iPhonが人との接触を遠ざけているのかもしれない!
2007年頃からの世界の急激な出生率低下の背景
アメリカン・グレートネスという米国メディアに、
「 iPhone が出生率の低下を加速させているのか?」
という記事が寄稿されていました。
書かれたのは、ミシガン州選出の元米下院議員のサディアス・ジョージ・マコッター氏という方です。
ここでは、「 iPhone が」となっていますか、これは引用されている研究が、iPhone が登場した 2007年を起点として調査しているものですので、そのようになっていますが、つまり、
「スマートフォン全般」
といえます。
以前、「スマートフォンの登場が人類の出生率を下げた可能性」という記事で FT 紙に掲載されたグラフをご紹介しています。
これも、見事にスマートフォンが一般化して以来、全年齢層で出生率が減少していることが示されています。曖昧ではないほど、はっきりとした傾向です。
数字はパーセントです。
合計特殊出生率のスマートフォン普及前の傾向に対する変化率
FT, NOFIA
また、「英国の10代の妊娠率が1990年以来、80%低下した模様」という記事でもグラフを示したことがあります。
このグラフも iPhone が登場した 2007年から急激に十代の妊娠率が低下したことを示しています。
英国の15歳〜17歳の妊娠率の推移(1990-2020年)
Jikkyleaks
そして、今回もまた新しい研究をマコッター元議員の文章で知ることになりました。
仮想空間では現実の子どもは生まれない
なぜ、スマートフォンの使用が多くなると妊娠率や出生率が減少するかというと、単純な話として、特に若い人では、
「 SNS などスマートフォン上のコミュニケーションが増える分、実際に人と会う機会が減る」
というあたりが理由だとは思います。
マコッター元議員も、
> 昼も夜も限られた時間しかないのだから。
と書いていて、そして、非常に当たり前のことですが、「人と人が会わないと妊娠はできない」という単純な現実があります。仮想空間で物理的な妊娠は不可能です(まあ、今後の未来社会ではどうなるのかわからないですが)。
妊娠という言葉からは女性をイメージさせますけれど、女性に限定された話ではなく、男性も同じです。基本的には男女が物理的に会わないと、子どもはできません。
しかも、問題だなと思うのは、先ほどの合計特殊出生率の推移や、英国の十代の妊娠などに関して、「下がり続けている」ことです。
下げ止まるのなら、出生率は低いとはいえ、社会の未来の予測も立てられますが、「どこまで下がり続けるのか?」ということが今は明確ではなく、それは主要国全体で同じです。
もちろん、この出生率の低下の原因はスマートフォンだけではないわけですけれど、話をややこしくしたくないので、今回はふれないですが、2021年からの「一連のキャンペーン」も影響を及ぼしているとは思います。
また、深刻なのは、欧米や日本などのように、以前から出生率が低かった国はともかくとして、多産国家であるように見えたインドも「非常に速いペースで出生率が低下している」のです。以下の記事にあります。
・インドも「劇的な出生率の低下」に見舞われている。首都ニューデリーの合計特殊出生率は1.2と日本並みに
地球の記録 2026年6月9日
ここから記事です。
なお、マコッター氏は、文章の最初と最後に「歌の歌詞」を掲載しています。
最初に出てくる歌詞は、1965年のザ・ビートルズ「ユー・ウォント・シー・ミー」 (YouTube)で、記事の最後を締める歌詞は、ブロンディーというアメリカのバンドの 1978年の「ハンギング・オン・ザ・テレフォン」という曲です(YouTube)。
iPhoneが出生率の低下を加速させているのか?
Are iPhones Dialing Up the Birth Dearth?
Thaddeus G. McCotter 2026/06/20
アメリカの出生率低下危機には多くの原因があるが、新たな研究によると、コミュニケーションの方法を変えたデバイスが、人々のつながり方をも変えた可能性があるという。
君に電話をかけても、いつも話し中
もうウンザリだ。君も大人になってくれよ
やっと見つけるのが大事な時間をぼくたちは失ってしまった。
そのうちぼくは正気を失うだろう
君はぼくに会いたくないんだ
ぼくの言うことも聞いてくれない
構わないよ
自分が何を失っているのか知っているのなら
– ザ・ビートルズ「ユー・ウォント・シー・ミー」
—
老境に差し掛かるにつれ、人生の節目となる出来事は次第に記憶から薄れていく。しかし、時折、何かがきっかけとなって記憶が蘇り、そうした節目や、時の流れの速さを改めて実感することがある。
最近、2007年の iPhone 発売以降に生まれたアメリカ人がほぼ一世代に上ることを改めて実感した。留守番電話が登場する以前に生まれたジェネレーションX世代の私としては、60歳という年齢の重みと、将来への漠然とした不安が入り混じった感情を覚えた。
もちろん、私がもう長く生きられないからではない。未熟な商業文化が助長する、どこにでもある若さ崇拝の神話とは裏腹に、老いていくにつれて増していく痛みや不調は、誰も永遠には生きられないということを痛烈に思い起こさせる。
むしろ、私が心配しているのは、私や他の高齢化社会の世代に取って代わるアメリカ人がどれだけ少ないかということだ。
ジーラ・ニュース紙のエリサ・ウィンランド記者が報じたところによると、新たな研究で、2007 年の iPhone の発売が米国の出生率低下に大きな役割を果たした可能性が示唆されている。
…彼らの調査によると、iPhone へのアクセスは、15歳から 19歳の女性の出生率を 4.5%〜 8.0%減少させ、20歳から 24歳の女性の出生率を 3.2%〜 6.6%減少させた。より高齢のグループでは、減少幅は小さいものの、統計的に有意な減少が見られた。 Zeale News
