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「年間の倒産件数が1万を超える可能性も…」 ナフサ不足で起こる「最悪のシナリオ」 特に危ない「3業種」は?

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ナフサ エネルギー

「年間の倒産件数が1万を超える可能性も…」 ナフサ不足で起こる「最悪のシナリオ」 特に危ない「3業種」は?

現場では在庫がないと言っているのに「足りている」という高市首相とのズレが倒産に追い込んでいる。

 訪中後のトランプ大統領と電話会談した旨を笑顔で語った高市早苗首相。日米の親密さを高市スマイルでアピールしたが、先の見えないイラン情勢で原油やナフサの調達不安は増すばかり。対策を講ずべき高市政権が目を背ける、日本経済の深刻な危機を解き明かす。

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 スーパーやコンビニの棚に並ぶ商品から「色」が消えていく。そう聞いて、いよいよ不安を感じた人も多いのではないだろうか。

 スナック菓子大手のカルビーは、主力商品であるポテトチップスなど14商品のパッケージの配色を、彩り豊かなカラーからモノクロへ変更すると発表した。

 今月25日以降に出荷される分から店頭に並び、包装には〈石油原料節約パッケージ〉との表記が印刷される予定だという。

 経済部デスクによれば、

「カルビーのみならず、カゴメも定番のトマトケチャップの包装を変更します。これまでは、袋の全面に真っ赤なトマトが幾つもあしらわれたデザインでしたが、今後は大部分のイラストが省略され無色透明に。大谷翔平がCMキャラクターを務める日清製粉ウェルナのスパゲティ『マ・マー』は、パスタを束ねるテープが無地に変更されます」

閣僚が「大丈夫」と連呼するのとは対照的に

 各メーカーの対応が、石油製品ナフサの調達不安によるものなのはご存じの通り。イラン攻撃が始まるまで、日本は原油から精製されるナフサの7割近くを中東から輸入。プラスチックや合成ゴムなどの原料で、ポリ袋やペットボトルをはじめ日用品を製造するのに欠かせない存在なのだ。

「パッケージ印刷にはナフサ由来のインク溶剤が使われていますが、イラン攻撃で価格が高騰しているのです。商品価格に転嫁することなく利益を確保したいメーカーにとって、苦肉の策と言えるでしょう」(前出のデスク)

 だがしかし、こうした企業の対応を巡り高市政権は助け舟を出せていない。

 カルビーがパッケージ変更を発表した直後、食品行政を所管する農林水産省は同社にヒアリングを行った。

 その結果について、15日の閣議後にあった会見で問われた鈴木憲和農水相は、「各企業の経営判断に基づくもの」「中東情勢に伴う食料供給上の問題ではない」との見解を口にしたのだ。

 原油やナフサなどの調達を担当する赤澤亮正経済産業相も、同日の会見で同様の説明を繰り返すのみだった。

 その一方、17日に共同通信が発表した世論調査では、「ナフサについて、調達不足による生活不安」を「感じる」と回答した人が70.6%に達した。

 高市首相以下、閣僚が「大丈夫」と連呼するのとは対照的に、世間では危機感を募らせる人が増えているのが現実なのである。

「注射を打てば打つほど赤字に」

「われわれが生活する経済の現場を見れば、本当にいろいろなことが起きている。国のトップがする発言と、あまりに乖離しています」

 と指摘するのは、ジャーナリストの鈴木哲夫氏だ。

「イラン攻撃が始まって以降、高市首相は“原油については備蓄がある”“石油由来のナフサも来年の年明けまで十分確保している”などと、盛んに説明しています。つまり原油やナフサは総量が確保されていると強調した上で、さまざまな流通上の“目詰まりが起きている”と釈明しているわけです。ナフサを扱うメーカーや業者が商品を出さず止めているのであって、あくまで“現場が悪い”という姿勢です」(同)

 本来、政府がやるべきことがなされていないとして、鈴木氏が続ける。

「各業界におけるナフサの実態調査をして、どこにどれだけ偏りがあるのか数字を出すべきです。つぶさに調べれば、どの製品の価格が上がって物流が滞っているのかが分かり、調整へ動きやすくなる。起こりうる最悪の状況を考え先手を打つことが危機管理なのに、経産省の官僚に話を聞くと“危機感をあおる言動をすれば、買い占めなどのパニックが起こる”と言う。しかし、混乱が起きるからと現状を直視せず“在庫はある”と言い続けるだけでは何も解決しません。高市政権は危機管理を分かっているのでしょうか」

 実際に現場では何が起こっているのだろうか。

「町場のクリーニング店を取材すると、3月ごろから“まずい、まずい”という声が聞こえていました。クリーニング店では、仕上がった際にプラスチックのハンガーにかけてビニールに包んでくれますよね。こういったナフサ由来の製品が値上がりして大変だというのです」(同)

