世界の利用可能なLNG(液化天然ガス)タンカーの半数がペルシャ湾に閉じ込められていて、身動きがとれなくなっている
日本のLNG在庫は約3週間。つまり、4月には危機的状況を迎える!
天然ガスは肥料製造に絶対的に必要
ここ数日は、イラン戦争の影響、あるいは戦争そのものより、ホルムズ海峡封鎖の影響について書くことが多くなっています。
・ホルムズ海峡封鎖から発展する文明崩壊と大量飢餓のカタストロフ
In Deep 2026年3月12日
肥料の不足や高騰についての懸念は、前回の記事「肥料の高騰、あるいは肥料の不足による2026年の食糧インフレ危機が現実化する局面に」で書きました。
現在のホルムズ海峡の封鎖と肥料との関係に関しては、ふたつの問題があり、ひとつは、
「肥料(リン酸)の製造には、硫酸が不可欠」
という点で、この硫酸は硫黄から作られます。硫黄は、石油精製の副産物の代表的なものです。
もうひとつは、
「肥料の製造には大量の天然ガスが必要」
だという点です。
農林水産省によると、肥料の製造コストの約6割を天然ガスの費用が占めているほどだそうで、基本的に天然ガスがなければ、肥料は生産できないということにもなりそうです。
その肥料に最も重要な硫黄と天然ガスの流通が現在大きく停止したままとなっています。
そして、最近のゼロヘッジの報告によると、「世界の約半数の液化天然ガスタンカーがホルムズ海峡から出ることができず、ペルシャ湾に足止めされたままとなっている」のだそうです。
石油タンカーと違って、液化天然ガスのタンカーは、世界に数十台しか存在しないそうで、その大部分が身動きがとれない状態となっているのです。
ホルムズ海峡の封鎖が解除される気配は今のところはないですし、ガスの供給不安や、あるいは激しい価格高騰が予測されていて、肥料に関しての懸念は高まります。
調べてみますと、日本は、2022年(ロシア・ウクライナ危機)の肥料危機を教訓に、経済安全保障推進法で肥料を「特定重要物資」に指定しているため、肥料の年間需要の 3ヶ月分は備蓄されているのだそうです。
ですので、この春は大丈夫なのかもしれませんが、先行きを考えると、影響は長引きそうです。
液化天然ガスタンカーについての現状です。
「状況は深刻だ」:世界の利用可能なLNGタンカーの半数がペルシャ湾に閉じ込められている
“The Situation Is Dire”: Half Of Available Global LNG Tankers Are Trapped In The Persian Gulf
zerohedge.com 2026/03/12
世界の石油タンカーは数千隻もの船舶があり、ある推計では 9000隻近くに上るとも言われている。そのうち、封鎖されているホルムズ海峡への入港、あるいはそこからの出港を待っているのは、ほんの一部だ。
対照的に、世界の LNG(液化天然ガス)船団はごくわずかで、現在その大半はペルシャ湾内に留まっている。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、世界の LNG 船の約半数に相当する少なくとも 20隻の LNG 船がペルシャ湾で足止めされており、船舶ブローカーによると、アジアからの需要急増により日々の輸送コストが急騰しているという。
ブルームバーグは、現在位置情報を送信している既知の LNG タンカーを以下のようにリストアップしている。
・アル・ラヤン
・アル・ハラーイティヤット
・ウム・アル・アマド
・レブレサ
・ガスログ スカーゲン
・ソハールLng
・ディシャ
・アル・ダアイエン
・ムバラズ
・アル・サハラ
・ラシーダ
・パトリス
・シーピークバーレーン
・フワイリット
・ミヘム
・ムライク
・アル・ガシャミヤ
ほとんどは UAE の海岸線のすぐ沖に位置している。

アテネに拠点を置き、34隻のガス運搬船を運航するガスログ社の最高執行責任者、コスタス・カラサノス氏はウォール・ストリート・ジャーナル紙に以下のように語った。
「状況は悲惨だ。紛争がどれだけ早く終結するかに関わらず、市場に永続的な影響を与えるだろう」
世界の LNG 輸出量の約 20%は湾岸諸国から来ている。
しかしながら、現在ホルムズ海峡を通過できる船舶はごくわずかであり、カタール・エナジー社が運営する生産施設などは攻撃を受け、生産を停止している。
船舶ブローカーらによると、ペルシャ湾に閉じ込められた 20隻は現在チャーター可能な LNG 船のほぼ半数を占めており、1日あたりの料金はイラン攻撃開始前の 9万8000ドル未満から 20万ドル以上に上昇している。
エネルギートレーダーは、LNG 価格が来週初めまでに上昇すると予想しており、今週のアジアと欧州での 40%の上昇にさらに追い打ちをかけることになる。「 LNG 輸送への影響は、紛争が終息した後も数ヶ月は続くだろう」とカラサノス氏は述べた。
LNG 調達の争奪戦の中、欧州向け LNG 輸送がアジアへ向けられるケースが増えている。
ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、戦闘開始以降、当初欧州向けだった少なくとも 9隻の貨物がアジアへ航路を変更しており、この傾向はここ数日で加速している。予備供給のバッファーは急速に枯渇しつつあり、両地域で競争激化と価格上昇の脅威となっている。
事情に詳しい関係者によると、シェルを含む LNG 供給業者は、中東からの LNG 供給停止によりアジア全域の顧客に対し不可抗力条項を宣言しており、混乱に拍車をかけている。これは、世界のガス市場全体への波及効果が拡大していることを示している。