ケイトリン・K・マイヤーズ氏とエゼキエル・フーパー氏によって執筆され、全米経済研究所(NBER)から発表されたこの論文は、そのタイトルがすべてを物語っている。タイトルは以下だ。「 iPhone は避妊具なのか?AT&T の 2007年から 2011年までの通信事業者独占からの因果関係の証拠」
この研究の方法論は単純明快であり、それが我が国に及ぼす影響も同様に明確だ。
ウィンランド氏が簡潔に以下のように説明している。
この論文は、アップルと AT&T の独占契約によって生み出された自然実験に基づいている。2007年6月に iPhone が発売された際、2011年2月まで AT&T のネットワークでのみ利用可能だったため、研究者たちは iPhone の早期アクセスレベルが異なる地域を比較することができた。
この取引は研究者にとっては幸運だったが、国の出生率にとっては壊滅的な結果をもたらした。マイヤーズ氏とフーパー氏によれば、次のようになる。
iPhone の普及は、30歳未満の女性の出生率低下を加速させる一方で、高齢女性の出生率上昇を抑制した。
全体として、iPhone の普及は、15~ 44歳の女性の出生率低下の 33~ 52%を説明する。時間の使い方と性行動に関する全国調査の結果は、iPhone が対面での交流を減らし、ポルノグラフィーの利用を増やし、性行為の頻度を減少させているという見解と一致している。
重要なのは、マイヤーズ氏とフーパー氏は、iPhoneがアメリカの出生率の急激な低下の唯一の原因であると主張しているわけではないということだ。
彼らは、出生率が iPhone の発売年である 2007年以降 22%低下したと指摘している。ウィンランド氏が指摘するように、研究者たちは、15歳から 44歳の女性 1000人当たり 53.1人というアメリカの記録的な低出生率は、「大不況、避妊へのアクセス向上、住宅費や育児費の高騰、結婚の遅延といった一般的な説明だけでは十分に説明できない」と考えているのだ。
研究者たちは、「研究によると、iPhone へのアクセスによって 15~ 19歳では出生率が 4.5~ 8.0%、20~ 24歳では 3.2~ 6.6%減少したと示唆されており、より年齢の高い層では統計的に有意ではあるものの、減少幅は小さい」と主張している。(iPhoneが10代の妊娠を減らす上で健全な影響を与えたことは注目に値するが、社会的交流とその関連スキルの喪失に起因する長期的な悪影響は、今日の 10代の若者によって将来に引き継がれるだろう)
マーシャル・マクルーハン (※ メディア研究の重要な位置にあるカナダの文学者)の著作に少しでも触れたことのある人なら、彼の格言「メディアはメッセージである」がここでも当てはまることに気づくだろう。
あらゆる新しい技術は、人間がその技術とどのように関わるか、そしてその技術を使うことで他の人々とどのように関わるか(あるいは関わらないか)という両面において、人間に影響を与える。
計算、特に引き算は簡単だ。
仮想空間で過ごす時間が増えれば増えるほど、現実の人間と交流する時間は減る。したがって、出生率低下に対する iPhone の影響のうち、どれだけがテクノロジーがユーザーに無意識のうちに及ぼす影響によるものかを検討する必要がある。
実際、避妊や職業選択とは異なり、iPhone は妊娠を遅らせたり防いだりするために意図的に使われているわけではない。むしろ、iPhone ユーザーが他の人よりもデバイスとそのデバイスから得られる刺激に夢中になっているために、出生率低下が悪化しているのだ。結局のところ、昼も夜も限られた時間しかないのだから。
一方、出生率は低下の一途を辿っている。出生率は国家の健康状態を示す指標だ。楽観的で未来志向の国家は、少なくとも人口置換水準 (出生率が 2.1などを上回ること)の出生率を維持するか、あるいは増加している。そして、衰退国家は出生率が低下している。
今日のアメリカでは、アルゴリズムによってパーソナライズされた独房が一般社会から私たちを隔離し、独房監禁へと追いやることで、市民の孤立とそれに伴うアノミー (※ 社会の規範が崩壊することなどによる無規則状態を示す言葉)が急速に進行している。
こうして、衰退という魅惑的な歌の陰湿で循環的な論理がマントラ (呪文)となる。人生は不公平で、不平等で、恐ろしいものだから、この無意味な泥沼に新たな命をもたらさない方が良い、いや、むしろ美徳である、と。
その結果、米国とヨーロッパの両国で出生率が低下している。
これらの地域ではポストモダニズムの信奉者たちが勢力を振るい、近代の空虚さを、最も「寛容な」信念とは受け継いだ文明を含め、何も信じないことだとする信条で埋めている。自己嫌悪を教え込まれたポストモダン世代は、子孫を残そうとはしない。無意味な未来を拒絶する最良の方法は、それを永続させる後世が存在しないことを確認することかもしれない。
私の学士号は政治学のみだが、インターネット、ソーシャルメディア、AI、留守番電話など、私の人生で起こったあらゆる技術革新にもかかわらず、私は自信を持って「赤ちゃんは現実世界でしか作ることができない」と断言できる。
健康な国民は、仮想世界よりも現実の生活を重んじる。出生率の低下は見られない。そして、そういう国民たちでは、スマートフォンよりも留守番電話(あるいは少なくともキャッチホン)の普及率が高いと私は考えている。
—
私は会話を中断しなければならなかった
電話越しに聞こえるあなたの声は不思議な感覚
私があなたに愛情を示せる時に話したい
自分をコントロールできない
電話を切って私のところに走ってきて
お願い、電話を切って私のところに走ってきて
– ブロンディ、「ハンギング・オン・ザ・テレフォン」





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