能性がある。 ロイター

しかし、他は高止まりしたままですので、秋肥料への影響があったり、あるいは今年収穫されるコメの価格などには反映されてくるかもしれません。

それにしても、今の世界で、中国の影響は大きいです。

地図

 

日本を「詰ませる」の中東よりも中国なのかも

以前、「六フッ化タングステンの流通が崩壊している」ということについて書いたことがあります。

日本の2つの企業が「六フッ化タングステンの生産を永久に停止する」と海外企業に通知したことも取りあげましたが、この六フッ化タングステンというのは、特に「高性能半導体」の 製造には欠かせないもので、そして、

「その原材料のほとんどが中国からの輸入となっている」

中で、「中国から日本への原材料の輸入が途絶えた」のですね。それで、7月1日…つまり明日からですが、日本の関東電化工業とセントラル硝子の 2つの企業が「永久に生産を停止」しました。

今後のアジアの半導体の製造に影響が出てくることは避けられない見通しです。

昨日(6月29日)、中国政府は、「軍民両用品の輸出管理リストに日本の20の企業・団体を追加した」ことが報じられていました。

製造

> デュアルユース(軍民両用)品の輸出管理リストに日本の20の企業・団体を追加した。日本の「​再軍備化」の野心が理由だとしている。中国企業は事‌前の承認なしにこれらの企業・団体に販売することができなくなる。

> 軍民両用品とは、軍事や兵器開発に転用できる可能性のある物品やソフトウエア、技術を指す。 ロイター

いろいろな面で日本は圧迫され続けているわけですけれど、その状況は変化がないか、「やや悪化している」とも考えられます。

そんなわけで、エネルギーを中心とした最近の状況を並べてみましたが、特に進展も逆行もしていない、以前通りの進行状態です。

そして、良い可能性と悪い可能性がそれぞれあるのなら、悪い可能性を考えて過ごしたほうが何かと有利な時代なのかもしれません。

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