 これだけではない。命を守る医療現場でもナフサ不足の影響は深刻である。

「この4月から注射器が高くなり、1本1200~1500円と普段より1.2~1.5倍ほどの価格になっています。医療費は診療報酬で決まっているので、医療器具が値上がりしたからといって、患者さんから受け取る金額を上げるわけにはいかない。大病院より、かかりつけ医がいるような小さなクリニックの負担が大きく、注射を打てば打つほど赤字になる。倒産するところが増える可能性もあります」(同)

「ほぼ全業種で倒産が増加」

 実は気になる数字がある。今年1月から4月までの企業倒産の件数は3545件(※負債総額1000万円以上)。5カ月連続で前年同月比を上回り、このままのペースで増えるなら年間で1万件を超える可能性が高い。ここまでの高水準は12年ぶりというのだ。

 統計を発表した東京商工リサーチでアナリストを務める本間浩介氏が解説する。

「12年前は東日本大震災の影響が大きかったのですが、今回は著しい物価高や金利上昇などが原因で、症状としてはより深刻です。さらに二極化が拡大し、大企業は賃上げをする体力があり人手も確保できますが、中小企業はそうもいかない。加えてホルムズ海峡封鎖で原材料費やエネルギー価格が高騰し、倒産はほぼ全業種で増えています。リサーチしているコチラの胸が苦しくなるほど、中小企業の皆さんは悲鳴を上げています」

 特に厳しいといわれているのは、物価高の影響をもろに受ける中小企業が多い建設業、運送業、製造業の三つ。建設業関連では、新築や増改築などに絡む「塗装工事業」の倒産が目立つという。

「1~4月の塗装工事業の倒産は48件で、前年同期から26%増加しています。これはバブル経済の1989年以降では過去4番目の高水準で、資材価格の高騰やナフサなどの品薄、人手不足などで倒産が急増しています」(同)

 後編では、塗装工事業の会社を畳んだ男性が明かす、現場の「苦し過ぎるリアル」について報じる。

 

週刊新潮 2026年5月28日号掲載

特集「スマイル高市首相が目を背ける日本経済の“危機”」より

【後編】ガソリン不足に「日本だけ何も対応していない」 塗装工事業の会社を畳んだ男性が明かす「苦し過ぎるリアル」

【全2回(前編/後編)の後編】

 訪中後のトランプ大統領と電話会談した旨を笑顔で語った高市早苗首相。日米の親密さを高市スマイルでアピールしたが、先の見えないイラン情勢で原油やナフサの調達不安は増すばかり。対策を講ずべき高市政権が目を背ける、日本経済の深刻な危機を解き明かす。

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 埼玉県内で塗装工事業を営んでいた男性に聞くと、

「高市さんは“ナフサはある”と言っているでしょう。あれはデタラメだと思いますよ。塗装業の仲間は皆、塗料や溶剤が手に入らなくて困っているのに、高市さんが大丈夫みたいに言うから、お客さんたちから在庫があるように思われてしまう。なので“ナフサ不足で施工ができない”と説明すると、企業努力が足りないのではと誤解される。そういうクレームを山ほど受けました」

 この男性は、もうやっていけないと会社を畳んだが、今でも元同業仲間から悲痛な叫びを耳にすると明かす。

「原油からナフサを精製して塗料や溶剤が作られますが、もうメーカー側に在庫がほとんどないそうです。どんな仕事もそうだけど、商売道具を売ってもらえなければ、塗装会社は施工そのものができません。一番かわいそうなのはお客さんですけどね。新築の家を注文したのに、材料が仕入れられないとなれば工事が止まる。納期が先延ばしになれば大工さんにもお金が入らなくなる。このままだと大手より中小のハウスメーカーで、つぶれる会社がかなり出てくるのでは……」(同)

 塗料など建設資材の品薄が続けば、中小は圧倒的に不利になるというのだ。

「塗料メーカーは、大量の仕入れの実績がある大手のハウスメーカーを優先しますからね。中小は発注量が少ないので断られてしまう。ただでさえ在庫がないのに、来月からは、さらに値上がりするという話もあるらしい。ウチは辞めてよかったかもしれないけど、今も頑張っている仲間は本当に大変ですよ」(同)

 そう話した上で、

「高市さんはガソリン代には補助金を出して安くしているけど、結局は一時しのぎで原油不足の根本的な解決になっていませんよね。別の国から原油を調達すると言っているけど、ナフサの場合は精製してプラスチックや塗料になるまで数カ月かかる。そこから現場に行き渡るのには、さらに時間がかかるという状況を、もっと世間に伝わるように話してくれないと、現場の人間が困ってしまいます」(同)

