NTT東「昆虫食」参入へ、食用コオロギの新興とタッグ…強みの通信技術で効率化

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コオロギ食 食糧問題

NTT東「昆虫食」参入へ、食用コオロギの新興とタッグ…強みの通信技術で効率化

コオロギ食を広めようとするNTT東

 NTT東日本は昆虫食事業に参入する。ベンチャー(新興)企業と組み、食料不足の解決策として世界的に注目される食用コオロギの生産支援に乗り出す。強みの通信技術やセンサーを活用して飼育を効率化し、需要拡大に対応する。(田島萌)

「スマート養殖」を応用

 NTT東は、東京都調布市にある展示施設内で、1月下旬にも飼育の実証実験を始める。食用コオロギの生産を手がける徳島大学発の新興企業「グリラス」(徳島県鳴門市)と協業する。同社はコオロギを粉末化し、菓子などに加工する商品開発を行っている。

 食用コオロギは室温約30度の場合、1か月程度で成虫に育つ。温度管理が重要で室温が低いと、より多くの日数がかかってしまう。グリラスでは、約50センチ四方の飼育箱1個につき約1000匹を育てており、400箱分の餌やりや水の交換に従業員2~3人で対応している。

 NTT東は、遠隔制御による室温の自動管理や水やりの自動化などに取り組む。飼育を効率化させ、生産量の拡大につなげたい考えだ。同社は、ベニザケを陸上で養殖する実証実験を手がけている。センサーや通信を使って水温や水質を監視する「スマート養殖」の技術をコオロギ飼育にも応用する。

 実証実験の成果を踏まえて本格参入し、2028年に数十億円の売上高を目指す。生産システムの外販も視野に入れる。

 飼育にあたっては、全国にある電話局などを活用する計画だ。固定電話やインターネットの申し込みを受け付けていた窓口スペースを想定している。申し込みがネット中心となり、現在は使われていないケースが多いという。28年までに飼育所を600か所に増やす方針だ。

たんぱく質豊富

 コオロギの粉末は、たんぱく質を豊富に含む。牛や豚に比べて飼料を少なく抑えられ、環境への負荷が小さいとされる。日本能率協会総合研究所の調査では、コオロギを含めた昆虫食の世界市場規模は19年度の70億円から、25年度に1000億円に拡大すると予測している。ロシアによるウクライナ侵略などで食料自給への関心は世界的に高まっている。

 国内でも昆虫食への関心は広がっている。

 無印良品を展開する「良品計画」が20年にグリラスと共同開発した「コオロギせんべい」(税込み190円)は大きな反響を呼んだ。

 日本航空(JAL)傘下の格安航空会社「ジップエア トーキョー」は昨年7月、コオロギ粉末入りのハンバーガーなどを機内食に採用した。また、ニチレイは昨夏、昆虫食の開発も視野に、別の新興企業に出資している。

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