住宅にも病院にもエアコンがほとんど普及していないフランスのパリで、熱波の中、1日で50人以上が自宅などで死亡
病院にもほとんどエアコンがないフランス
おそらくエルニーニョ(すでに発生している)の影響と見られる熱波に見舞われているヨーロッパですが、特にフランスの高温が際立っています。
2026年6月23日のフランス各地の最高気温
nofia.net
そんな中で、先日、「フランス全土で 40人が溺死した」ということについての報道をご紹介しました。これは、暑さそのものによるものというより、暑さの中で、次々と川や湖などで溺れてしまう若者たちが相次いだという出来事でした。
しかし、暑さが長引く中で、暑さそのものによる死者が増えているようです。
パリでは、最も気温が高かった 6月25日からの 1日だけで、緊急搬送された 55人が死亡したと報じられています。
まあ、しかしですね。
フランスの現在の問題として、確かに尋常ではない暑さは現実だとしても、
「エアコンがない」
こともかなり影響していると思われます。
以前よりは普及したとはいえ、今でも、普及率は 20%前後だとされていまして、それでも、一般の住宅はともかく、
「病院にもあまりない」
ようなんです。
最近、X へのフランスの方の投稿で、以下のようなものを見ました。
> 35℃の産科病棟。新生児たちが息苦しさに苦しみ、疲れ果てた若い母親たちが、まるで炉のような病室で過ごしています。私たちの国はロケットを送る手段は持っているのに、病院にエアコンを設置する手段はないのです。
「産科にエアコンがないって本当かよ」と思い、調べましたら、産科という括りではなく病院全体として、具体的な数字は公表されていないですが、「エアコンの普及率は一般家庭とほぼ同じ程度の普及率」のようです。つまり、多くて 20%程度。
フランスの病院を取材した 2026年6月26日の米ロイターの報道には以下のようにあります。
…フランスが観測史上最高の気温を記録する中、多くの病院、学校、工場、そして家庭が気候変動に対応できる設備を備えていないという認識が広まりつつある。
フルーリー=メロジにあるフレデリック=アンリ・マンヘス病院には大きな出窓がある。20世紀半ば、西ヨーロッパでは猛暑が問題にならなかった時代に建てられた当時は、見栄えのするタイプの窓だった。しかし今では、まるで温室の窓ガラスのように機能している。
患者の部屋は非常に暑く、医療スタッフは患者が十分な水分を摂取しているか、体調に問題がないかなどを常に確認している。
4月から入院しているクリスティンさんは、扇風機に腕を回しながら、ベッドに横たわりこう言った。
「まるで地獄です。ちょっとテレビでも見て、それから階下(唯一エアコンのある待合室)に戻るのです」
「扇風機は多少効果はあるけど、できるだけ体に近づけています。これ以上近づけることはできないほど近づけます」
フレデリック=アンリ・マンヘス病院の精神科病棟の看護師、サンドラ・カルネロさんはこのように語った。
「私たちは疲れていて、睡眠不足で、この暑さにも耐えられないため、提供するケアのレベルが低下しています」
reuters.com 2026/06/26
病院がこの調子ですと、たとえば暑さで体調を崩して病院に運ばれたとしても、「その病院にエアコンがない」という場合、治療や回復も難しいのかもしれないですね。
実際のところは、以前 In Deep で書きましたけれど、「暑さより寒さのほうが多くの人の命を奪っている」という北米のデータがあり(毎年、暑さで亡くなるのは 2,500人で、寒さで亡くなるのは、毎年 11万3,000人)、寒さのほうが脅威なんですが、それは事実だとしても、40℃超えでエアコンがない病院が多数というような事情も現在のフランスの死者増加の原因としてはあるのかもしれません。
フランス BFM TV からの報道です。
木曜日の猛暑の中、パリの救急医療サービスには24時間で少なくとも55人の死亡が報告された。これは通常10人未満であるのと比べて大幅な増加だ

パリの救急医療サービス(SAMU)には、6月25日(木)までの24時間で少なくとも55人の死亡が報告された。首都パリは、フランスの他の地域と同様に、猛暑に見舞われた。通常、SAMUが扱う死亡者数は1日あたり10人未満である。
フランスを襲う猛暑が続く中、我々の情報によると、水曜日の深夜から木曜日の深夜までの間に、パリの救急医療サービスによって少なくとも 55人の死亡が確認された。
これらの死亡例すべてが直接的に熱中症によるものではないものの、この死亡率はパリ救急医療サービスが通常 1日あたり対応する 10件の死亡例を大幅に上回っている。
また、この数字はパリにおけるすべての死亡例を代表するものではなく、消防士、民間医療サービス、医師、または民間看護師によって記録された死亡例は含まれていない。
治療を受けた55人の患者のうち、25件の心停止により 23人が死亡した(通常は5人未満)。残りの 32人の死亡は、その他の原因によるものであった(通常は5人未満)。
パリで「死亡率が上昇」
保健省は、熱波が直接の原因となった死亡者数に関する包括的な統計は持ち合わせていないとしながらも、パリでの死亡者数の増加を報告している。
木曜日の朝、パリ市長のエマニュエル・グレゴワール氏は、具体的な数字は示さずに「パリでは死亡率が上昇している」と述べた。これは、パリの気温が6月に 40℃に達したことによるもので、パリの気温記録史上初めてのことだ。
フランス救急医学会会長のアニエス・リカール・ヒボン氏は、今週金曜日の朝、BFM TV で、イル・ド・フランス地域圏の救急医療サービスへの通報件数が 47%増加したと述べた。我々の情報によると、パリ消防署への通報件数も 50%増加している。
フランス全土で、医療サービスへの負担がますます大きくなっている。ボルドーでは、救急医療サービスが 24時間で 3,200件の通報を受け、これは 60%の増加に相当する。



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