高市氏の発言と現場の実感にズレが生じる理由

 ポテトチップス騒動しかり、なぜ高市氏や閣僚たちは現場の混乱に目をつぶって、石油やナフサが「足りている」と言い張るのか。

「高市氏の発言と現場の実感にズレが生じているのは、ナフサの総量を論点にしているからだと思います」

 とは、石油流通システムに詳しい桃山学院大学経営学部教授の小嶌正稔氏だ。

「国が言うように、ナフサの総量はなんとか足りているのかもしれません。ところが、ナフサは基礎化学品であるエチレン、化学誘導品のポリエチレンなどに加工され、最終的にプラスチックや塗料などの製品として消費者に届く。非常に複雑な製造工程と流通経路を伴います。例えば小麦はこねればうどん、焼いたらパンになりますよね。そのパンだって具材の違いでジャムパンやアンパンになる。ナフサも小麦と同様、多種多様な製品へと姿を変えるのです」(同)

「供給と製品不足は別問題」

 ちまたのナフサ不足は、「小麦」そのものではなく「うどん」や「パン」などの製品が足りていない状況だと、小嶌氏は指摘する。

「高市さんをはじめ政府が“ナフサは確保されている”と言うのは認識不足で、目指すべきはナフサ由来の製品を欲しい人が買えるようにすることです。しかも品薄の医療用手袋など多くの製品は国産ではありません。100円均一ショップで売られるプラスチック製品なども大半は海外で生産されていて、日本同様ナフサ不足は深刻です。いくら政府がナフサを国内で確保したとしても、消費者には製品が届かないという構図に気付くべき。ナフサの供給と製品不足は、別問題なのです」(小嶌氏)

日本は何も対策していない

 こうした原油危機への高市政権のちぐはぐな姿勢に疑問を呈するのは、エネルギー問題に詳しい常葉大学名誉教授の山本隆三氏だ。

「不思議なのは、アメリカなどの産油国を除いて、世界主要国の大半が国民向けにガソリンなどの節約を呼びかけている中で、日本が何も対策していないことです。欧州やアジアで資源を自給できない国々は、車通勤を減らすため在宅勤務を推奨、大学の講義などをオンラインにする国もあります。高市政権は経済活動への影響がないように、まだまだ石油備蓄もあると言っていますが、現状の使用量を考えて節約を要請する方向にかじを切らないと、ホルムズ海峡の閉鎖が長引けば長引くほど大変なことになっていくと思います」

 7月中旬に会期末を迎える国会で、高市政権は今年度補正予算を編成する方針を決めた。ガソリンのみならず、高騰する電気・ガス料金への補助金に充てられるが、ナフサ危機への支援は盛り込まれない見通しだという。

「高市政権のエネルギー政策は一種の“賭け”」

 政治ジャーナリストの青山和弘氏によれば、

「とにかく高市さんは経済活動にブレーキをかけたくない。食料品の消費税減税にしても、減税幅を上回る物価高な上、財源も厳しいという声は強いのにこだわっています。仮にエネルギーの節約を呼びかけるなら、補正予算に盛り込む補助金のあり方も変更しなければいけない。これまでの政策の大転換はできるだけ避けたい。そんな高市さんの強情さを感じます。官邸周辺を取材してもいまだに節約を呼びかける話は出てきません」

 青山氏はこうも言う。

「高市さんが粘れば粘るほど、いざ節約に転じた際に飛び降りる崖は高くなる。それだけに、高市政権のエネルギー政策は一種の“賭け”だといえます。このまま経済にブレーキを踏まずにホルムズ海峡が開放されたら、結果オーライ。一方、イラン情勢が収束せずに時間がたてば、備蓄した石油は減っていく。結局節約を呼びかけないといけない状況にまで追い込まれた時、もっと早く対応していればよかったのにと批判されるのは必至です」

 折しも補正予算編成を受けて、市場では赤字国債への懸念などから長期金利が上昇、円安が加速している。

 日本経済の状況が深刻さを増しても、お得意の高市スマイルを見せるだけでは、笑い話で済まなくなるのだ。

 前編では、倒産件数が急増する中でも「特に厳しい」という3業種について解説している。

 

週刊新潮 2026年5月28日号掲載

特集「スマイル高市首相が目を背ける日本経済の“危機”」より

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https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1202835_1610.html

萩生田氏は政治系Youtube番組で

経済産業相の経験がある萩生田氏は「9割穴が開いたが、日本政府はすごい頑張って、ホルムズを通らない原油で7割確保した。だからマイナス2割まできて、なおかつ元々あった280日分の備蓄のうち220日分が残っている」と説明。「はっきり申し上げて、来年以降まで原油のことは心配ない状況が続いている」と述べた。調達先の多角化に向けた取り組みや、東南アジア諸国連合(ASEAN)との共同備蓄を進めたい考えを示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c622ea15a95ec1038758623b716a209440b1982?page=1

としているが、4月の原油輸入量は前年比63%減となっていて萩生田氏の発言とは相いれない。
仮に7割確保したというのがこれからの輸入量の見込みを示すものなら、今のナフサ不足を
解消するには至らず、この先7割が輸入されたとしてもナフサが原油から生産されるのに2か月
かかる状況では今の状況が後数か月続くことになり問題の解決にはならない。

萩生田氏は総量だけ見て何か勘違いしているのではないのだろうか?

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