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原油・ナフサの代替ルートでの調達を進めても、供給不足と価格高騰のリスクは高まっていく(1~3月期GDP統計の見通し)

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ナフサ エネルギー

原油・ナフサの代替ルートでの調達を進めても、供給不足と価格高騰のリスクは高まっていく(1~3月期GDP統計の見通し)

6月以降も政府の調達発言とは裏腹にナフサ不足と価格高騰が続く!

4-6月期以降はスタグフレーションの様相が強まる

政府は5月19日(火)に1-3月期GDP統計(1次速報値)を発表する。日本経済新聞社による民間予測機関10社の集計によると、実質GDP見通しの平均は前期比年率+1.6%となり、高めの成長率が予想されている。内需が比較的安定を維持する中、トランプ関税の影響が和らいだことなどで、輸出が成長のけん引役になったとみられる。
 
中国政府は昨年11月から日本への渡航自粛を呼びかけている。3月時点で中国からの訪日客数は前年同月比-55.9%と予想を上回る減少が続いている。しかし、他地域からのインバウンド需要が堅調であることから、中国での渡航自粛の日本経済への悪影響はそこまで深刻にはなっていない。
 
ただし、問題はイラン紛争と原油価格高騰などの影響が本格的に反映され始める4-6月期以降の経済情勢だ。イラン情勢の膠着とホルムズ海峡の事実上の通航停止が続けば、日本では原油・ナフサ不足への懸念から生産減少が続き、それが品不足と価格高騰をもたらす。つまり、スタグフレーション的な様相は強まっていく方向だ。

政府が原油・ナフサを確保したとする一方で供給不足は続く

現時点では日本経済の状況は比較的落ち着いているものの、時間とともに厳しさを増していくだろう。最悪のケースでは、石油備蓄を使い果たし、海外から調達可能な原油・ナフサの供給水準まで、需要を削減する必要が生じる。その場合、日本経済は大幅な縮小を強いられる。
 
そうした事態は簡単には生じないとしても、企業が原油・ナフサの調達への不安から生産削減を続ければ、日用品などの品不足傾向が徐々に強まっていき、価格の高騰と相まって個人消費は一定程度の縮小を強いられるだろう。
 
高市首相は、6月には原油の代替ルートでの調達量が従来の7割程度になるとの見通しを発表した。また、原油から作られるナフサの調達も年明けまでめどがついたとしている。
 
しかし一方で、ナフサ由来製品の供給不足などのニュースが連日報じられている。足もとでは、カルビーが印刷インク原料の供給不安から、ポテトチップスなどの一部主力商品でパッケージを白と黒の2色に切り替える措置を発表している。政府の発表と実際の企業の対応との差はどこから生まれるのだろうか。

原油・ナフサの供給不足に対する企業の不安が解消されない3つの理由

原油・ナフサの供給不足に対する企業の不安が解消されていないことに、その差の原因があると思う。企業の不安が続く背景は3つだ。第1に、政府が、目途が立ったとしている原油・ナフサの調達であるが、世界中で原油・ナフサの争奪戦が繰り広げられている中、今後も安定的に調達を続けることができる保証はない。また、原油・ナフサの代替ルートでの調達のかなりの部分を占めると考えられる紅海ルートは、紛争の拡大でいつ閉ざされるか分からない状況だ。
 
第2に、政府が代替ルートを通じて確保したナフサは、個々の企業が必要とする種類、成分構成のナフサとは限らないことだ。いわゆるミスマッチが生じているのである。
 
第3は、原油・ナフサの価格高騰だ。ナフサの価格が高騰すると、ナフサからエチレンなどを生産しても、価格高騰分を製品に価格転嫁できなければ、企業は生産するだけ損失を拡大させてしまう恐れがある。また、仮に価格転嫁ができるとしても、価格上昇により製品の需要(販売)が減ればやはり損失が生じる。
 
このように、異例の価格高騰が企業の減産を生んでいるのである。またそうした動きが製造プロセスの川下にまで広がると、ナフサ由来の日用品に深刻な供給不足が生じ、それが価格の上昇を招く。供給不足と価格高騰が様々な製造・流通段階で相乗的に進むリスクがあるのが現状だ。

ホルムズ海峡の正常化と原油価格下落が待たれる

以上の点から、政府が原油・ナフサの代替ルートでの調達を進めても、企業の供給不足への懸念は残り、その結果、減産の動きが続く。時間の経過とともに各種製品の供給不足と価格高騰のリスクを高めるだろう。それは日本経済全体で見れば、スタグフレーションの様相をより強めることになるのである。
 
こうした事態が解消に向かうきっかけとなるのは、ホルムズ海峡の船舶の通航が正常化する見通しとなり、原油価格が大きく低下することだろう。その場合でも価格の上昇や各種製品の品不足は、半年程度は続く可能性があるものの、企業が原油・ナフサの供給不足への懸念を緩和させ生産を増加させることで、事態は徐々に安定へと向かうだろう。

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