米国の著名シンクタンクが、ホルムズ海峡の今の状態が続けば、夏から「衝撃的な石油状況に陥る」
そのレポートによると文明が停止するほどの威力を持つという
世界全体が夏に詰む
少し前に、石油の流通に関しての JPモルガンなどの分析を以下で取りあげました。
・JPモルガンや国際エネルギー機関などの分析では「石油の流通が完全に停止する」のは今年9月。それまでどのように行動するべきか
In Deep 2026年5月19日
その後、米ワシントンD.C.に拠点を置く民間政策研究機関のブルッキングス研究所が、石油価格と石油備蓄の状況についての分析をレポートしていました。
ブルッキングス研究所は、世界有数の歴史と影響力を持つシンクタンクとされていますが、そのアナリストたちが、数日前に発表したのが「差し迫った原油危機のタイミング」というタイトルのレポートでした
長いレポートですが、簡単にいえば、
「イランと米国の協議がまとまらず、ホルムズ海峡が閉鎖されたままの場合、原油価格を含む石油を取り巻く環境が大変なことになる」
というものです。
これまで石油価格の上昇を抑えていた要因がなくなっていくことで、石油価格が激しい上昇を見せるという分析と、その要因について述べています。
なお、以下もそのレポートにあるグラフですが、「次々と世界中の原油の備蓄や貯蔵が枯渇していっている」ことが示されます。
ホルムズ海峡を経由した原油(濃い青)は、当然ながら、3月から激減していて、ロシアの海上備蓄 (3月と 4月にある黄色)は 4月末までには枯渇した可能性が高いようです。また、イランの海上備蓄 (4月と 5月の濃いオレンジ)は 5月末までに枯渇すると予想されています。
グラフを見ますと、アメリカの戦略石油備蓄(3月からの水色)も、このグラフを見る限り、7月までの表示となっています。
IEA (国際エネルギー機関)の緊急石油放出も 7月9日までに枯渇すると予測されています。
その後、残っているのは、ホルムズ海峡を迂回したルートでの原油(薄いオレンジ)と、「市場調整」という名目(グレー)だけが残ることになりますが、感じとしては「枯渇に向かう」という感じを受けるものです。
このホルムズ海峡を迂回したルート (緩衝地帯)のほうも、先日、イラン革命防衛隊は、「もし、アメリカとイスラエルがイランを攻撃した場合」は以下を実行すると発表しています。
2026年5月23日に革命防衛隊が発表した「イランに対しての攻撃があった場合」の対応
・バブ・エル・マンデブ海峡を「火で」封鎖する。
・ホルムズ海峡の下を通る 7本の海底インターネットケーブルを物理的に切断し、世界的な通信と金融の混乱を引き起こすと。
・湾岸のエネルギーおよび生産施設に毎日数百発の次世代ミサイルとドローンを発射する。
イランと米国の協議の先行きはまったく不明
そして、昨日 5月26日には、アメリカ軍がホルムズ海峡付近で、イランを攻撃したと発表しています。名目は「自衛のため」です。
また、イランの準国営通信社のタスニム通信は、
> イラン革命防衛隊は、ペルシャ湾上空で米国の MQ-9無人偵察機を撃墜したと発表し、「侵略者である米軍」による停戦違反には報復措置を取ると警告した。
と昨日報じていました。
それでも、イランと米国の協議がどうなるのかはわかりません。
タスニム通信やファルス通信などイランのなかば公式の報道内容も日々一定した内容ではないですし、何がどうなっているのだか、よくわからない感じです。
そんな中、アメリカ軍の総司令官は、昼間から毎日よく眠っています。
米軍総司令官の日常
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5月25日の戦没者追悼記念日のイベントでも居眠りしていたように見えると米 Yahoo ニュースは伝えています。
日本では、相手の言葉を間違って聞いてしまうことを「聞き違い」といいますが、ここから「き」を1文字引くと、そこに残る言葉がお似合いな風情となっています。
