中国政府が、ヨーロッパへの液化天然ガスの販売停止を命じる。EUのエネルギー危機がさらに悪化する可能性

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中国政府が、ヨーロッパへの液化天然ガスの販売停止を命じる。EUのエネルギー危機がさらに悪化する可能性

増々苦境に陥るEUは今年の冬を乗り切れるのだろうか?

ヨーロッパへのエネルギーの供給ルートがさらに減少

ヨーロッパのエネルギー危機は、冬が近づくにつれて深化しており、生活費の高騰により、一般の人々の生活も次第に厳しくなっているようです。

フランスでは、生活費の高騰に抗議するデモとストライキが繰り返されていることが報じられていて、ついに、石油精製所と全国のガソリンスタンドも「閉鎖」となったことが伝えられています。

 

(スウェーデンの報道より)

> 何千人もの人々が 10月16日にパリの街頭に繰り出し、高い生活費と家計費に抗議した。同時に、フランスの石油精製所では数週間にわたって地域的なストライキが行われ、フランス全土のガソリンスタンドは閉鎖された。 (nyadagbladet.se

 

ドイツでは、エネルギー価格の高騰などによる製造業の危機が拡大しており、今のままですと、春までにかなり製造ラインが停止する可能性があることが伝えられています。以下の記事などで取りあげています。

 

[記事] ドイツの加工食品業界が「第二次大戦以後最悪の危機に直面しており、じきに生産ラインが大規模に停止する」と、政府に大規模な援助を要請
 In Deep 2022年9月25日

 

ヨーロッパが、このようなエネルギー危機となった理由としては、いくつもありますが、以下のようなものが大きいです。

 

・ヨーロッパの対ロシア制裁による「自爆」

・ロシアからのパイプラインでの天然ガスの供給の停止

・そのパイプライン(ノルドストリーム)自体が、おそらくテロ行為で爆破された

 

などですが、今後、「西側諸国がロシアの原油と天然ガスに上限価格を設けようとしており、その場合、ロシアは「供給を完全に停止する」と述べていること」などもあります。

しかし、以下の記事でアメリカのエネルギーメディアの記事を載せていますが、

「ヨーロッパは、中国経由でロシア産天然ガスを輸入している」

ことが判明しています。

 

[記事] …欧州のエネルギー危機は回避される模様。なぜならヨーロッパは、中国経由で「こっそりロシア産ガスを大量に輸入している」から。覇権はさらにロシアと中国に
 In Deep 2022年8月31日

 

これで、ヨーロッパは何とか生きていたのですが、今後、どうやら、

「この中国からの供給ルートが停止される」

ことになるようなのです。

ブルームバーグが、「中国政府がヨーロッパへの液化天然ガスの供給の停止を命じた」と伝えており、これが実施されると、ヨーロッパは、天然ガスの供給元をさらに失うことになります。

ヨーロッパの各国は代替輸入国を探し続けていますが、以前のロシア産の安価な天然ガスのような価格で導入できる可能性はほぼなくなっており、この冬のヨーロッパのエネルギー事情は、さらに厳しくなる可能性が出てきました。

この冬の気温にしても、ラニーニャが継続していることから、高い確率で、平年より寒い冬となると見られます。

気になるのは、この記事に、

> ヨーロッパとアジアのバイヤーに転売することを禁止した

とあり、「アジア」ともあることです。

「アジア」の詳細は不明です。

報道をご紹介します。



ブルームバーグ : 中国政府は潜在的な不足のためにヨーロッパへの液化天然ガス(LNG)販売を一時停止する

Bloomberg: Китай приостановил продажу СПГ в Европу из-за потенциального дефицита
RT 2022/10/17

米ブルームバーグは情報筋の話として、中国政府が大手企業に対し、欧州の消費者への液化天然ガスの供給を停止するよう命じたと報じた。報道によると、来るべき暖房シーズンを確保するために設計された中国当局のこのイニシアチブは、EUのエネルギー危機を悪化させる可能性がある。

中国当局は、国有企業が液化天然ガス(LNG)をヨーロッパとアジアのバイヤーに転売することを禁止した。中国は自国で冬の暖房シーズンを確保しようとしているとブルームバーグは情報源を引用して報じている。

中国の主要な経済機関である国家発展改革委員会は、ペトロチャイナ、シノペック、CNOOC に「冬の貨物を国内で使用する」よう命じた。

これまで燃料の中国からヨーロッパへの再販は、ヨーロッパの消費者たちにいくらかの安心をもたらしていたが、迅速な補充と記録的な高い輸送コストにより、このスキームの魅力が低下した、と情報筋は述べた。

転売は、スポット市場の購入の増加を背景に、昨年日本を抜いて世界最大の LNG 輸入国となった中国にとって急激な逆転を記録した。しかし中国国内でガス不足になる可能性についての予測があり、それが中国政府の行動に拍車をかけた可能性があるとブルームバーグは推測している。

さらに、報道によると、エネルギー企業は中国共産党の第 20回大会を注意深く見守っている。

その前日、習近平国家主席はエネルギー安全保障の重要性を想起し、供給途絶のリスクを回避するために国は慎重にグリーン経済に向けて動くべきだと繰り返した。

一方、ヨーロッパのガソリン価格は、8月の高値からほぼ 60%下落した。しかし、ウクライナ紛争が勃発するにつれて、ヨーロッパがロシアからのエネルギーの供給を避けようとしているため、依然、価格は記録的なレベルに高止まりしている。

中国は米国などの輸出業者と大規模な LNG 購入契約を結んでおり、今年は国内の需要が低いため、中国のトレーダーたちは、これらの供給の一部をヨーロッパに転用していた。

しかし、北京の新しいイニシアチブは、EU への供給の減少につながり、この冬の気温が厳しいものとなった場合、ヨーロッパのエネルギー危機を悪化させる可能性があるとブルームバーグは強調した。

マイコメント

EUも危機的状況にあるのは間違いのない事実ですが、わが日本も対岸の火事というわけに
いかないだろうと思います。

すでにLNGの3割が輸入できない状況に陥っている日本も今年の冬は危ないと言われているが
ほとんどその実感がない状態だろうと思います。

しかし、LNGが高騰したとしてもその代替え手段がないところが悩ましいです。
特にガスを暖房に用いている世帯はこれから大変になるだろう。

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