ブルームバーグの報道によると、貨物を輸送できるタンカーが事実上存在しないことから、アジアの LNG 購入者は中東戦争により何カ月にもわたって配送が中断されることに備えている。
事情に詳しいトレーダーによると、タイの企業は 5月までの LNG カーゴの購入を検討している。
バングラデシュは 4月分を購入しており、5月以降の燃料調達も検討しているという。台湾と韓国の主要買い手も、この 2ヶ月分の追加購入を準備している。
これらの動きは、アジアの輸入国が米イスラエル間のイラン戦争の迅速な解決を期待していないこと、そして世界の LNG 供給量の 20%を占めるカタールの操業停止が長期化する見通しであることを示している。
操業停止が長引けば長引くほど、代替燃料輸出ルートも、生産量の減少を補う余地もないため、供給ショックは深刻化する。
CNPC 経済技術研究所の主任エコノミストの戴嘉全氏は、北京で木曜 (3月12日)に開かれたブルームバーグ NEF サミットで、企業は 2~ 4カ月の混乱に備えて緊急時対応計画を立てる必要があると述べた。
カタールは先週、イランのドローン攻撃を受けてラスラファン輸出施設を閉鎖した。これにより市場は混乱し、欧州とアジアのガス価格が急騰した。シェル社を含む複数の企業が、アジアの顧客へのカタール LNG の出荷に関して不可抗力条項を宣言した。
ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、戦闘開始以来、アジアの買い手が欧州のライバルよりも高い価格を提示したことから、欧州向けの LNG 輸送少なくとも 9回がアジアに経路を変更した。
一方、台湾は、台湾セミコンダクターの半導体製造に不可欠なヘリウムへの変換に LNG を切実に必要としており、5月分の代替 LNG の確保を開始したと、内閣報道官の李淑琳氏が木曜日に台北で行った記者会見で述べた。さらに、台湾は 3月と 4月分の供給を完全に確保していると付け加えた。
LNG の約半分をカタールから調達しているインドは、即時納入可能な代替輸送手段の確保に奔走しているとトレーダーらは述べた。
ゲイル・インディア社は、数回の試みが失敗に終わった後、火曜日に3月分の LNG 貨物を予約できたが、他の業者は依然として探しているという。
■「肥料」の供給に影響が出る
肥料は原料のほぼ100%を輸入しているが、その調達に困難が生じるリスクも中東における軍事衝突により増している。具体的には、化学肥料の原料となる尿素、りん安(リン酸アンモニウム)、塩化加里(塩化カリウム)はほぼ全量が輸入だが、紛争により海運の乱れや運賃上昇が生じれば、これらの輸入に影響が及び、肥料の供給に問題が生じる。
さらに、肥料原料の中には、中東から輸入しているものもある。
尿素はカタールやサウジアラビアから、りん安はヨルダン、塩化加里はイスラエル、ヨルダンからも輸入している。割合が大きくはないとはいえ、これらの国からの輸入が止まれば一定の影響があると考えられる。さらに、尿素を中東に依存していた国々がマレーシアなどのアジア産に切り替えているため、日本のおもな輸入先のマレーシア産尿素の価格が上昇しているという「玉突き」的な影響も出ている。
実際、イランによる報復攻撃を受けたカタールでは、資源の輸出が停止している。カタールの国営エネルギー企業カタール・エナジーは、販売先への義務を免れる「フォースマジュール(不可抗力宣言)」を出している。LNGの輸出が大規模にストップすることが確実だ。同社はLNG由来の尿素も生産しており、こちらも生産中止が発表されている。
尿素は肥料原料でもあり、またディーゼル車を動かすのにも必要なため、日本の農業には広範囲に影響が出るだろう。
■「あと5年でコメをつくる人はいなくなる」
食料供給の安定のためには、肥料や燃料を含め生産資材の国産化も進めつつ、食料の国内生産を増やして、輸入を国産に置き換え、備蓄も増やすべきだ。そんな取り組みこそが、いざというときに国民の命を守る、最優先にやるべき「国防」のはずだ。
だが、拙著(『令和の米騒動』文春新書、『もうコメは食えなくなるのか』講談社+α新書)でも繰り返し指摘してきたように、政府には、まったくその認識がない。
コメもその他の農産物も、価格が低迷する一方、生産にかかるコストは上昇している。そのしわよせが来ているのが農家の所得だ。農家の所得が低迷しているため、あらたに農業に参入する若者が減少している。次の世代が育っておらず、農業就業者の平均年齢はいまや69歳まで上昇した。
つまり、あと10年ほどで、農家の大半が農業を辞めざるを得なくなるということだ。
筆者は年中、農村の現場をまわっているが、「あと5年もたてば、ここでコメをつくる人はいなくなる。この集落はいずれ住めなくなる」という悲痛な声が山のように寄せられる。その声が本当なら、日本の農業はあと5年くらいが正念場ではないか。
引用→https://news.yahoo.co.jp/articles/35fb3d5a68a68e21b1ba24dc1ac909d797e84bb3?page=2
マイコメント
もしかしたら、本当に今年の夏には食べ物が手に入らなくなるかもしれないという
心配をしないといけないようです。
おそらく4月5月はまだ良いとしても、このまま戦争が長引けば6月頃には危ないと
いう認識が国民の間に広まって来て、スーパーの棚が空っぽになるかもしれない。



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