まあ、無駄話はともかく、ブルッキングス研究所のレポートを短くまとめていた米ゼロヘッジの記事をご紹介します。
ブルッキングスのアナリストは、極端な想定として、1バレルあたり 372ドル(現在は 91ドル前後)の石油価格をあげています。
価格はともかく、ここまでの枯渇に至ってしまうと文明が止まっちゃいますけどね。
ここから記事です。
米イラン協議が失敗に終われば、石油市場は今夏、世代的な衝撃に直面する可能性がある理由
Why Oil Markets Could Face A Generational Shock This Summer If US-Iran Talks Fail
zerohedge.com 2026/05/27
トランプ大統領は、「良い取引をする」か、さもなければ一切の取引なしで撤退するかのどちらかを選べと示唆している。
ホルムズ海峡の要衝周辺で夜間に発生した戦闘行為は、ワシントンとテヘランが紛争終結に向けた和平合意を固めようとする中で、停戦がいかに脆弱な状態にあるかを浮き彫りにした。
和平合意のタイミングは非常に重要だ。なぜなら、私たちが警告してきたように、合意なき離脱の場合、夏までに石油供給状況が悪化するという事態に陥るためだ。
夏には、世界の備蓄や海上貯蔵が枯渇し始め、戦略石油備蓄(SPR)の放出は、湾岸地域からの供給不足を補う効果が薄れていく。
UBS のアナリスト、アレン・カプテイン氏が金曜日 (5月22日)に発表した「石油の緩衝材が枯渇するとき」と題されたレポートを基に、ブルッキングス研究所のロビン・ブルックス氏とベン・ハリス氏は、一時的な供給緩衝材が枯渇するにつれて、石油市場は 7月中旬までに大規模な価格ショックに直面する可能性があるとレポートで概説している。
ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、UBS をはじめとする多くのウォール街のアナリストの間では、ホルムズ海峡が近い将来再開されなければ、初夏にエネルギー危機が発生する可能性があるという認識が広まりつつあるようだ。
ブルッキングス研究所のアナリストらは、原油価格がこれまで低迷してきた要因として、貿易ルートの変更、在庫の減少、そして米イラン戦争が早期に終結するという市場の期待の 3つを挙げている。
ブルッキングス研究所のアナリストは、レポートで以下のように述べている。
要するに、一時的な備蓄が枯渇するにつれて、今後数ヶ月で供給不足は深刻化するだろうということだ。そして、海峡の膠着状態が最終的に解決されるという見通しについて市場がますます悲観的になれば、原油価格は大幅に上昇する可能性がある。
しかし、ブルッキングス研究所のアナリストたちは原油価格の上昇を抑制していた 3つの要因が弱まりつつあると警告した。ロシアの海上備蓄は 4月末までには枯渇した可能性が高く、イランの海上備蓄は 5月末までに枯渇すると予想され、IEA (国際エネルギー機関)の緊急石油放出は 7月9日までに枯渇すると予測されている。
彼らは続けて、以下のように述べた。
供給不足の規模は市場に広く知られていると言って差し支えないだろう。しかし、一時的な緩衝材がいつ尽きるのか、そしてそれが価格にどのような影響を与えるのかという点が極めて重要だ。
この相互作用は、価格に非線形的な結果、つまり価格の急騰が生じる可能性を示唆しており、紛争が長引くほどその可能性は高まる。ホルムズ海峡を通る石油タンカーの航行が深刻な制約を受ける期間が長くなるほど、非線形的な結果が生じる可能性は高まる。
話を UBS のアナリスト、カプテイン氏が先週発表した石油備蓄に関するレポートに戻すと、カプテイン氏は「在庫が枯渇すれば、原油価格は大幅に上昇する可能性がある」と警告している。
彼は続けてこう述べた。
今週、米国の原油在庫は 1982年の記録開始以来最大規模で減少した。商業在庫と戦略石油備蓄(SPR)を合わせた減少量は 1780万バレルに達した。
こうした在庫減少は、中東からの供給不足が 3か月近く続いているにもかかわらず、原油価格が依然として 1バレルあたり「わずか」105ドル前後で取引されている理由を説明するのに役立つ。
原油価格と原油販売量は、需要の価格弾力性によって結びついている。単純な関係式を用いることで、さまざまな供給途絶や需要減少の度合いに応じた価格変動を概算することができる。
石油チームは、戦略石油備蓄の放出後、ホルムズ海峡を経由する純供給損失は約 900万バレル/日であり、これは約 9%の供給途絶に相当すると推定している。
1バレル 105ドルという価格設定は、需要弾力性が約 -0.2であることを意味いる。つまり、価格が 1%上昇すると需要が 0.2%減少する(図を参照)。戦略石油備蓄の放出がなければ、供給ショックは 12%に近づき、価格は 1バレル123ドル近くになるだろう。
原油価格がさらに大幅に上昇する可能性のある道筋は 2つある。
・まず、在庫が枯渇すると、供給不足を補うことができなくなる。
・第二に、消費と生産における「容易な」調整が尽きると、需要は価格上昇に対して反応しにくくなる。
この図は、いくつかの恐ろしい組み合わせを強調している。
例えば、世界の供給不足が 14%だった場合、現在の需要弾力性であっても、原油価格は 1バレルあたり 140ドルに近い水準で取引されるはずだ。
需要弾力性が 0.2ではなく 0.15だった場合、想定される原油価格は 1バレルあたり 208ドルとなり、需要弾力性が 0.1だった場合は、 価格は1バレルあたり 372ドルに近づくだろう。
ここで概説するのは、ウォール街で広がりつつある共通認識だ。
すなわち、ワシントンとテヘランの間で合意に至らない場合、エネルギー市場にとって深刻なリスクとなり、初夏には後戻りできない転換点を迎えるというものだ。
その頃には、緊急備蓄の放出、海上貯蔵、輸送ルートの変更、外交的解決への期待など、原油価格を抑制する一時的な緩衝策が効果を失い始める。これらの対策が尽きれば、市場はより積極的に新たな戦争リスクプレミアムを上乗せせざるを得なくなり、ブレント原油と WTI 原油の現在の価格上限が撤廃されるだろう。
JPモルガンのアナリストたちは最近、これについて警告を発している。
(※) これは、こちらの In Deep 記事で日本語を加えたものです。
ワシントンとテヘランが合意に達するまでの時間は刻々と過ぎており、さもなければエネルギー市場にとどまらず、海運、そして世界経済へと波及する混乱を招く恐れがある。
マイコメント
この記事が示すように夏以降世界の石油備蓄と供給量が半減するとなると高市首相が
言っている「年を越えて原油量は確保できている」という言葉が意味を持たなくなり
ます。
何しろ世界中の原油をすべてかき集めても半分しかないので原油の争奪戦が起こり
手に入れることが出来たとしても300㌦を越えてしまったら、もはや国民には購買
することは不可能になり物流もストップし、多くの会社が経営が立ち行かなくなり
経済が大幅にダメージを受けるでしょう。
当然のことながら石油も備蓄を放出してしまえばもう後がありません。
持って今年の年末までです。それ以降はナフサ関連製品の急激な減産に陥りあらゆる
物価が上がり、食料品も手に入れるのが困難になり多くの人が餓死する事態を迎える
事にもなりかねません。
もはやこうなると政府の手には負えずどうすることもできなくなるでしょう。食料品
や生活物資の配給と言ったことになるかもしれません。
仮に今ホルムズ海峡の封鎖が解かれ船舶の通過が可能になったとしても原油採掘施設
が破壊されているため復旧には1年以上かかります。
もう地獄です。
果たして、どうなるのでしょう。








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